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ブラジルにも八百万神が集う場所があるって知ってる?!

その名も

Baía de Todos os Santos

現地発音【バーア・ジ・ードゥズ・ントス】
カタカナ語:「バイーア・デ・トドス・オス・サントス」

これを日本語に訳すと、

「諸聖者の湾」!


まさしく「八百万神やおろずのかみの湾」ではありませんか!

しかも、そこに「全ての聖者」が集うというのです!!

場所はブラジル北東部の
バイーア州です。
 

          https://pt.wikipedia.org/wiki/Bahia

ポルトガル語では「湾」のことを「baía」といいます。
この州の名前が「バイーア」になったのは、
言うまでもなくこの湾の存在に起因します。

要注意点は、
地名の「バイーア(Bahia)」のスペルには
当時の正書法に則って「h」が入っている点です。
「h」が入っているからといって
読みが「バヒーア」になったりはしませんのでご注意下さいね。

原住民のインディオ(トゥピナンバ族)は
この湾を「キリムレ(Kirimurê)」
(大内海)
と呼んでいたそうです。

「バイーア・デ・トドス・オス・サントス」湾は、
赤丸に記した地点に位置します。

                                                       https://www.baixarmapas.com.br/mapa-da-bahia/

ちなみに形を見て州を当てるクイズなどでは
バイーア州は湾が見分けポイントになりますね!w

この湾は面積1,233㎢ と非常に広大で、
ブラジルでは最大、
世界でも2番目に広い湾なのだとか。

そして
その入り口の右岸側にあるのが
バイーア州の州都で
ブラジルで最初に首都として定められた
古都サルヴァドール (Salvador) 市です。

※  ブラジルの首都の推移:サルヴァドール(1549-1763)、
     リオ・デ・ジャネイロ(1763-1960)、ブラジリア(1960~)

ちなみに「サルヴァドール」という言葉そのものも
「救世主」という意味ですので、
このことからも
この土地の精神性が窺い知ることができます。

ちなみにサルヴァドールといえば、
リオ、サンパウロに次ぐ
ブラジルの人気観光都市です。

空港から出て町の方向へ走り始めると
すぐに感動できる
「バンブー・トンネル」
(Túnel de Bambuトゥーネウ・ジ・バンー】

                                        https://nl.pinterest.com/pin/22658804355831316/

下の町と上の町を繋ぐラセルダ・エレベーター
「Elevador Lacerda【エレヴァール・ラルダ】

                https://viajento.com/2020/01/27/salvador-elevador-lacerda/

エレベーターを降りた目の前で
土産物が何でも揃うマーケット
「Mercado Modelo【メルードゥ・モール】

                   https://www.flickr.com/photos/rosamar/688949229
https://demmuy.wordpress.com/viaje-a-brasil-2012-652012-2/dsc08380-mercado-modelo-salvador-de-bahia-ba/
       https://www.mercadomodelosalvador.com/lojas-no-mercado-modelo-salvador/

別の記事でも紹介した
奴隷を鞭打ちするための柱
「ペロウリーニョ (Pelourinho)」
そのまま地名になっている旧市街地

https://www.tripadvisor.com.br/Attraction_Review-g303272-d312079-Reviews-Pelourinho-Salvador_State_of_Bahia.html

数々ある要塞

サント・アントニオ・ダ・バーハ要塞 http://www.ipatrimonio.org/salvador-forte-de-santo-antonio-da-barra/#!/map=38329&loc=-13.010312000000004,-38.53297600000001,17
サン・マルセロ要塞 http://www.qualviagem.com.br/bahia-de-todos-os-santos-e-de-todas-as-cores/

等々、
見どころ満載のサルヴァドール市は
古都だけあって、
日本では京都に数多くのお寺があるように、
多くの教会があります。

一説によると、カトリック教会だけでも
372 個所に上ると言われていますが、
下の wiki ページには
主なカトリック教会(61個所)が
写真付きでリストアップされています。


中でも恐らく最も有名なのが

Igreja Nosso Senhor do Bonfim
【イグレージャ・ドゥ・ノッス・スィニョール・ドゥ・ボンフィン】
ノッソ・セニョール・ド・ボンフィン教会)
でしょう。

https://jp.trip.com/travel-guide/attraction/salvador/igreja-de-nosso-senhor-do-bonfim-13210410/

日本でも「ミサンガ」という名称で流行った
「願掛けリボン」はここが発祥で、
その名も
「Fita do Bonfim」
フィッタ・ドゥ・ボンフィン】
と呼ばれています。

「ミサンガ(missanga)」とは
現地ではビーズのことなので、
意図するところが違ってしまいますから
ご注意下さいね。

この「フィッタ・ドゥ・ボンフィン」
1809年に初めて作られたもので、
当時は刺しゅう入りの絹製でした。
当初は願掛けをした上で
聖者の絵柄入りのメダルやペンダントヘッドなどを
取り付けて首からかけて使用し、

願いが叶ってからは、
例えば病が治ったなら
その体の部位を表した蝋細工などを
身に付ける風習があったようです。

1950年代には一旦衰退したものの、
1960年代半ばには
簡易なものが土産物として売られるようになり、
それをヒッピーの人達が
ブレスレットとして愛用するようになったのだそうです。

やがてそれがブームとなって
国中に広がり、
「切れたら願いが叶う」
と信じられるようになり、

なんと日本でも人気になったというわけです!

今では、
願掛けブレスとしては勿論、
その他にも協会の写真にも見えるとおり、
ボンフィン協会を訪れた信者は
買ったリボンを訪れた印として
まるで日本のおみくじや絵馬のように
入り口手前の柵に結んで帰ります。

💒💒💒

また、
ブラジルの中で
最も多くの奴隷がアフリカ大陸から
連れてこられたのも
このサルヴァドールです。

そのため、バイーア州は
ブラジルで最も黒人人口が多い州で、
アフリカの文化も
色濃く残っています。

食文化では
アフリカ由来の
小麦の粗挽粉から作るクスクスや
魚介シチューのムケッカなどを
多く食すのもバイーア州なら

アフロ・ブラジリアン・カルチャーの代表格である
カポエイラも
バイーア州が発祥だとされていますし、

                 https://www.historia-brasil.com/bahia/capoeira.htm

宗教も、
アフリカが起源のカンドンブレ(Candomblé)が
非常に盛んです。

カンドンブレ、あるいはカンドンブレー(Candomblé)は、ブラジルの民間信仰のひとつ。主に低所得者層と中産階級から信仰されている。中心地は、バイーア州およびリオデジャネイロ州。
アフリカ系の宗教を基礎にしている。
アフリカの土着宗教(特にヨルバ人の伝統を継承している)が、奴隷貿易とともにブラジルへ渡来し、カトリックへの強制改宗にともなって独特の発展を遂げた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/カンドンブレ  
                                                https://aaregistry.org/story/the-candomble-religion-a-brief-story/
                                                                       https://www.learnreligions.com/candomble-4692500
                                                             https://blackbraziltoday.com/its-not-religious-intolerance/
神々(「オリシャ」)https://blackbraziltoday.com/meet-30-gods-of-african-mythology-their-powers-and-mysteries/

そして
このような信心の場として
有名なサルヴァドールにぴったりとマッチしたのが
「諸聖者の湾」こと
「Baía de Todos os Santos」
なのです。

一神教のキリスト教信者が大多数を占める
現地ブラジルの歴史からすれば、
この湾が「諸聖者の湾」と名付けられたのは

単純に

「ポルトガル人航海士ガスパール・デ・レモス率いる艦隊が
「諸聖者の日」(11月1日)に初めてこの湾に到達したから」

ということになるのですが、

私が一度だけ訪れた時に
生粋のバイアーノ(バイーア州出身者)に聞いたのは

「『Baía de Todos os Santos』という名前なのは、
一年に一度世界中の聖者(要は神様)が
集うところだからなんだよ」

ということでした。

「えっ!バイーア州ってブラジルの島根だったんだ!!」

と、
ひっくり返るほど驚いたことを思い出します。

しかも

「だからトロロ湖(Dique de Tororóッキ・ジ・トロー】)の
像は、その際のカンドンブレの神様達の様子を表したものなんだよ」

というのです!👀

で、そのトロロ湖が
こちら。↓

                  https://www.youtube.com/watch?v=3KtlfaRLXq0&t=16s

水に浮かぶ像は
カンドンブレの主な神様(オリシャ [Orixá])のうち
水に関連する神様8人です。

                                                              https://www.flickr.com/photos/lindadevolder/623849132

当初は12名の主なオリシャが
この水面に配置されていたそうなのですが、
後に水に関連しない神様は
陸に配置換えされました。

こんな感じで湖の周りに置かれています。

                                                                             https://www.youtube.com/watch?v=rHjq9OJI5Ac

それにしても、
「諸聖者の日」が11月1日だということは…、

「八百万の神々ときたら、
神無月/神在月が終わったと思ったら
翌日には地球の反対側のブラジルに!
さすがは神様、移動が速い!」

と思ってしまいました。w

いずれにせよ、
キリスト教徒が何と言おうと、
土着系のカンドンブレ信者の言うことは、
日本人にとっては
聞き捨てならない情報ですよね♪

私は一度きり、しかも仕事で2泊しただけなので、
まだまだ行った気にもなれていない
サルヴァドールは

ブラジルへ行ったなら絶対訪れるべき
素晴らしい町ですので、

せめてもう一度、
できればプライベートで
ゆっくり訪れてみたいものだと思っています。

💒💒💒


最後に、サルヴァドールの名所を
ドローンで飛び回る動画を2本程どうぞ!


お読み頂き、誠にありがとうございました!

※ 「自由に旅に出掛けたいネ!」、否、
「カメラマン ネコ」はこたつぶとんさんの作品です。


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