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物食日記

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美味しいもの、美しいものが好き。 散歩とスナップに夢中。
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2022年6月の記事一覧

ドアストッパー

ドアストッパー

家の外、北側にはバイクカバーや生協の配達ボックスなど頻繁に出し入れする物を納めるストックスペースがある。室内には靴を保管する場所があって、その裏側の空間を利用したのは鎌倉材木座の建築家、森ヒロシさんのアイデアだ。

その「アクティブ納戸」の扉には葉山「桜花園」で見つけた古材をリサイクルした。これはぼくのわがままな希望だったが、風雨に晒されてエイジングした佳い趣きを気に入ってはいるものの、強風時は扉

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初夏の西陽

初夏の西陽

ニュース番組では7月中旬に梅雨が明けると予測するなか、鎌倉の植木仕事現場では先週の時点で梅雨は明けたと先輩が宣言。冗談だと受け流していたら本当になった。6月中の夏入り。もはや亜熱帯化した灼熱の気候を受け入れ、朝からその太陽を浴び黙々と植物を整えている。

仕事は16時に仕舞い、30分後には自宅の土間でくつろぐ毎日。自家製梅シロップの炭酸ドリンクで火照った身体をクールダウンしつつ、全開した玄関の引き

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梅シロップと芋焼酎

梅シロップと芋焼酎

いさむファームの青梅と黒糖で作った自家製梅シロップ。これが思いのほか美味しくできた。炭酸水で割って飲むのも佳いけれど、黒糖のコクが芋焼酎との相性が抜群だ。

我が家のスタンダード、霧島酒造の『黒霧島』に梅シロップ、炭酸水、たっぷりの氷を和えて呑むとカジュアルな酒が極上の一杯になる。

酒盃は那覇の奥原硝子で修行された、青梅「レインボーリーフ」平岩愛子さんが再生硝子で吹く『ヒッチーグラス小』。とろり

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ワインと皿

ワインと皿

先週土曜日、恵比寿の「playtime cafe」でナチュールワインを昼呑みしていた際に勧めてもらったのが追浜のワインスタンド「LuLu」。翌日たまたま寄った「のたり葉山」での催し『古道具と菓子』展にて、古物商の森吉野さんが次週末は「Lu Lu」で『ワインと古道具』というポップアップショップをひらくと聞いて、これは偶然ではなく、もはや必然と悟り、出会いの流れに乗った。

追浜駅前の商店街から少し入

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八重洲通りは実家に通ず

八重洲通りは実家に通ず

佃島の実家に帰るときは、東京駅八重洲中央口から地下街を抜け、八重洲通りに出てひたすらまっすぐ歩いて行く。その延長線上の端に実家が立つことに縁を感じて通り沿いの店に寄りたくなる。

改札を出たら地下道の道なりに「ヤエチカ」を進む。だいぶひと気の少なくなる京橋出口そばの南インド料理店「エリックサウス」で夕飯とビール。その流れが楽チンなことに気づいた。この日、味わったのは『チキンビリヤニ』。

何やらビ

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八丁堀散歩

八丁堀散歩

佃島に泊まった翌朝、実家前の隅田川から亀島川など運河沿いに水辺の街を散歩。

梅雨の最中、快晴の朝は夏の気配が立ち上がりつつも、まだ涼しい。とはいえ、早足で歩くとシャツがたちまち汗ばんでくる。東京の6月は亜熱帯地方みたいな湿度で蒸す。

複雑な水流の川に映るビル。抽象画みたい。

中央大橋を渡るたびに眼に留まるクラシックな白いビル。室内に間仕切りはなくガランとした空間が広がり、リノベーションの自由

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クッキーを計り買い

クッキーを計り買い

鎌倉の住宅街、梶原に素敵なケイクショップがある。「POMPON CAKES」。カリフォルニアやマンハッタンのイーストサイドにありそうな佇まい。エクステリア、インテリア、ロゴを初めとするグラフィック、什器すべてに軽妙で洗練した美意識が通貫し、ビーチタウン特有の、肩の力が抜けた上品なセンスが滲み出ている。ぼくが今もなお湘南のマガジンを制作していたら、何度も取材を依頼するであろう敬愛の一軒だ。

例えば

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小さな灯り

小さな灯り

森吉野さんのポップアップショップで真っ先に眼が感応したのは燈明皿の灯りだった。この仄かに揺らめく炎で江戸時代の人たちは夜過ごしていたと遊びの師匠、山田海人(稔)さんに教えてもらった。山田さんは燈明皿を用いて鎌倉でキャンドルナイトを催してもいた。

本来は菜種油に木綿をよった燈芯を浸して灯すものだが、森吉野さんはロウソクを立てる台として幕末から明治期に焼かれた古瀬戸の燈明皿を活用していた。その気軽で

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麻布で目隠し

麻布で目隠し

先週末、「のたり葉山」で佳い布にまた出会っちゃった。古道具商「森吉野」さんが選んだ一枚、韓国の麻布である。

小さな裏庭に面した隣家裏口が丸見え。そこから旦那さんが週末、頻繁に出入りし農作業に勤しむようになり、なんとなくお互い視線が気になるようになってきた。裏戸を布で覆ってしまうと繁茂する緑の景色も、朝の心地よい斜光も遮られてしまいので、裏戸の一部にさらっと垂らす透過性の高い布はないかと思案してい

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世界一好きな羊羹

世界一好きな羊羹

父の日に贈るものを何にするか。今年は直接手渡すことになって、いつもに増して吟味し、いろいろ思案した。酒は最近止められているようだから、やっぱり好物の甘いものかなと和菓子に絞って地元のものから候補にあげていく。銀座や湯島の老舗のも佳いかなと考えたけれど、佃島に暮らしている父に江戸土産はどうかと。

そうやって受けとる人の笑顔を望んで贈り物に悩む思いめぐりって、こんなに心躍るものなのかと改めて気づき、

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古道具と自転車

古道具と自転車

先日、軽く整備しつつ土間の壁に飾った快足ビーチクルーザー。久々の街乗りは隣り地域の堀内へダウンヒル。葉山一色の家から海岸通りを疾走する1.7kmの移動。そのわずかな距離で走行不能になるトラブルが起きないか緊張した。自分としてはそれなりの冒険行なのだ。

あんまり考え過ぎると迷いが生じるから、東京から戻って腰を下ろさずすぐさま、えいっと向かった。途中、不穏なペダルや後輪が外れそうな音が聞こえたが、無

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恵比寿で昼ワイン

恵比寿で昼ワイン

恵比寿の「ワインスタンドwaltz」に金曜・土曜限定で立ち現れる「playtime cafe」。2週間前に念願の初訪問を果たした際、美味しいドリップコーヒーのほか、ワインを昼呑みできるとわかってしまったから、さぁ大変。再訪の日が待ち遠しくて毎日ソワソワ。で、東京に出る用事を無理矢理つくって(笑)月内に向かった。

生垣が佳い感じに茂る石畳の小径。そのアプローチで胸が昂ってしまう。そんなドキドキ感は

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ジャム・セッション

ジャム・セッション

先日、イサムファームの無農薬青梅で自作した梅ジャムと無茶々園、弓削瓢柑の皮を煮詰めたマーマレード。

ジャムは酸味が軽強く、マーマレードはもっさりと甘重い。で、両者を合わせたらどうなるか試してみたら個性が解け合い、ちょうどよい甘酸っぱさに。

葉山一色「ポコパン」のトースト食パンにたっぷり乗せて味わっていたら土曜日の朝、パン切れの事態に。慌ててパルシステムで取り寄せていた、もぐもぐ共和国の『無糖パ

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日の出園で一服

日の出園で一服

植木仕事は4時で仕舞い。鎌倉の職場からカブに跨り葉山に帰る途中、ときどき寄り道する。両所の道程には魅力的な店が多いから誘惑を振り払うのは大変だ(笑)。

昨日は葉山葉桜の茶葉処「日の出園」へ。6月からかき氷が始まっていると知っていたから、寄るタイミングをはかっていた。大汗をかいた梅雨入り前の金曜日に「華金」よろしく、ちょっと贅沢。

ここの茶は抜群に旨い。我が家は『おいしいほうじ茶ティーバック』の

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