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本当に、老後資金は必要ですか?

「叔母さんの遺産が入ったから、別荘を軽井沢に買ったの」

学生時代の話。
友人が、親の持つ別荘に招待してくれた。

卒業間際に突然「別荘」というキーワードが出てきたので話を聞いてみた。
すると、両親が独身1人暮らしをしていた叔母の終末期のお世話をしたので親戚内で協議した結果、遺産はご両親が全て相続したとの事だった。

叔母様は生涯独身。
ナースとしてバリバリ夜勤をこなし、将来の為に多額の貯金をしていたらしい。
何歳で亡くなられたのか記憶がないけれど、そこまで「高齢」になる事もなく生涯を終えた。

その話を聞いた時、失礼ながらとても虚しく思えた。

「人生100年時代」等と言われるようになって、私達はいつまでも生きるような感覚になっている。

だけど、自分が必ず「老後」を迎えるとは限らないのだ。


貯めて使うを繰り返した時代


高校1年生の頃から私はアルバイトをしていた。
高校生ながら店のシフトを作り、レジの締め、日報の記入、店の戸締り…と店長並みに働いた。

頭が弱めな高校に通っていたので、周りの友人も勉強よりもアルバイトに精を出すような人ばかりだった。

私は貯金をする事が好きで、アルバイトで稼いだお金の殆どを貯金していた。

そのお陰で18歳を迎える頃には自分のお金で自己投資ができた。

・教習所の費用 約30万
・ノートパソコン 約25万
・スキューバダイビングの免許取得 約5万
・ウェットスーツ、ゴーグル等 約20万

携帯代も全て自分で払っていた。

社会人になっても「貯金体質」は変わらなかった。

20代後半で結婚した時には、割と豪華な結婚式をした。
そして、「まぁまぁな頭金」を払ってマンションも買った。

今思うと、よく貯金をしたなぁと思う。
そして、潔く使った(笑)

当時の出費で後悔しているものはひとつもない。

スキューバダイビングの免許なんて、取得したものの結局「趣味」の領域にはできなかった。
だけど、講習期間に出会った人との楽しい時間や体験は「やってみて良かった」と思えるものだった。

結婚式も物凄く高かったけれど。
母になった今でも「人生で一番楽しかった日は?」と聞かれたら間違いなく結婚式の日と答える。

自分を育ててくれた両親、妹。
久しぶりに会った親戚。
学生時代の友人。
会社の上司、同僚、後輩。

自分の人生において、それぞれ別の時期を一緒に過ごした人。
いつもは別々に会っている人達が、同じ空間に集まるなんて!
チャペルのドアが開いて、沢山の顔が見えた瞬間に舞い上がって常に笑顔になった。

結婚式の日の写真もDVDも、見返す頻度は決して多くないけれど。
私の宝物として永遠に残るものだ。

1日で大金を使った。
だけど、1ミリも悔いはない。

老後の準備は二十歳から?

29歳の時に、今も務める会社へ転職をした。
入社当時の管理職は40代半ばで、私にお金についてこう助言をした。

「老後資金は二十歳から準備した方が良い」

聞けば、上司のご両親は当時2人とも施設へ入所されていた。
民間の介護施設で、毎月60万円の出費だと言う。

確かに家で介護をするのは大変だ。
比較的安価な特養は、順番待ちが永遠に回ってこない・・・なんて話も聞くので、仕方のない事だろう。

だけど「介護施設に入所する為に二十歳から貯金をする」ってどうなんだろう?

複利の効果。
時間を味方につける。

そういう言葉の意味は分かりつつも「貯めて使う」を繰り返していた私には何だかとても悲しく感じられた。

仕事に沢山の時間を投資して、楽しい事を我慢して。
私達は「老後に介護されるため」に、お金を貯めるんだろうか?

「老後」とはいつなのか?


最近「老後」の定義すら怪しくなってきた。

65歳定年が定着しつつあるけれど、自分の親も義父も70歳を過ぎても現役並みに仕事を続けている。

現役時代に上場企業でそれなりのポジションにいた方は、80歳になるまで「相談役」等のポストに着いて収入を得たりしている。

現役時代そこそこ…だった方も、掃除したり警備したり、マックのレジをしてみたり、70代80代になっても働いている。


そうかと思えば、街には沢山の介護施設があり、朝夕には介護施設の送迎バスが幼稚園バスよりも沢山走っている。

でも、その送迎バスの運転手さんや介助をしてる方も、70歳前後だったりする。

つまりは、「〇歳から老後」とか「〇歳から高齢者」なんて言えない時代を迎えているのだ。

介護を外注できないかもしれない

確かに、子供に介護の負担を負わせるのは申し訳ない。
だからお金を貯めた方が良い。

それは分かるけれど。

今40代の私が、70代80代になる頃に「介護施設」へ入る為の資金なんて想像もつかない。

今既に、「人手不足や従業員の高齢化」を理由に介護施設が物凄いペースで倒産している。

今後、少ない資源(施設、人)で介護をする事になる。
そうなれば利用料は上がる一方だろう。

介護保険制度だって、いつまで持つのか分からない。


それを考えたら、私は自分の資源(お金・時間)をこう使いたい。

・いつまでも働き続けられる丈夫な体を作る為に、睡眠、運動、食事等の健康習慣に最大限の気を配る。
・本業以外のスキルも磨く
・多様な価値観に触れる
・その時期にしか味わえない喜びを思いっきり満喫する。


著名人にも、リアルな知り合いの中にも。
残念ながら「老後」を迎える事なく生涯を終えてしまった人は沢山いる。

これは、いつ自分の身に起きてもおかしくない。
だからこそ「今」を思いっきり楽しみたい。

さぁ、今日はこれから今月一番楽しみにしていた所へ行ってきます。

〈あとがき〉
高齢になっても元気な人に話を聞くと、プールとかカーブスに通っている方が多いです。
70代でプロテインを飲んでる女性もいました。
私もタキミカさんみたいになりたいと思います(笑)

タキミカさんって誰?という方はこちらをどうぞ。
現在93歳、今もお元気みたいです。

今日も有難うございました!

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