#ファンタジー
土蔵は下へと旅を紡ぐ
ふらふらしていた俺が故郷に戻ったのが二年前。
実家の祖父と土蔵掃除を始めたのが三時間前。
いま俺はダンジョンに潜っている。横にはファンタジー世界から来たエルフ。俺が腰に差しているのはファンタジーから流出した魔剣グラム。
土蔵の真下にダンジョンが生じたというのは笑い話だが、現実に家族を害したとあれば話は別だ。グラムは祖父の魂を食い本人は昏睡状態で寝ている。
経緯はこうだ。掃除を始め
アノン・マキナは死んでいる
アノン・マキナの幻影を、今も戦場に見る。
――壊滅状態の部隊で弾倉に弾を詰め込めば、想起されるは、嘗て戦場を流れた長い銀髪。
二丁拳銃で敵の頭に一撃必殺。容赦無く慈悲深い戦乙女の姿。
だが彼女はもう居ない。
俺が強ければ、或いは……そこで歯を食い縛る。『泣くな。涙は照準がぼやけて悪い』という死に際の教えを守る為――。
「突撃用意!」
大尉の声が響く。既に右腕と左手指が無い彼の、喉
遺灰被りのコフィン・ポーター
冒険には危険が付き物だ。だからこそ、彼女の仕事も尽きない。
「こちらシリス。目標地点に到達しました」
「了解、対象はそこでロストしている」
シリスは、自らを覆う手足の付いた棺を立ち上がらせる。そしてコフィンが背負うのもまた、棺だ。これが、彼女の仕事だ。
場所は、現代にはない意匠が彫り込まれた遺構。近年一夜にして、こつ然と発生した山に発見された迷宮。未探査の遺跡とあってこぞって冒険者達が