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【企業インタビュー】90年続く工務店の事業継承に向けて、副業人材が人材育成と組織作りを支援

岐阜県の富加町(とみかちょう)で県産材の木材を使った注文住宅を手掛ける、富田製材株式会社。90年以上の歴史を持つ同社は、「お客様に納得してもらえることを大切にした家づくり」で高い支持を得ています。

同社が現在直面しているのが、人事や組織の問題です。これからの時代に対応できる組織を目指して業務分担や人事評価の見直しに取り組もうと考えたものの、社内にノウハウがなく悩んでいたと言います。そこで今回副業人材の活用を決断した、同社代表取締役の酒向和幸さんにお話を伺いました。


代表取締役の酒向和幸さん

―まずは現在の事業内容について教えていただけますか?

木材の産地としても知られる岐阜県の中で中濃地区にある富加町で、木造住宅を専門とした工務店を営んでいます。1930年創業で、私は現在3代目です。

2代目である父の時代までは、建坪70坪くらいの大きな和風建築が中心でした。ただ私の代になってからは、こうした大きな建物のニーズが減少することは想定され、このままでは事業が厳しくなると感じていました。

そこでこれまで培った技術を活かしながらも、若い世代の方にも受け入れてもらえるような「和モダン」の木造住宅を手掛けています。また岐阜県産の良質な木材を使って「本物の木」を感じられる住まいを建てるというところも、私たちのこだわりです。

もうひとつ大事にしているのは、建築現場の美化ですね。「魅せる現場コンテスト」では3年連続最優秀賞を受賞しました。お客様にとって家を建てるというのは、一生に一度のことですよね。ですから現場も当然大切にするべきだし、これが心を込めた家づくりにつながると思っています。


―副業人材の活用をしようと思われた背景について、教えていただけますか?

少し前の話になりますが、父が社長をしていた頃、私は専務という肩書で働いていました。2代目の父は「社内でできる仕事は自分たちでする」という考えで、私もそれに従っていました。ですから専務という立場でありながら、昼は現場であらゆる工事を、夜は設計や事務をこなしていました。

ただある時、「これは本当に私の仕事かな?」と疑問を持つようになりました。私が社長になってからは、外部の会社さんにお願いできるところはお任せすることにしました。ですから、もともと社内の業務分担の見直しなどの大切さは認識していたつもりです。

そんな私も現在50代半ばになり、そう遠くないうちに息子へ事業を継承するつもりでいます。そこで、息子の右腕になるような人材を確保したいなと考えるようになりました。他の会社さんを見ると、社長の右腕となるナンバーツーがいらっしゃるんですよね。

会社として成長していくために、ナンバーツーのような人材を育てることもそうですが、社内全体を底上げして強い組織にしていかなければという想いが強くなってきました。とはいえ、私にはそういった分野の専門知識やノウハウはありません。そんな時に地元の商工会の方から、副業人材を活用するSkill Shiftのことを紹介していただきました。


―副業人材の選考から採用までの経緯を教えていただけますか?

どんな人に来て欲しいかという具体的なイメージは、最初はあまりなかったですね。ただ今回は組織作りということなので、特に建築業界の方というこだわりはありませんでした。

Skill Shiftを運営するみらいワークスの担当者に現在の課題を話したところ、そういった組織開発分野を専門でやっている副業人材の方もいると聞いて、トライしてみようかなと思いました。あとは自治体から一部費用の補助が出るというのも、後押しになりましたね。

募集をかけたところ14名の方にご応募いただきました。書類選考では、まずこちらからお礼のメールをして、返信いただいた方に絞りました。会社としても「人」をすごく大切にしていますので、きちんと連絡いただけるということは、やはり必須だと思っています。あとは経歴なども拝見して、4名の方とオンラインで面接を行いました。

面接では、私が悩んでいることや困っていることを正直にぶつけて、解決策を聞いてみたという感じですね。今の社員構成や売上についても、全てお伝えしました。

面接した結果、1名の方を採用させていただきました。決め手はちょっと言葉にしにくいのですが、やはり私と気が合うかなと感じたところです。あと今回は私だけではなく、社員ともコミュニケーションをとっていただきます。ですからわりと親しみやすい人柄で、話しやすい雰囲気があった点もポイントだったかなと思います。

その方は40代くらいの方で、普段は大手の保険会社で人事労務などの仕事をされています。


―採用した副業人材の方に依頼している内容や期間について、教えていただけますか?

2023年の12月に契約して、1月にスタートしましたので、2ヶ月目ですね。まず会社の全体像を見ていただこうと思いまして、最初に1回こちらにお越しいただきました。それから弊社にはパートの方を含めて5名のスタッフがいまして、副業人材の方にはスタッフと1対1でオンライン面談をしていただいているところです。その面談内容を整理していただいた上で、月に1回私にオンラインで報告いただいています。

やはりリアルで対面する良さもありますので、今後もリアルとオンラインの両方でやり取りしながら進めていければと考えています。

―副業人材の方を採用してから、どんな効果を感じていますか?

スタートしたばかりなので、具体的な成果はまだ出ていません。ただ外部の方に入っていただいた効果は感じています。例えば「会社が忙しいからといって人を増やすと、その分社員ひとりに分配できる利益が少なくなる」というような会社の仕組みに関する話も、私から話すより、第三者の方から話していただく方が社員にしっかり伝わっている気がします。

これまでは賞与を出す年2回のタイミングで、社長である私がスタッフと面談してきました。ただスタッフとしては、社長に直接言いづらいこともあるようですね。特に私はせっかちなので、なるべく抑えて話すようにしていますが、どうしてもスタッフから見れば急かされていると感じるのかもしれません。

副業人材の方が間に入ってくれることで、社員の意見が出やすくなってきているのではないでしょうか。それに副業人材の方は外部の立場として、客観的に俯瞰してから私に報告してくださるので、「そういう見方もあったのか」と気づくこともあります。

―今後の展望について、教えていただけますか?

今回は期間を決めて取り組みたいと考えていたので、副業人材の方にはトータルで6ヶ月間お願いする予定です。そこである程度の成果を出したいと思っています。

会社としては、10年後に10億円という売上目標があります。家を建てたいというお客様は20代といった若年層も増えていますので、50代の私がいつまでも社長でいるわけにはいかないかなと考えていますので、事業を成長させながら、可能な限り早く次の世代に事業を引き継げればと考えています。

実は昨年新卒で入社してくれた社員がいまして、今いろいろと学んでもらっているところです。息子が社長になった際には、彼が参謀役になってくれればと期待し育成を実施しています。そうした部分も含めて、副業人材の方にサポートしていただきながら、将来の事業継承の土台作りができればいいなと考えています。


COMPANY PROFILE

富田製材株式会社
〒501-3305 岐阜県加茂郡富加町滝田1217-7

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