マガジンのカバー画像

日々雑感

44
運営しているクリエイター

#村田沙耶香

村田沙耶香『星が吸う水』

村田沙耶香『星が吸う水』

村田沙耶香はきわだって性的な作家である……
と言うと語弊がありそうだ。そもそも人間は本来、性的な存在だからだ。
いやいや、決めつけてはいけない。正確には、人間の「大多数」が性的な存在である、というべきだろうか?

村田沙耶香がきわだっている点は、この事実から目を背けたり、糊塗したり、あるいはありきたりの装飾を施すのではなく、裸のままの「性」を真っ直ぐに見つめ、そこから既成の「常識」や先入観をことご

もっとみる
「人はどのようにして他者とつながることができるのか」についての断章

「人はどのようにして他者とつながることができるのか」についての断章

「ラスコーリニコフの孤独」(全11回)では、ひとつの仮説を『罪と罰』の世界観として提示した。

その仮説とは、「人と人との絆は、水平的な横のつながりではなく、天上の神を仲立ちとした、垂直的な縦のつながりである」というものだった。

ラスコーリニコフは、殺人を犯すことで、神との絆を自ら断ち切ったのであり、その結果として、この世界のあらゆる人間から切り離されてしまった。それが彼にとっての「罰」であった

もっとみる
宿泊療養の日々と村田沙耶香

宿泊療養の日々と村田沙耶香

発症の翌日、オンライン診療で陽性の確定診断を受けると、すぐに都の宿泊療養相談窓口に連絡して施設の利用を申し込んだ。
その時点では、いつから療養施設に入れるか分からないとのことだったが、その日のうちに施設の割当てが決定したとの連絡があり、「明日の午後から入所できます」と言われた。
幸運にも、発症三日目から、都内のホテルで宿泊療養を開始できることとなった。

入所当日、午後1時過ぎに、宿泊療養施設の送

もっとみる