みゆき

アラフィフ女性です 趣味は読書。飲み歩き。残りは余生と考えゆる~く生きてます

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最近の記事

Mの告白-7

その後は思惑通りみすずを調教していった。みすずには掃除や洗濯、夜食作りもするように命じた。手抜かりがあった場合には容赦なく縄締めをした後何時間も放置したり、鞭でひどく打ち据えたりした。その後はいつものようにアメを与えた。これで彼女はこの状態から抜けられないと思われた。 しかしこのうまくいっていた関係も思わぬ落とし穴があった。 私自身がこの状態に飽きてしまい、さらなる刺激が欲しくなってしまったのだ。 手術が終わり吸入麻酔剤を切り人工呼吸器から手動に切り替えたあと患者の呼気

    • Aの告白-6

      催眠剤の入ったワインを飲ませてほどなくみすずは眠気を催したので、ベッドの上に寝かせた。すぐに高いびきをかき始めたためにすかさず両手に手錠をかけた。ワインに入れた催眠剤は麻酔導入に使うものなので、30分で効果が切れてしまう。意識が戻る前に完遂させなければならなかった。そのため事前に救急室にあった人体模型相手にネットの画像を見ながら何回か縛ってみた。プラスチックでは縄が滑ってしまいやりにくかったが、人体では縄が食い込むので意外に順調に菱縄縛りが出来た。そのまま覚醒するのを待った。

      • Aの告白-5

        その頃から毎日の生活、仕事に倦んできた。「ヒポクラテスたち」という昔見た映画館で女医役の伊藤蘭が自傷していたが、それを真似て病院から持ってきた注射針で手首を刺してみたり、刺激を求めて早く仕事が終わった夜にはSMバーを梯子した。 みすずは珍しく定時で帰れそうな日の夕方自殺未遂で大学病院に運ばれてきたのだ。頸動脈損傷による出血多量。死にたいやつはさっさと死ねばいいのに、と帰り支度をしていたところに緊急呼び出しを受けた私は舌打ちした。手術室に運ばれてきたときには血圧60、脈拍も低

        • Aの告白-4

          それから数年がたつと私と同期で入った女医は次々と結婚、出産のため休職または短縮勤務となった。その分のしわ寄せは独身の医師の方に来るようになり当直の翌日でさえも夜間麻酔に呼ばれることも少なくなかった。激務に何度も辞めようと思ったこともあったが、ハイリスク麻酔の秒単位で状態が変化することへのひりひりした緊張感、患者の生命を握っているという万能感は代えがたいものがあった。大学病院ならではの特殊な疾患、それに対する麻酔技術を習熟させることは他の民間病院では経験できないことだった。

        Mの告白-7

          Aの告白-3

          両親は兄の死を嘆き悲しんだ。特に兄を溺愛していた母は何ヵ月も寝たきり状態となった。だが月日が流れていき悲しみながらも診療を続けていくうちに徐々に風向きが変わっていった。兄が父の後を継承すると思われていただけにその望みが潰えた今は私に矛先が向いたのだ。医大6年生の頃には内科医院を継ぐように何度も説得された。しかし子供の頃から人とのコミュニケーションが苦手であったので患者と対話が必要な科に行くことは気がすすまなかった。それで国家試験合格後は大学病院の麻酔科に入局した。 しかし患

          Aの告白-3

          Aの告白-2

          その後両親の留守を見計らって、私たちは交わった。兄が言っていたように行為のたびに感度は増していった。一卵性双生児のように相手のしてほしいことが言葉を介さずに伝わって、互いの接合部はしっくりと合った。どうしたら一番気持ちのいい状態で終われるか、開発していくのは楽しい作業だった。 だがその幸福な時間も長くは続かなかった。圭一は大学の医学部に入学するとコンパで知り合った他大学の女子大生と付き合うようになり家に帰らなくなってしまった。一度だけ家の玄関で兄と一緒にいるところに出くわし

          Aの告白-2

          Aの告白-1

          10月も半ばに差し掛かったが、今年も猛暑に引き続き残暑が長引いていた。日中は半袖で丁度よいのだが、朝晩はカーディガンを羽織っても寒いほど季節が進んでいた。そぼ降る雨の中、私は駅までの道を急いでいた。私の家はJR中野駅と地下鉄新中野駅の中間地点にあり、新宿にある職場までの通勤に比較的混雑しない地下鉄を選んでいたが、今日は寝坊をしてしまい時間短縮のためJRで行くことにした。中野駅の南口にある着くと人いきれのため中、傘をたたみ改札をくぐった。 乗車率120%は超えているであろう車

          Aの告白-1

          続Mの告白-5

          どれくらい時間がたったのだろう。否それは一瞬のことだったのかもしれない。息をしていないあずさの顔を見ていた。冷たい蝋細工のような顔。そのとき私に強烈な既視体験が蘇った。それは父のデスマスクだった。 私は思わずあずさの唇に息を吹き込んだ。何度も何度も何度も。胸に顔を押し付けると弱々しい心臓の鼓動を感じた。 「神様、お願いだから生き返らせて」 念じながら何度も息を送り込んだ。あずさの顔が紅潮し、激しく咳き込むまで時間はかからなかった。私はあずさが嫌がる位に強く抱きしめた。

          続Mの告白-5

          続Mの告白-4

          あずさは裕福な開業医の家に生まれた。兄がいたが医学生のときに留年を繰り返して放校となり自らガソリンを被って火をつけ自殺した。3歳下のあずさは親の期待を一身に受けた。成績優秀で国家試験まで躓くことはなかった。卒業後は生身の患者さんと会話するのが苦痛で手術で麻酔をかける麻酔医になったのだという。 「毎日日の当たらない手術室で、会話するのは麻酔医か看護師か外科医」 あずさは振り返る。1年下の研修医の指導をしていたとき「どんな麻酔剤を使用したら楽に死ねるか」という話になった。最初

          続Mの告白-4

          続Mの告白-3

          気がつくと私は縄で縛り上げられベッドの上に転がされていた。後ろ手に手錠がかけられていて、その上目隠しをされている。女医の部屋で飲まされたワインに睡眠薬が入っていたのだろうか 「気がついたみたいね」 「どうしてこんな」 「あなたが奴隷気質だってこと【R】で会ったときからわかっていたのよ。あなたは私の下僕、これから先ずっと」 あずさはそう言うと縄をさらにきつく締め上げた。 「やめて、離して」 あろうことか手錠が股に近いところで結わえられているために手を動かそうとすると

          続Mの告白-3

          私のバーめぐり

          若い頃から呑み助で、飲み歩きが好きでした。昔は何軒かはしごしたりして、深酒をして翌日後悔したりしましたが、中年になってからはこれ以上飲むとまずいぞというところでセーブできるようになりました。ちなみに私の場合はウイスキーダブルで5杯までです。私はとある地方都市の玄関口にあたる駅近くに住んでおりますので、飲み屋には事欠かないのです。一人暮らしを始めてから飲み歩きに拍車がかかりました。週3,4日は外で飲んでいます。最初は自分の素性をよく知っている店に行っていたのですけれども、プライ

          私のバーめぐり

          続Mの告白-2

          【R】は例のアダルトショップからほど近い雑居ビルの地下にあった。 中央のステージを囲むようにボックス席が5つ設えてあった。各々のテーブルには艶やかな衣装を着た若い女性が客に給仕をしている。1人で来る常連客も多いようで、私はその中の一席に案内された。50人は入れるだろうか。着いた時にはほぼ満席であった。 突然照明が落とされ、荘厳なクラシックの音響が鳴り響いた。ショータイムの始まりだ。赤いスポットライトを浴びて首に縄を巻いた女性が跪いていた。背後で縄の先端を握っているのは編み

          続Mの告白-2

          続Mの告白-1

          夢を見ていた。 真っ暗な深海の底を泳いでいた。吐く息はあぶくとなって顔をなぶる。視界は数メートル先に限られていたがどこからともなく光がさしていた。いつか水族館で見た竜宮の使いがきらきらと尾をなびかせている。私は後を追った。尾をつかもうと手を伸ばしたところ、すばやく逃げられてしまった。砂埃が視界をさえぎる。目をこすると霧の先にりょうがいた。抱きつくと体からは無数の触手が出てきて体に絡んできた。ふと見上げると顔も触手で覆われていて、真ん中にぱっくりと毒々しい牙をちらつかせた口が

          続Mの告白-1

          Mの告白-4

          表参道でのデートのときだった。ブティックのショーウインドーに立ち止まって、りょうは髪を整えていた。りょうの映るショーウインドーの中には2体のマネキンが設置されており、今年流行の冬服をまとっている。りょうを挟んで絵になっていた。ところがその背後に映っている中年女性がそれをだいなしにしていた。目の下は弛み、くっきりとしたほうれい線、くびれのないウエスト。体型はダイエットで何とかなるかもしれないが、加齢はいかんともしがたい。これが現実なのだ。私は目を背けた 数ヶ月がたちついに預金

          Mの告白-4

          Mの告白-3

          風俗嬢と客の関係、と割りきってはいたけれど回数を重ねるごとにりょうを思う時間が長くなっていった。りょうと過ごす時間が幸福であればあるほど、日常生活はどんどん色褪せて空虚になった。会う回数も月1から2週に1回、ついには週1になった。オプションでデートコースも併用出来たため、スカイツリーや水族館、映画館へ行った。美しくお洒落なりょうを連れて歩くのが嬉しかった。りょうはこの仕事以外にもいくつか派遣のアルバイトを掛け持ちしており食事はカップラーメンばかりだというので、豪奢なランチをご

          Mの告白-3

          Mの告白-2

          40を前に上京すると都内にワンルームマンションを借りた。家賃がべらぼうに高いことに驚いた。やむを得ず週3回コンビニでアルバイトをすることにした。親からも仕送りを頼むつもりでいたのだがあまりに頻繁だと帰ってこいと言われかねない。引っ越しが落ち着いて数ヶ月後に新宿2丁目にあるその種のバーに行ってみた。 「会員制」と書かれたプレートが貼付されているドアを開けると暗い店内には50代とおぼしき白髪混じりの女性がカウンターの中にいた。ショートカットの若い女の子がカウンターに座ってしどけ

          Mの告白-2