呼吸&マインドフルネス瞑想は慢性的なストレス対策に効果的。
家庭や職場、学校などで、慢性的なストレスやイライラに悩まされてはいませんか?
今回noteでは、呼吸によるマインドフルネス瞑想が根本的なストレス対策に効果的である理由について述べていきたいと思います。
一般的に過度の<ストレス>は、生活習慣病の引き金になるだけではなく、慢性炎症の原因になったり、腸内環境を悪化させたり、長寿遺伝子のテロメアを短縮させたりするとされています。
その「ストレス」のうち、特に気をつけなければならないのは、「キラーストレス」です。
この「キラーストレス」という言葉は、NHKの特集番組でご存じの方も多いかもしれませんが、「キラーストレス」とは分かりやすく言えば、様々なストレスが慢性的に続いたり、重なったりすることで多くの病気をもたらし、下手をすれば命の危険にまで及んでしまう本当に怖いストレスのことです。
ストレスを甘くみてはいけないのだ。ストレスはある条件が重なると、命を奪う病の原因へと形を変えていく。私たち取材班はこのストレスを「キラーストレス」と名づけ、その正体を追うことにした。
(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』 NHK出版新書 p25)
心がさまよう「マインド・ワンダリング」とは?
NHKスペシャル取材班による『キラーストレス 心と体をどう守るか』(NHK出版新書)のなかでは、「闘争か逃走か」という、
「ストレス反応とは、私たちの祖先が「命をつなぐために進化させた大切な体の機能」だった」
としていますが、そのことに加えて、「私たち人類に備わっている「記憶力」や「想像力」」が、「慢性的にストレスが起きている」状況を、さらに悪化させるといいます。
このことはどういうことかといえば、ぼんやりと過去のイヤな記憶を反芻(はんすう)したり、まだやって来ていない未来に対して漠然とした不安を感じたりすることだと思われます。
例えば、職場で上司に叱責されるといった、大きなストレスにさらされた場合を考えてみよう。あなたは、家に帰って上司が目の前からいなくなっても、その場面を思い出しはしないだろうか。そして、また明日も同じようなことが起きるかもしれないと想像したりはしないだろうか。
実は、その度に、脳はストレスを感じて、ストレス反応を起こしているのだ。つまり、脳の中で、われわれは自らストレスを生み出しているかもしれないのだ。このように、目の前の現実についてではなく、過去や未来についてあれこれ考えを巡らせてしまう状態を「マインド・ワンダリング(心の迷走)」と呼び、いま、世界中で関心が高まっている。
(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』 NHK出版新書 p60~61)
情報社会では、私たちの心はさまよいやすくなっている?
心が過去や未来にさまよいだす「マインド・ワンダリング」と呼ばれる状態が、100パーセント<悪い>というわけではないと思いますが、嫌な記憶を想い起こして現在がなおざりになることで、心が「ここにあらず」の状態になり、そのことが心身に何らかのダメージを与えることになるのであれば、やはり心がさまよい続ける状態は早めにストップしたほうが良いと思われます。
また、スマートフォンやSNSが普及することによって、以前よりもメールの通知などにいちいち気をとられるようになったことは確かです。
そして、情報が増えることによって注意散漫になり、現在の時間の流れに集中できなくなっているという意味で、私たちの心がさまよいやすくなっているという点にも、注意が必要になってくるように思います。
私たちはちょっとでも空き時間があると、スマートフォンを手に取り、メールやSNSをチェックしてしまう。そこで目にするテキスト情報は、私たちの思考を回転させる。ついいろいろなことを想像してしまい、心は過去や未来へとさまよい出してしまうのである。
取材で出会ったある精神科医は、スマートフォンが普及して以降、うつや不安の症状を訴える患者が急に増えたという実感を語った。
人類の進化と文明の発展に伴って、ストレスは日々増え続けている。私たちは、無意識のうちに、膨大かつ継続的なストレスと共に生きており、それが過剰になったとき、脳が〝物理的に〟破壊されることを肝に銘じなければならないだろう。
(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』 NHK出版新書 p62~63)
呼吸によるマインドフルネス瞑想がキラーストレス対策に効果的な理由。
しかし、「上司に注意されたことを振り返ってくよくよしたり、また叱られるかもしれないと想像したりする度に、ストレスが脳の中で再生産され、ストレスホルモンの過剰な分泌につながる」のは、「マインド・ワンダリング」による弊害ですが、「マインドフルネス瞑想」を実践することによって、ストレスが脳の中で再生産されるのを防ぐことができるのです。
なお、NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』には、マインドフルネス瞑想の方法として、以下が掲載されています。
「背すじを伸ばして、両肩を結ぶ線がまっすぐになるように座る」
「呼吸をあるがままに感じる」
「わいてくる雑念や感情にとらわれない」
「体全体で呼吸する」
「体の外にまで注意のフォーカスを広げていく」
「瞑想を終了する」
(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』p185~187より抜粋)
実践してみると、「今の瞬間の現実」に気づいていくことで、頭や心がスッキリするような不思議な感覚を実感できると思う。そのことによって、ストレスが低減されるという確かな効果が科学的にも実証されている。
(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』 NHK出版新書 p188)
マインドフルネス瞑想でストレスホルモンの分泌を抑えられる可能性がある。
さらに、NHKスペシャル取材班による『キラーストレス 心と体をどう守るか』において、マインドフルネス瞑想の実践は、ストレスにむしばまれて萎縮した海馬が回復する可能性や、慢性炎症に関わる遺伝子の働きの低下させるといった研究結果が示されている点は、非常に興味深いといえます。
マインドフルネスを行うことによって、この悪循環を止めることができるのだ。過去の出来事にとらわれたり、ありもしない未来の不安にさいなまれることによってストレスが増幅することがなくなり、ストレスホルモンの分泌が抑えられる可能性があるのだ。
(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』 NHK出版新書 p188
呼吸によるマインドフルネス瞑想をこまめに実践してストレスに立ち向かう。
このように、慢性的なキラーストレスに心身がむしばまれるのを避け、根本的にストレスに立ち向かうためには、普段から呼吸によるマインドフルネス瞑想をこまめに実践することが非常に有効だと思われます。
では、呼吸によるマインドフルネス瞑想の方法とは、具体的にはどのようなものでしょうか?
呼吸によるマインドフルネス瞑想のポイント
◎ゆっくりと気持ちよく呼吸することを心がける。
◎無理に「正しい」呼吸をしようとしない。
◎頭に雑念が浮かんできたら、「雑念、雑念、雑念」とラベリングする。
無理に「正しい」呼吸を意識する必要はない。
ところで呼吸法の種類には胸式呼吸、腹式呼吸、逆腹式呼吸、丹田呼吸、完全呼吸などがありますが、無理に「正しい」呼吸法を意識する必要はないように思います。
なぜなら、正しい呼吸法があると思ってしまうと、そのことに囚われてしまい、気持ちよく呼吸が出来なくなるからです。
つまり、無理に「正しく呼吸しなくちゃ」と焦る必要はなく、肩の力を抜き、程よいリラックスを心がけて気持ちよく行うことが、呼吸する際は何よりも大切なのです。
このことは私自身が様々な呼吸法を試してきたうえでの結論であり、自分の呼吸を「本来の型」のようなものに無理に当てはめようと意識すると、途端に呼吸は不自然なものになってしまうのです。
もちろん、ヨガのインストラクターなどに、正しい呼吸の方法を教わって実践するのも良いと思いますが、呼吸法が分からないうちは、自分で心地よいと感じる呼吸を自然に行ってみるのが一番かもしれません。
マインドフルネス瞑想で「呼吸」に気づく。
では、マインドフルネス瞑想で呼吸に気づくようにしてみましょう。
座布団や椅子に座り、気持ちよく背筋を伸ばし、肩の力を抜いてリラックスしたら、ゆっくりと鼻で息を出し入れしてみてください。
吸う息も吐く息もどちらも同じくらい大切ですが、やはり重要なのは、呼吸を意図的にコントロールしようとせず、自然に行うことです。
鼻のちょうど下あたりを意識して、息を出し入れする際の感覚や微細な変化に集中してみます。
その際、息を吸う時は、
「吸います、吸います、吸います」
吐く時は、
「吐きます、吐きます、吐きます」
と、言葉による実況中継を行ないながら呼吸してみると、集中しやすいです。
また、もし呼吸によるマインドフルネス瞑想を深めている際に、頭の中に過去の後悔や未来への不安などが思い浮かんできたら、そのことに対して「良いこと」「悪いこと」と自分の価値観で判断せず、
「雑念、雑念、雑念」
もしくは
「妄想、妄想、妄想」
と言葉によってラベリングするようにします。
もちろん、仕事で失敗したり、他人の言動にイライラしたりしている時は、普段よりも心に思い浮かんだことを「雑念」や「妄想」として片づけることは難しいかもしれませんが、しかしそのような際にラベリングによって対処してみることは、実はかなりの心の訓練になるのです。
忙しい時やイライラした時こそ、「呼吸」によってマインドフルネス。
特に時間に追われる忙しい毎日を送っていると、当たり前のように行なわれている<呼吸>の大切さに気づくことが難しくなってくると思われます。
しかし、「息」とは「生きる」ことと同義であるように、呼吸のあり方と、その人自身の生きることへの態度や姿勢、心の状態は、実は密接に関わっています。
日頃から時間に追われてばかりで、十分にリラックスする機会を持てない場合は、それだけ身体が前のめりになりがちで、呼吸も浅くなり、緊張状態が続いて交感神経ばかりが優位になっています。
また、そのように交感神経ばかりが優位になり、副交感神経がうまく働かなくなると、自律神経のバランスが崩れ、免疫力や生命力は低下してしまいます。
呼吸によるマインドフルネス瞑想が時間のゆとりを作り出す。
その一方で、呼吸に気づくためのマインドフルネス瞑想を実践すれば、自律神経のバランスが整い、かなりのストレス軽減が期待できますし、前のめりにならず、周りに流されず自分自身で時間のゆとりを作り出すことが可能です。
このように、呼吸によって心身をコントロール出来る理由には、呼吸の働きが関わっています。
呼吸の際、腹圧によって上下する横隔膜は、リラックス効果をもたらす副交感神経とつながっています。
もちろん、自律神経はバランスが大切であり、副交感神経ばかりが優位になることが良いとは限りませんが、副交感神経は心拍数を抑制したり、内臓の働きを活発にしたりするため、呼吸を意識して深めるようにすることは、緊張状態やストレスの緩和に役立つのです。
レジの行列に並んでイライラしてきたら、マインドフルに自分の呼吸に気づく。
以上、今回のnoteでは、呼吸によるマインドフルネス瞑想が根本的なストレス対策に効果的である理由について述べてみました。
ちなみにストレス軽減のために、呼吸によるマインドフルネス瞑想を行う際は、自然の中や公園など、落ち着けたり、リラックスできたりする場所を選んだほうが、より効果的です。
また、普段、青信号やレジの会計を待っている間でも、マインドフルに自分の呼吸に気づくようにする習慣をもつようにすることも、慢性的なストレス対策として有効です。
ぜひ、ストレスやいらいらに悩まされることが多い場合は、マインドフルネスで本当は常に「今・ここ」にある<呼吸>に気づいてみてください。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
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