ゆっくりとした深い呼吸を意識することが、免疫力の低下を防ぐ。【これからの免疫力を高める習慣10】
普段の「呼吸」に注目することで、薬やサプリメントに頼らずに、病気になりにくい、免疫力を高める生き方、始めてみませんか?
前回は、ゆっくりとした腹式呼吸を習慣にすることは、日々のストレスケアにつながるということについて述べました。
ちなみにゆっくりとした深い呼吸に関して、科学ジャーナリストのキャロライン・ウィリアムズ氏は、『MOVE この自然な動きが脳と体に効く』(梅田智世 訳)のなかで、「10秒間に1回、息を吸って吐く呼吸は、呼吸に関わる体の動きを血流、血圧、血中酸素濃度に結びつける生理学的なスイートスポットを直撃」し、
「さらに、自律神経系のバランスを「活性化」から「沈静化」に切り替えるはたらきもある」
と述べています。
またストレス反応と呼吸の関係について、氏が同書のなかで以下のように述べていることは注目に値します。
さらに、
とし、
とも述べています(1)。
近年その機能について関心が持たれている「迷走神経」に関しては特に、
「5秒で息を吸い、5秒で吐く。この呼吸で、最大限の酸素を取り込めるだけでなく、体を落ちつかせる副交感神経の一部をなす迷走神経を刺激できる」
とし、迷走神経の活動レベルが高いと、「ストレス後に反応をオフにする能力が高い」と述べていることは注目に値します(2)。
ここでキャロライン・ウィリアムズ氏は、
「副交感神経系の役割は、心配ごとが何もないときに、体を落ちついてリラックスした状態に保つこと」にあり、
「掛け値なしに重要な問題や命を脅かす心配ごとがないかぎり、あなたは本来リラックスして落ちついた状態でいられるようにできている」
とし、さらに、
「迷走神経活動の活性を高くしたからといってストレスを受けなくなるわけではないが、柔軟性の高いシステムを持っていれば、ストレスのあとに速やかに通常の状態に戻ることができる」
とも述べていますが、大切なのは、本来は、呼吸は基本的に深くゆったりとしており、体は普段からリラックスしている状態が当たり前だということです。
一方、現代社会において問題となるのは、やらなければいけないことが多すぎて常に時間に追われる忙しい毎日を送っていたり、報道番組のお金や病気や戦争についての情報に接する度に不安になったりして本当に気持ちが休まることが少なく、意図的に呼吸を深めようとしないと、いつの間にか呼吸が浅くなってしまうことであると考えられるのです。
つまり、繰り返すようですが、慢性的なストレスによって、自律神経のうち交感神経が優位な状態が長く続き、副交感神経へのスイッチが入りにくくなっているのです。そして「免疫力が低下する」とは、このような状態と関係してくると思われるのです。
注釈
1 『MOVE この自然な動きが脳と体に効く』 キャロライン・ウィリアムズ 著 梅田智世 訳 インターシフト
2 前掲書
次回へと続きます😊
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