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「ゆっくり呼吸」で自律神経のバランスを整えることが免疫力の低下を防ぐ。【これからの免疫力を高める習慣8】

薬やサプリメントに頼らずに、病気になりにくい、免疫力を高める生き方、始めてみませんか?

前回は呼吸と免疫力アップの関係について述べました。

今回は「ゆっくり呼吸」で自律神経のバランスを整えることが免疫力の低下を防ぐということについてです。


日頃からマスクや手洗いといった対策はしっかりしているものの、どういうわけか風邪をひきやすいなど、「免疫力の低下」が気になるという方は意外と多いのかもしれません。

そういう時は、ドラッグストアに駆け込んでサプリメントや健康食品に頼るよりも先に、自律神経のバランスを整えてみることが効果的だと考えられます。


その自律神経は、交感神経と副交感神経から成っており、血管に巻き付くようにして全身に張り巡らされているものです。

興奮したり緊張したりすると交感神経が優位になり、一方、休息したり、リラックスしたりすると、副交感神経が優位になると言われています。

車に例えるならば、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役目を担っています。

そして交感神経が優位になると、白血球中の免疫細胞である「顆粒球(かりゅうきゅう)」が増え、副交感神経が優位になると、「リンパ球」という免疫細胞が増えるとされています。

このふたつの免疫細胞はどちらも、自律神経の乱れが原因で過剰に増えてしまうと、活性酸素の働きによって病気が引き起こされる、アレルギーの原因になるなど、健康な状態から遠ざかってしまうと言われています。

このことに関して、免疫学の第一人者である安保徹氏は『免疫進化論』のなかで、

「多くの病気(七〇%くらい)は交感神経緊張側への偏りで起こるが、一部(三〇%くらい)は副交感神経優位側への偏りでも起こる」

と述べています。


つまり、より健康的な毎日を過ごすためには、交感神経と副交感神経のバランスを整えることが重要であるのです。

しかし、現代人の多くは、自律神経のうち、交感神経の方が優位になりがちであるとされています。

このことは健康についての本などでよく言われることですが、その理由は職場での仕事であれ、家事であれ、育児や介護であれ、休む暇なく一日中時間に追われて働くことが多いからです。

また、たとえ休む時間が出来たとしても、その度に「アテンション・エコノミー」(注意経済)の影響によって、常に注意や関心がスマートフォンやインターネットが発信する情報の方に向いてしまうことも問題です。

つまり、「いつも何かをしていなければならない」「常に忙しくしていなければならない」と思い込んでしまうと、車で言えばアクセルを踏みっぱなしの状態になるのであり、きちんと静止して休息を取ることが出来なくなってしまうのです。

ほかにも、日常生活のなかで何かと「ストレス」を感じることが多いという方は、「闘争か逃走か」というストレス反応によって警報が鳴りっぱなし、緊張して肩の力を抜くことが出来ず、一日のうちで本当にリラックスできる時間をなかなか取れないのではないでしょうか?


腹式呼吸を実践する習慣が自律神経のバランスを整える。

では、交感神経が優位になりがちの場合、誰でも今から始められる自律神経のバランスを整える方法はあるのでしょうか?

あるとしたら、それは普段の「呼吸」を意識することです。

 というのは、ストレスや慢性疲労などで気づかないうちに浅くなってしまっている呼吸を整え、意識的に深い呼吸を行なっていくことは、自律神経のバランスを整えるのに有効な手段だからです。

深い呼吸によって心身をコントロール出来る理由としては、呼吸の際、腹圧によって上下する横隔膜が、リラックス効果をもたらす副交感神経とつながっていることが挙げられます。

とはいっても、浅い呼吸が当たり前になっていると、いざ深い呼吸をしようとしても、なかなかうまく出来ないものです。また、大きく息を吸って一度に多くの酸素を闇雲に取り込めば良いというわけでもありません。

このことについて、医師の根来秀行氏は『病まないための細胞呼吸レッスン』のなかで、

 呼吸が浅い人は、普段から肩や胸で息をしていることが多く、横隔膜をはじめとする呼吸筋が衰えがち。呼吸筋が衰えると、日常の呼吸が浅くなるだけでなく、意識して深い呼吸をしようとしても、うまくできなくなります。30~40代になって筋肉の老化が始まると姿勢が保ちにくくなり、多くの人がますます呼吸筋が衰えるという悪循環に陥ります。

と述べています。

そして、

 ガチガチに固まった呼吸筋では、どんなに息を吸い込んでも、酸素を細胞まで届かせる効率が下がります。まずは、ストレッチで呼吸筋をほぐして、動きをよくしましょう。そのうえで、日頃怠けがちな横隔膜を使って深い呼吸をするトレーニングをしていきます。鍵となるのは横隔膜を使う腹式呼吸です。

としています。


根来秀行『病まないための細胞呼吸レッスン』

さらに根来秀行医師は、

「腹式呼吸は胸式呼吸に比べて少ない呼吸数で、より多くの空気を取り込めます」

「腹式呼吸は主に横隔膜の上下運動で空気を取り込みます」

「横隔膜には自律神経が集まっているので、横隔膜を大きく動かす腹式呼吸を行なえば、副交感神経が高まりリラックスし、脳内でハッピーホルモンも分泌されやすくなります」

と説明しています。


また副交感神経は心拍数を抑制したり内臓の働きを活発にしたりするため、腹式呼吸によって呼吸を深めることは緊張状態やストレスの緩和に役立つのです。

ちなみに私が実践している腹式呼吸の基本は、まず鼻から「ふーっ」と息をゆっくりと長く吐いていき、お腹をへこませていきます。そして息を吐ききって苦しくなったら、お腹の力を抜きます。すると無理に息を吸おうとしなくても、「スッと」息が入ってきます。

最初は「吐く」と「吸う」の割合が「1:1」でも構いませんが、出来れば「2:1」程度にしてみるのがオススメです。

つまり、6秒吐いたら3秒吸う、10秒吐いたら5秒吸う、といった感じです。また後で述べるつもりですが、吐く息と吸う息の間に、息を止める時間を数秒はさむと、より呼吸を深めるのに効果的です。

腹式呼吸の基本

以下、『病まないための細胞呼吸レッスン』のなかで「複式呼吸の心得」がより詳しく説明されているので、そのまま抜粋いたします。


「複式呼吸の心得」

1 最初に息を吐く
息を吸うのは無意識でも必ず行うが、息を吐くのはおざなりになりがち。まずは、息を吐いて、空気を出しきるところからスタート。「吸わなければ吐けない」という思い込みは、息の吸いすぎにつながるので要注意。

2 吐く息も鼻から。吸う息よりゆっくり長く
吸う息よりも吐く息を長く行う。おなかがゆっくりとへこんでいくのを感じながら、鼻から細く長く同じペースで吐いていく。

3 息を吐くときには引き上げるイメージ
息を吐くとき、横隔膜と骨盤底筋群は引き上げられるが、反対に押し下げてしまう人も。吐くときは肛門→恥骨→おへそ→横隔膜へとチャックを閉めるように引き上げて。

4 息を吸うときは舌を上あごにつける
口呼吸を予防。吸うときも吐くときも鼻から行うのが基本。

5 肩の力を抜き、息を吸うことをがんばらない
いっぱい吸い込もうとすると肩に力が入り、悪い腹式呼吸になるので要注意。

根来秀行『病まないための細胞呼吸レッスン』 69頁より抜粋



毎日忙しすぎてイライラしたり、人間関係で精神的なストレスを感じたりして呼吸が浅くなった時は、そのつど、あえてゆっくりとした呼吸を心がけてみる。そして深くゆっくりとした呼吸が習慣として自然に出来るようになると、それだけで免疫力の低下を防ぐことが可能なのです。

 次回へと続きます😊

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます😊



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