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なぜ運動することは、免疫力の低下を防ぐために効果的なのか❓【これからの免疫力を高める習慣17】
運動を日々の習慣にすることで、免疫力を高める生き方、今から始めてみませんか?
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前回まで、音楽や音の響きにマインドフルに耳を傾けることが、免疫力の低下を防ぐということについて述べてきました。
今回からは、「運動」することが免疫力の低下を防ぐために効果的であるということについて書いていこうと思います。
![「運動」することが免疫力の低下を防ぐために効果的である](https://assets.st-note.com/img/1722478579161-BlfucoZajM.jpg?width=1200)
日々の生活のなかで、親や教師や上司にいきなり怒鳴られたり、散歩していたら車にひかれそうになったり、生まれて初めて台所に大きなゴキブリがいるのを発見したりして心臓がドキドキし、呼吸が浅くなった場合、私たちの体ではいわゆる「ストレス反応」が起きています。
そして、「闘争か逃走か」というこのストレス反応は、警報システムである脳の「扁桃体」から始まり、「HPA軸」によって起こるとされています。
刺激 → 扁桃体 → 視床下部(H) → 下垂体(P) → 副腎(A) → コルチゾールの分泌 → 動悸など身体の反応
そして、他の記事でお伝えしたように、免疫力の低下の原因の一つは、ストレスが長期化することによって、ストレスホルモンであるコルチゾールの値が高いままになってしまうことであると考えられているのです。
そのため、免疫力の低下を防ぐためには、ストレスが長引かないよう、日頃のストレス対策が重要になってくるのです。
そして「運動」を日々の習慣にすることは、ストレス対策のために有効なのです。
![「運動」を日々の習慣にすることは、ストレス対策のために効果的](https://assets.st-note.com/img/1722477399678-7Kpp89Tmur.jpg?width=1200)
ではなぜ「運動」がストレス対策のために有効なのでしょうか?
このことに関して、精神科医のアンデシュ・ハンセン氏は『運動脳』(御船由美子 訳)のなかで、ストレスホルモンであるコルチゾールをコントロールし、ストレス反応を抑えるためには、「運動」が効果的であるということを示唆しています。
たとえば、一般的に記憶の中枢といわれる脳の「海馬」は、「感情を暴走させないためのブレーキとして働いて」おり、「ストレス反応を抑制することで、ストレス反応を引き起こす扁桃体の働きを相殺している」と述べています(1)。
つまり、脳の海馬は、ストレス反応を引き起こす扁桃体に対して、ブレーキの役割を担っているというのです。
しかし「海馬の細胞は過度のコルチゾールにさらされると死んでしまう」と言います。
そのため、「慢性的にコルチゾールが分泌されると――それが何か月も、あるいは何年も続くと、海馬は萎縮してしまう」のだそうです。
そしてアンデシュ・ハンセン氏は、以下のように述べています。
扁桃体が長期にわたってストレス反応を引き起こしつづけると、海馬のブレーキはすり減ってしまう。そして、アクセルである扁桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。こうして、ストレスがストレスを生むという悪循環に入る。
これが、ストレスが長引いたり慢性化したりするメカニズムである。長期的なストレスによって脳が損傷を受けるのは、この悪循環によるものだ。
![アンデシュ・ハンセン『運動脳』 御船由美子 訳 サンマーク出版](https://assets.st-note.com/img/1722407284916-y7tkF3NLWg.jpg?width=1200)
すなわちここで問題となるのは、コルチゾールによって海馬が萎縮してしまうと、ストレス反応が抑えられにくくなり、結果的に「ストレスがストレスを生むという悪循環」が生じてしまうということです。
ところが、「運動」を行うと、結果的にストレスによるコルチゾールの分泌量は抑えられるというのです。
たとえばランニングやサイクリングといった運動をすると、「肉体にかかる活動は一種のストレス」であるため、「それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増える」のですが、
「運動が終われば、身体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量は減り、さらにランニングを始める前のレベルにまで下がっていく」
といいます(2)。
しかも「定期的に運動を続けていると、運動以外のことが原因のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。」というのですが、その理由は「運動が、ストレスに対して過剰に反応しないように身体をしつける」からであると氏は説明しています(3)。
次回へと続きます😊
注釈
1 『運動脳』 アンデシュ・ハンセン 著 御船由美子 訳 サンマーク出版
![アンデシュ・ハンセン『運動脳』 御船由美子 訳 サンマーク出版](https://assets.st-note.com/img/1722407260202-msVD3F29V6.jpg?width=1200)
海馬は記憶の中枢といわれるが、それ以外にも、感情を暴走させないためのブレーキとして働いている。海馬はストレス反応を抑制することで、ストレス反応を引き起こす扁桃体の働きを相殺しているのである。
この状態は、ストレスが生じる状況以外でもずっと続いている。扁桃体と海馬は常にバランスを保ちながら、互いに綱引きをしているのだ。
要するに、扁桃体がアクセルを、海馬がブレーキを踏んでいる状態である。
2 前掲書
ストレスにうまく対処するのに、コルチゾールが脳におよぼす影響を減らすことが有効なのは間違いない。
ここで、いよいよ運動の出番だ。あなたがランニング、あるいはサイクリングなどの運動をすると、それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増える。なぜなら肉体にかかる活動は一種のストレスだからだ。
筋肉を適切に動かすためには、より多くのエネルギーや酸素が必要なので、血流を増やそうとして心臓の鼓動は激しくなる。そして心拍数と血圧が上昇する。この場合のコルチゾールの働きは正常であり、身体を動かすために必要な反応だ。
しかし運動が終われば、身体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量は減り、さらにランニングを始める前のレベルにまで下がっていく。ランニングを習慣づけると、走っているときのコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、走り終えたときに下がる量は逆に増えていく。
3 前掲書
定期的に運動を続けていると、運動以外のことが原因のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。運動によるものでも仕事に関わるものでも、ストレスに対する反応は、身体が運動によって鍛えられるにしたがって徐々に抑えられていくのだ。
つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないように身体をしつけるのである。単に運動をしたために「全般的にいくらか気分がよくなっている」だけでなく、身体を活発に動かしたことでストレスに対する抵抗力が高まるのである。
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