あの果物が入った、不思議な冷製パスタ。

これは、とある初夏のお昼に、私の尊敬するシェフ(父親)が作ったパスタである。最近食べたあの「不思議」な味のパスタを共有したく思い、ここに残してみることにした。始まったばかりの夏の暑い日に、サッパリしたものが食べたくなったら、このパスタをぜひ作って食べてみてほしい。


《材料(2人分)》

トマト(少し大きめ)⋯2個
ツナ缶⋯1缶
とある果物⋯1個
レモン汁⋯適量
塩⋯適量
こしょう⋯少々
オリーブオイル⋯大さじ1~2
スパゲティ(カッペリーニ)⋯150~180g


ここで先に断っておきたいのは、分量ははっきり言って、「かなりテキトー」であるということ。仮にもレシピを載せるハッシュタグまでつけて投稿しているのに、このザマとは……しかし、この料理は、長年続けてきた料理の勘を持つ、うちのシェフが産んだ<偶然の産物>なのである。だから、味の加減は、いつだって彼の勘次第。これをふまえた上で、どうか許していただきたい。
(これもまた言い訳がましいのだが、この文章は、独りよがりな私の、ひとりごとのようなものであることも、留意していただけると幸いである。)

これらの駄文はさておき、話題を料理の方に。
《材料》のところで、あえて「とある果物」と記載してみた。勿体ぶるのはここまでにして、その正体を明らかにしよう。

「とある果物」とは、ズバリ……キウイである!🥝
どうやらこれを作ったときの彼は、冷製パスタに「キウイ」を使ってみたかったらしい。その上、どっかの食用パンの宣伝文句みたく、余計なものは入れないというポリシーをもって、味付けもかなり簡素にしてある。それでは作り方のご紹介へと移ろう。


《作り方》

1.トマト2個は、1~2cmほどの角切りになるよう切る。キウイ1個は、皮を剥いてから、さいの目切りで切る。また、ツナ缶1缶は、油を切った状態にする。
2.ボウルに、1.で用意した具材を全て入れる。さらに、調味料類(レモン汁、塩、こしょう、オリーブオイル)も入れ、混ぜ合わせる。これでパスタソースは完成。
3.カッペリーニのスパゲティを、表記時間通り茹でる。茹で終わったら、冷水でヌメリを十分に取り、水気をしっかり切る(←シェフ曰く、ここがめちゃくちゃポイントらしい)。
4.水気を切りまくったカッペリーニパスタを、2.のパスタソースの入ったボウルに入れる。パスタとソースをしっかり絡めたら、お皿に盛り付ける。

これで完成!!!至ってシンプルなレシピである。
※食べてみて塩味が足りない場合、味の調整のために塩を少しずつ加えながらのお召し上がりを推奨します。


二十数年生きてきた私にとって、このパスタとの出会いは、未知の感覚を味わった瞬間だった。冷たいパスタが口に入り、そのあとに具材たちが口の中で挨拶する。トマトやツナは私にとって昔から馴染みがあるため、「おー!君たち久しぶりだね、元気だったかい?」くらいの挨拶で済む。
しかし、キウイの甘さが通り過ぎた時、コイツには魂消た。新入りのキウイは、私を宇宙ネコにさせたのだ。初めは「君は一体誰だい?……あ!桃くん?🍑違うのか…じゃあ蜜柑さん!🍊……え、違うの?」私の口内では、この問答の繰り返しがなされた。きっと何かの果物なんだろうけど……でも、一体どなた様?とずっと考えてしまう。
大ヒントの黒い種を目の当たりにしても、結局私はこの子の存在に自力でたどり着くことはできなかった。このパスタの生みの親に教えてもらうまで、全く検討がつかなかったのである。正体を何としてでも自分で解明したかったのに……なんとも悔しい結果となった。

これまでに全国を旅して回って、さまざまな土地でたくさんの料理を食べてみたって、家で出てきた料理の隠し味のキウイにも気づけなかった私……🥝
余談であるが、果物の中で、私の苦手な部類のひとつに、このキウイが挙げられる。キウイ単体で食べることに私は若干の抵抗を覚えるのだが、冷製パスタの具材としてだと、難無く食べることができた。恐らくだが、ここにおけるキウイは、さいの目切りにされたことで、かなり小さめのサイズでの「優しい甘味」として君臨し、パスタソースの塩気を引き出す役割を果たしたのではないか。私はこのように考察している。

久しぶりに我が家で食べた、食べたことのない家庭料理のレシピをここに残し、誰かがこのレシピを目にしたことで私の感じた悔しい想いを供養できれば、私にとってこの上ない幸いである。

(写真なくてすみません。いつか作ってここに載せます。)


今日のところは、こんなもので。

#レシピ部門


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