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アラビアンマジック DE コシャリ革命!

初めて見るカイロの街は、銃に打たれまくって今にも死にそうなというかお前はもう死んでいるというような車が放置されてあったり、牢屋に半ば無理やり投獄されたまま食事も与えられず、そのまま餓死して干からびてしまったようなゴミの山があったり、もはや何かの呪文にしか見えない摩訶不思議なアラビア文字が宙にたくさん浮いていたりして、これはなんとも非現実感漂う国に来てしまったゾ、と、心がざわついた。

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お昼ご飯を食べに向かっている。
海外に行くと、その国々によって”推し”な食べものがあると思うのだけど、私はこのエジプトでどうしても食べてみたいものがあった。その名もエジプトのソウルフード”コシャリ”だ!

コシャリは、エジプト国民にとって日本人のラーメンや牛丼のような存在で、お手軽な国民食。
みんな日々お世話になる食べものなので、あちらこちらにたくさんお店があるらしい。そのぶん、美味しさもピンからキリまで様々のようで、その中でもおいしいと有名なお店、”Abou  Tarek(アブー・ターレク)”に行ってみることにした。

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アブー・ターレクっていうお店の名前も響きがマジカルだけど、改めてアラビア文字がすごい。文字が踊っている。私も負けじと呪文を唱えてこんにちはー!アブラカタブラ開けゴマー!

押したら簡単にひらく扉を開けると、噂通りの大繁盛。お店の中は、まだ見慣れぬエジプト人のお顔がたっくさん。不慣れな国、お店に入るのはまだちょっと緊張しちゃうね。

少し太っちょでちょび髭をこさえたおじさんが、颯爽と私を席に案内する。小綺麗に整えられた白い服をシャキッと着こなし、それに見合うようなテキパキとした動き。あまり笑わないけど、誠実そうな気がしてる。

店内はやや混み合っていて、相席コシャリが余儀なくされた。私の相席相手、、なかなか濃いめのおじさまと相席コシャリ。まだ見慣れないエジプト顔を前に落ち着かないけど、身なりがきちんとしていて、紳士的に微笑んでくれたので一安心。

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このお店のメニューはコシャリしかないので、サイズを聞かれるだけの簡単注文。初めてのコシャリにワクワクが止まらないゼ、とソワつくも束の間、私のもとにコシャリがすぐさまやってきた!

濃紺と金の組み合わせで彩られたお皿は、コシャリ専用の魔法の絨毯みたいで、ウエイターのおじさんが、「これから素敵なショーをお見せします」とでも言うような手つきでひらりひらりと私の目の前にコシャリを置いた。おじさんの誇り高き手練れ感と、私のワクワクが相まって、その様子はアブラカタブラなマジックショーのように見えてならなかった。

目の前に登場したコシャリは、並盛りをオーダーしたものの、これ大盛りちゃうんかというくらいのボリューミーさを見せつけてきた。置かれたお皿は2つ。ひとつはコシャリ。お米、マカロニ、スパゲッティ、レンズ豆、ひよこ豆が混ぜ合わされたものだ。もうひとつは、追いひよこ豆、フライドオニオン、トマトソース、というコシャリを美味しくするための3点盛り。

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ともあれ、コシャリのルックスの残飯感はどうしたものか。エサと言っても過言ではないような...。
食べ方も分からないけど、目の前のおじさまのマネっこをして食べてみよう。コシャリに3点盛りを容赦なく全てぶっかけて、まぜまぜしながら食べるようだ。ひと口め、、、アムロいきまーーす!

、、、、!!

こ、これは、、!米、マカロニ、スパゲッティという、30代女子にはどう考えたって敵でしかない炭水化物という名の三重苦を背負った魔物、、!が、異国情緒あふれるスパイス入りトマトソースと絡み合うことにより、三重奏を奏でるパラダイス行きの箱舟にチェンジ!ノアが生き延びるほどの、モーゼが海を割るほどのミラクル革命!これこそまさにアラビアンマジック。

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侮るなかれ!コシャリはここで終わらない。
さらに、カルと呼ばれるお酢と、シャッタと呼ばれる辛みソースをかければあら不思議、みるみるうちに味変するのであーる!
こんれっが!また最高だのなんのって、お酢と辛みソースだけでこんなに魔法のかかる食べものある!?ってほどに、コシャリのいいところ全てを引き出してしまうわけ。うまい。んまーーい!!

しかもテーブルに置かれたカル(お酢)&シャッタ(辛みソース)が、魔法のランプみたいな銀食器に入ってるんですよ。もうジーニー出てきそう。なんなら山ちゃん希望!最高だ!

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こんなアラビアンマジックみたいなショーでお腹いっぱい満足して、コシャリの値段がたったのEGP20(≒135円)!!!おかしい、、おかしいぞ、、値段までおかしくてもうこれは本当に摩訶不思議な世界に来てしまったのかもしれないぞ。ちなみにペプシはEGP7(≒45円)。一体全体どうなっちまってるんだい!

すべては、この”アブー・ターレク”のオーナーであるアブー・ターレクさんの偉業に拍手なのだ。マツモトキヨシみたいな店名にしやがって。店内に自分の肖像画飾りまくりやがって。このポーズ完全にお調子者でしかないやん!(好きだー!)

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このお店、実は4階建ての大きな自社ビルで、さらにはコシャリだけで築きあげたというコシャリ御殿。4フロアすべて客席。ここに来るたくさんのお客さんを幸せにしてくれて、アブー・ターレクおじさん、ありがとう!!

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私はコシャリの魔法にかかったまま、ウキウキスキップでお店をあとにした。
今までいろんな人たちに聞かれてきた「どの国の食べものが一番おいしかった?」問題。今まではそれぞれの食べものに良さがあって一番を決められなかった。だが!しかし!だけども!ついにここにきて、私の中でコシャリ革命が起こった!

OH!いつでも胸にRevolution!
ア!ブラ・カタ・ブラ〜君よ〜俺色に染まれ!
ア!ブラ・カタ・ブラ〜恋よ〜愛色に変われ!
ア!ブラ・カタ・ブラ〜友よ〜夢色に染まれ!
ア!ブラ・カタ・ブラ〜涙〜虹色に変われ!

うん、そうだよ!全部変えられる。コシャリなら、コシャリの力があれば、残飯グルテン魔物飯なるものが幸せ溢れるネ申ご飯に変わったもの。

これからは声を大にして言える。
「米米コシャリ倶楽部会員!東雲志乃!私が一番おいしいと思うのは、ここエジプトのコシャリでーーーす!」

スキップをしながらの帰り道、死にかけてた車と干からびたゴミを改めて見かけて魔法が解けそうになったけど、さっきのコシャリ屋にあった、謎のアラビアン宇宙船と、地面に散りばめられた謎のエメラルドグリーンの粉みたいなゴミ?もだいぶ不思議だったなと思い出し、またもや鼻歌を歌いながら帰路に着く私なのであった。ABRACADABRA ABRACADABRA.....♩

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夜のアブー・ターレクも、いいっ...!

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【Abou Tarek(アブー・ターレク)】
住所:Marouf St. 16,Downtown
電話:(02)25775935
営業時間:7:00〜23:00(年中無休)

【コシャリ】※変動あり
小盛り:EGP15(≒100円)
並盛り:EGP20(≒135円)
大盛り:EGP25(≒170円)

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