『星降る夜のララ』7(最終)
【続き】
ーー私のお父さんとお母さんも?
ーーそうだね。ララ以外はみんな集まってきているからね。
ーーみんなはどうなってしまうの?
少年はララの瞳をじっと見つめました。ララも少年の瞳をじっと見つめました。いつのまにか、ララはその瞳のなかにいました。
少年の瞳のなかには、これまでみたことがないほど青白く輝く月光花が一面に咲いており、ララはそのねっとりとした香りに埋もれ、まぶたが重くなりそうでした。
遠くでヒカリの声が聞こえます。
ーーずっと昔にも来たことがあるんだ。その時はララはいなかったから、代わりにたくさん月光花を置いていったんだ。でも今晩は……
ララを取り巻く月光花の光が強くなり、ララは自分の体から光が出ているように感じました。でも、ちっとも怖くはありませんでした。
ただ、もうヒカリには会えないことだけは分かりました。ララの瞳から、涙がポロリと流れ、小さな流れ星になって消えました。
ーーさようなら、ララ。
ーーさようなら、ヒカリ。
すべては夜の闇に消えていきました。
ララとニコが丘で目を覚まし、急いでお家に帰ると、お母さんはまだ床ですやすやと寝ていました。ララがお母さんの体をゆすり、ニコがお母さんの顔をペロペロとなめると、お母さんはようやく目を覚ましました。
「あら、ララ。おはよう」と、お母さんはのんきに言いました。
そのあと、星降る国ではあまり大したことは起こりませんでした。王様もお父さんも町の人たちも、国中のみんながあの夜のことを口にすることもなく、以前のように平和に仲良く暮らしました。
月光花はもう一輪も、咲かなくなりました。
【了】
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