奥田 繭

文学崩れのWEBライター、心は詩人、絵描き、物書き。自己満足の開き直りで、詩や短編小説…

奥田 繭

文学崩れのWEBライター、心は詩人、絵描き、物書き。自己満足の開き直りで、詩や短編小説、絵を創作しています。流れる川の水に手を差し出し、自身の何もなさをことばにしようとあがくイメージと荒ぶる子ゾウを抱いて。https://mypage.syosetu.com/1666701/

マガジン

  • 自作詩集

    自作詩をまとめた詩集

  • 短編集

    自作の短編をジャンル問わず集めた短編集です。

  • 短編児童文学『星降る夜のララ』

    ある国に、天文学者の父と薬草家の母を持つ少女がいた。ある時、少女は薬草を介して、不思議な少年と出会う。   しばらくしてその国に、不吉なことが起きるとされる、3つの星が並ぶ日が訪れる。

  • 短編幻想小説『ねじれの報酬』

  • 短編幻想小説『名無しの告白』

    第一章は、語り手の男が、自分の身に起きた不可思議な出来事について語る書簡形式。 第二章は、女が自分の過去を語る回想手記形式。 彼らの過去が交差する時、名無しの告白は完結する。

最近の記事

詩「新しい世界のふちの先」

だれかいますか その先のかすみのふちに そんな問いかけに耳をふさぎ 手持ちのカードを慎重に並べる ハートがそろえば勝ちは決まり グラスに残る液体をのどに流して わたしは最後のカードを選び出す 眼前のハリガネ人形は表情をかえない カードの顔をめくり見ようとした時 あの声がまた同じ問いかけを奏でる 答えるべきか否か わたしにはまだわからない

    • 詩「ひとりごと」

      だれともはなしたくないのに だれともつたわらないさびしさ だれともめをあわしたくないのに だれともつながらないつめたさ かんじてるいまたしかに たしかに

      • 詩「ビー玉遊び」

        親指と人差し指のあいだに 澄んだ水色のビー玉ひとつ のぞきこんだら何が見える? 小さな水滴 ひぃふぅみぃよ…… 宇宙のかたまり 散らばってるよ あんなかに君がいるから まだビー玉遊びは始めない

        • 童話『時の虫』

           おだやかな天の光が降りそそぐ、ある街のある日の昼下がりのことでした。小さな女の子とお父さんが歩道にたたずみ、いっしょうけんめいにお話をしていました。 「お父さん、どうしてあの虫さんはあんな高いところにずっといるの?」 「それはね、あの虫さんはあそこでみんなの『時間』をいっつも食べているからなんだよ」  2人の目の前の壁はガラス張りになっており、その向こうには巨大でまあるい時計がはめこまれていました。そしてその時計のてっぺんに、女の子が背中に乗れるぐらいに大きくピカピカし

        詩「新しい世界のふちの先」

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        • 自作詩集
          61本
        • 短編集
          3本
        • 短編児童文学『星降る夜のララ』
          8本
        • 短編幻想小説『ねじれの報酬』
          8本
        • 短編幻想小説『名無しの告白』
          30本
        • 童話『アンテロープの歩む道』
          8本

        記事

          詩「時間の対価」

          ものの価値とは、他者がそのものにかけた人生の時間のかけら。 皆にひとしく与えられた一回きりの命の時間が、対価を提示し問うているーーあなたは払う覚悟があるのかと。 インプットアウトプット大量発生大量生産データ処理して吐き出せばグッド👍 食い散らかした先には顔なしおばけの行進だ……

          詩「時間の対価」

          詩「ギフト」

          よれた部屋着 窓の霜 空は蒼く犬は鳴く おれの心臓 どこにいったよ こんなに町は笑っているのに 爪のささくれ 噛み切って血がにじむ  そんな毎日 しあわせって言うのかな 明けない夜がないのは フーガの罠かもしれないぜ 誰にも届かない呟きだけど  君へのギフトにさあ召し上がれ

          詩「ギフト」

          詩「きちゃないこころ」

          やさしいってどういういみかな いやなことまっくろで こころまできちゃないかも ぎざぎざのふわふわってどんなかんじ なみだでたらすこしはきれいになるかな みらいなんてしらないみたことないから てのひらをそらにかざしたら きょうも終わっちゃった

          詩「きちゃないこころ」

          短編児童文学『星降る夜のララ』あらすじ

          https://note.com/silvery_elephant/n/nfe80a7b0edf9?magazine_key=ma7547f4b7e30 ある国に、天文学者の父と薬草家の母を持つ少女がいた。ある時、少女は薬草を介して、不思議な少年と出会う。彼らは仲良くなる。   しばらくしてその国に、不吉なことが起きるとされる、3つの星が並ぶ日が訪れる。 少女以外の人々は眠ってしまい、無数の光の玉が少年に集まる。少女と少年は最後の交流をし、やがて少年は姿を消す。 その後

          短編児童文学『星降る夜のララ』あらすじ

          短編児童文学『星降る夜のララ』読切まとめ

           はるか遠く西の地に、「星降る国」と呼ばれる小さな王国がありました。その国に、ララという名前の少女がいました。  ララのお父さんは天文学者で、王宮に勤めていました。お母さんは名高い薬草家として、町の人たちに自家製のお薬を作ってあげていました。   ララは愛犬のニコと一緒に、2人から星や植物についてたくさんのお話を聞くのが大好きでした。  ララはいつか大きくなったら、お薬を作れる天文学者になろうと本気で夢見ていたため、お母さんのお手伝いとして近くの野原で薬草探しをしたり、お父さ

          短編児童文学『星降る夜のララ』読切まとめ

          詩「クリームとわたし」

          風の音 びゅーびゅーひゅるり 昨日のわたしを薄っぺらくしながら 雨の音 しとしとぴたぴた 昨日のわたしを透明にしながら 寝息の音 すやすやこーこー 昨日のわたしを思い出しながら いってきますと言ったあの日 おかえりなさいは永遠に消えた 手のひらに乗せたシュークリームひとつ ほおばって目をつぶって甘さにおぼれてそれから ささやき声 ぶつぶつさわさわ 明日のわたしを確かめながら 笑い声 けらけらわいわい 明日のわたしを楽しみにしながら 歌い声 ららららるるるる 明日のわたしを

          詩「クリームとわたし」

          詩「夜の道」

          夜の道 かなしかなし 歩くわたし ひたりひたり 耳元で鳴り響く音 シンフォニー ストップボタン押したら プツリと消えた 夜の公園 ボールを蹴る音 数人の笑い声 交差して明かりにぶつかる 空に星はなく 月はビルの谷間からも見えず 夕食はカレーの予定 生卵入れる派 帰り道 ジグザグジグザグ 歩くわたし ふわりふわり 耳をふさぐ沈黙 やぶれかぶれ スタートボタン押したら 慌てて幕が上がった

          詩「夜の道」

          詩「乾き」

          最後の一口を飲み干し 汚れたカップを彼に渡した 子供たちの笑い声が空を切り裂き 窓辺にたたずむ小鳥が飛び立った 蛇口から流れ落ちる水滴を指先に乗せて  唇をしめらせたが乾きは癒されなかった 受話器を耳にあてて私は次の指示を待つ いつまで繰り返すのか 誰も知らないのだった

          詩「乾き」

          詩「ガラスケース」

          透明のガラスケースのなかで踊る人形 まるで太陽の光をさけるように両腕をくねらせて わたしは手に持つ本を置き 空のワイングラスを人形の顔に向かって投げつける ガラスとガラスがぶつかり砕け 踊る人形が驚きの息を殺す わたしは本をふたたび手に取ると 花のような詩の一編を読み始めた

          詩「ガラスケース」

          詩「怒りのいきさき」

          ぶしつけな言葉に切りつけられた あなたの怒りは戦いの後遺症 深いため息ついても 霧のなかで迷子にはならないで ばたりと倒れて立ち上がれないのなら アブラカタブラ唱えて消えちゃえ わたあめの脳みそ知らぬがワンワン 待ちわびた鐘の音響いて またひとつになりましょう

          詩「怒りのいきさき」

          詩「生きている」

          灰色の街の人ごみのなかで カラフルな音楽が流れる 耳のない詩人が終末をつぶやきながら 生まれたばかりの赤子を祝福する 空には海 地には太陽 地平線には夢の残り香 ひるがえってみれば きみもわたしもここにいる

          詩「生きている」

          詩「ヨルノウタ」

          地の底の穴ぐらで君をまってたよ やたらとまん丸な月がふたつ並んでるヨル 唇がかわいて少しひび割れ かなしいかな さみしいかな でもわらってる たれさがるロープは三つ編みの甘い香り うっとりしながらからみつくヨル なんども夢みた光景が くもったガラス戸からあふれだして 草

          詩「ヨルノウタ」