詩「クリームとわたし」
風の音 びゅーびゅーひゅるり
昨日のわたしを薄っぺらくしながら
雨の音 しとしとぴたぴた
昨日のわたしを透明にしながら
寝息の音 すやすやこーこー
昨日のわたしを思い出しながら
いってきますと言ったあの日
おかえりなさいは永遠に消えた
手のひらに乗せたシュークリームひとつ
ほおばって目をつぶって甘さにおぼれてそれから
ささやき声 ぶつぶつさわさわ
明日のわたしを確かめながら
笑い声 けらけらわいわい
明日のわたしを楽しみにしながら
歌い声 ららららるるるる
明日のわたしを迎えにきながら
なにもないなんてない世界のなかで
今日のわたしは昨日と明日に備え中
なくした言葉を探し続けて
指先についたクリームをなめた
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