マガジンのカバー画像

登場人物に関する考察

12
ワールドトリガーの登場人物について考察した記事をまとめています。
運営しているクリエイター

#ワールドトリガー

三輪秀次の復讐心を読者はどう受け止めるべきなのか?(ワールドトリガーで倫理学)

三輪秀次の復讐心を読者はどう受け止めるべきなのか?(ワールドトリガーで倫理学)

◯はじめに

最近、ちょっと面白そうな本を買いました。

SFマンガを題材に倫理学について触れている本で、(非常に)残念ながらワールドトリガーは題材として選ばれていませんでしたが、この本を読んでワールドトリガーと倫理学を組み合わせた考察をすることを思い付きました。

いくつかのテーマに分けて考察しようと思いますが、今回は「復讐」をテーマに考察していきます。

ワールドトリガーで「復讐」と言えば、近

もっとみる
なぜ三雲修は「モノローグ」が多いのか?

なぜ三雲修は「モノローグ」が多いのか?

◯はじめに

漫画のキャラクターはセリフの他にいわゆる「心の声(モノローグ)」を発する場合があります。

このモノローグに注目してワールドトリガーを読んでみると、主人公である三雲修がモノローグを多用していることに気付きました。

例えば第1話の三雲修のモノローグを見てみると、

となっています。

対して空閑遊真のモノローグはわずかに

のみです。

第2話でもこの傾向は変わりません。

これは明

もっとみる
唐沢克己の「いいコンビだな」を考察する試み

唐沢克己の「いいコンビだな」を考察する試み

◯はじめに

先日、「劇場版ハイキュー!!〜ゴミ捨て場の決戦〜」を見てきました。

ハイキュー!!はジャンプ本誌で読んで単行本でも通しで1回読んだ程度で、自分のワールドトリガーの読み方と比べればほとんど「読んでいない」に近い感じでした。

記憶もかなり曖昧だったので、映画の前に漫画を読み直しました。

今回の劇場版は音駒高校の「孤爪研磨」を主人公にしているような構成になっていて、試合が終わった瞬間

もっとみる
なぜ我々は空閑遊真の「敗北」を許容できるのか?

なぜ我々は空閑遊真の「敗北」を許容できるのか?

◯はじめに

私は以前に三雲修に関するこのような考察をしました。

この考察の中で修の「弱さ」が徹底的に描写されていることやその意味について触れました。

修がワールドトリガーにおける主人公としての「弱さ」の象徴として描かれているのに対して、遊真は主人公としての「強さ」の象徴として描かれています。

しかし、そんな遊真でも作中で割と高い頻度で「敗北」しています。

私が最初に衝撃を受けたのは第23

もっとみる
なぜ我々は三雲修の「弱さ」を許容できるのか?

なぜ我々は三雲修の「弱さ」を許容できるのか?

◯はじめに

ある日、上司(ワールドトリガーをアニメで履修済)からこんなことを言われました。

「三雲修って弱過ぎないか?」

どうやら修の戦闘能力が主人公にしては低過ぎることに不満を持っているようでした。

それに対して上手い返しが思い付かず、そのまま上司との会話が終わったのですが、確かに言われてみれば修の「弱さ」はバトル漫画の主人公としてはかなり異端であると言えます。

私も他のバトル漫画を読

もっとみる
ワールドトリガーは三雲修の「英雄譚」なのか?

ワールドトリガーは三雲修の「英雄譚」なのか?

○はじめに

私がこのブログを始める前から考えていたのが

ということでした。

なかなか考えがまとまらなかったので後回しにしていましたが、ようやく考察が形になってきたので、書いてみたいと思います。

○「ヒーローズジャーニーのステージ」

アメリカの神話学者ジョーゼフ・キャンベルが「千の顔を持つ英雄」(1949)で提唱した概念が「ヒーローズジャーニーのステージ」です。

ジョージ・ルーカス監督が

もっとみる
なぜ宇井真登華の「戦術」は「5」なのか?

なぜ宇井真登華の「戦術」は「5」なのか?

◯はじめに

BBFのオペレーターの能力パラメータには「戦術」という項目があります。

BBFで能力パラメータが判明しているオペレーターを「戦術」が高い順に並べてみました。

これを見て思ったのが「宇井の戦術、低くない?」ということでした。

同じく戦術5の十倉は茶野隊のオペレーター、楠本は間宮隊のオペレーターです。

柿崎隊、茶野隊、間宮隊の順位を見てみると、

となっており、柿崎隊は中位(14

もっとみる
なぜ小南桐絵はだまされやすいのか?

なぜ小南桐絵はだまされやすいのか?

◯はじめに

小南桐絵はワールドトリガーでもかなり人気のあるキャラクターです。

その特徴として「だまされやすい」があります。

このように記念すべき初登場(第1話を除く)で「だまされやすい」と紹介されています。

他にも

だったり、第3巻のカバー裏でも

とやはり「だまされやすい」ことが強調されています。

BBFでも

とだまされエピソードが複数掲載されています。

今回はなぜ小南がここまで

もっとみる
なぜ太刀川慶は負けても「格」が落ちないのか?

なぜ太刀川慶は負けても「格」が落ちないのか?

○はじめに

ワールドトリガーには魅力的なキャラクターが多数登場しますが、今回注目したのは「太刀川慶」です。

作中では最強格の1人ですが、初登場(黒トリガー争奪戦)で割と一方的に負けます。

と迅に予告勝利宣言までされて負けています。

普通のバトル漫画だったらあまりない展開だと思います。

では負けた後の太刀川の「格」は落ちているでしょうか?

その後の大規模侵攻編でイルガー(自爆モード)を斬

もっとみる
帯島ユカリの涙、弓場隊が上位残留出来なかった理由

帯島ユカリの涙、弓場隊が上位残留出来なかった理由

◯はじめに

前回の考察で那須隊と弓場隊の関係について触れましたが、B級ランク戦編全体を通して

が描写されていたことに気付いたので、それをまとめていきたいと思います。

◯「気持ちの強さは関係ない」

まず前提としてはっきりしているのは、弓場隊と那須隊の「気持ちの強さは関係ない」ということです。

それは第99話の太刀川の台詞で明らかになっています。

弓場隊と那須隊の「勝ちたい」という「気持ち

もっとみる
なぜ菊地原の「強化聴覚」を読者は「強い」と認識するのか?

なぜ菊地原の「強化聴覚」を読者は「強い」と認識するのか?

◯はじめに

ワールドトリガーには「能力バトル」の要素として「サイドエフェクト」という設定があります。

迅の「未来視」や遊真の「嘘を見抜く」が有名ですが、他にもサイドエフェクトは登場しています。

ざっくりまとめて見ると

となっています。

また、ボーダーではサイドエフェクトを希少性により便宜的にランク付けしています。

「ランク=強さ」ではなく、むしろCランクである菊地原の「強化聴覚」を「弱

もっとみる