唐沢克己の「いいコンビだな」を考察する試み
◯はじめに
先日、「劇場版ハイキュー！！〜ゴミ捨て場の決戦〜」を見てきました。
ハイキュー！！はジャンプ本誌で読んで単行本でも通しで１回読んだ程度で、自分のワールドトリガーの読み方と比べればほとんど「読んでいない」に近い感じでした。
記憶もかなり曖昧だったので、映画の前に漫画を読み直しました。
今回の劇場版は音駒高校の「孤爪研磨」を主人公にしているような構成になっていて、試合が終わった瞬間は思わず研磨に感情移入して泣いてしまいました。
映画を見終わった後に、「そういえばBBFの葦原先生のインタビューでハイキュー！！について触れていた気がする」と思いBBFを読み直していたところ、気になる内容を見つけました。
それは「修と遊真の関係」についての質問に葦原先生が答えているところでした。
「僕の中では最初から二人が組むことまでイメージしていました。コンビを組ませるんだったら、全く逆の方が楽しいだろうなと思っていたので真逆のキャラクター性にしようと」
ここの「コンビ」という言葉を見て、第84話の唐沢さんの
「…………いいコンビだな」
という台詞を思い出しました。
そしてBBFの内容を踏まえればこの台詞について考察出来そうだと思ったので、考察してみようと思いました。
◯修と遊真の違うところ
BBFで葦原先生は修と遊真の違いについてこう説明されています。
「修は結構我慢する子なんですよね。イジメられたりしたとしても、我慢することがいいと思っているような。でも遊真は全然違うところから来ている子なんで、やられたらやり返すという子なんですよ。」
確かに第6話で木虎が
「C級隊員に示しをつけるため、ボーダーの規律を守るため、彼はルールに則って処罰されるべきです」
と修を責め立てる場面で、修は
（それはその通りだ……こうなる覚悟はしてた）
と木虎に何も言い返さずに我慢していますが、遊真は
「……ていうかおまえ、オサムがほめられるのが気にくわないだけだろ」
と言い返しています。
「我慢する修」と「やり返す遊真」の対比関係がしっかり描写されていますね。
さらに第39話で緑川が修を大勢の前でボコボコにした場面では、修は我慢……というよりそもそも緑川の悪意に気付いていませんでしたが、それに対して遊真が第40話でやり返しています。
「おまえがなんでオサムの評判を落としたいのかは知らん。ほんとならオサム本人がおまえをどうにかするとこだけど、あいつは自分のことはけっこう鈍いから、おまえくらいせこいやり口だとやられていることに気づきもしない。だからかわりにおれがやる。おまえが二度とつまんないことしないようにな」
この「我慢する修」と「やり返す遊真」の関係性ですが、第84話で少し変化します。
◯新しい選択肢
第84話での根付さんと記者の話に対して、修は
「……どうもできないよ、今の話が本当なら……悪いのはぼくだ」
と最初は「我慢する」という選択をします。
しかしそれに対して遊真が
「オサムおまえ、つまんないウソつくね。病院で頑固な性格まで治してもらったのか？」
と修に「やり返す」という選択肢を示します。
その言葉を受けて
「…………空閑、悪い。ちょっと行ってくる」
と「我慢する」だけだった修が「やり返す」という選択をするのです。
遊真が「面倒見の鬼」である修の影響を受けたように、修も「やられたらやり返す」遊真の影響を受ける、そんな補完関係に対して唐沢さんは「いいコンビだな」と言ったのではないか、そんな風に思いました。
その後の第86話での修と城戸司令の会話でも、修の中に「やり返す」という選択肢が生まれていることが読み取れます。
「……先日の記者会見について、傷が癒えてきた今、何か言いたいことはあるかね？」
「いえ何も。ああいう戦いかたがあることはわかっています……ただし、空閑や千佳を使って同じようなことをしたら、ぼくはあなたを許しません」
あくまで「自分」よりも「他人」を優先するところが修らしくて良いですね。
また、第149話ではヒュースを玉狛支部に入隊させるための上層部との交渉で、根付さんのやり方でやり返したことが判明します。
「あれね、あれは修の仕込みだよ」
「やはりね。あそこで流れが変わったなと思ったんですよ。根付さんの戦い方から学んだわけだ」
「我慢する」修が「やられたらやり返す」を覚えていく過程も、ワールドトリガーの面白さの理由なのかもしれませんね。
◯終わりに
なぜかハイキュー！！を見たらワールドトリガーを考察することになりました。
ワールドトリガーを考察するためには、ワールドトリガー以外の作品も履修しないといけないと思っているので、これからもいろんな作品に触れていきたいと思います。
……劇場版ワールドトリガー〜大規模侵攻編〜、無理ですかね？
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