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メイレットの生育特性について今更気がついたポイントがあるのでぶちまけてみる回。

いやー毎日何かしらの新たな気付きがあるって楽しいですね。
人間生きていく上で好奇心欲求を日々の変化で満足させてやって気持ちよく人間ライフを送ることができるワケですが、
おいらはラベンダーを育ててそっから好奇心を満たせてるスキームが成立してるのは我ながら素晴らしいことやと思ってます。おいらえらい!

さてさてと、香りの女王ラベンダーメイレットは"育ちにクセがある"と英語圏で説明され、素人がその解説聞くと「育てるの難しいんだな」と理解してしまうそのファクトの理解が深まった気がする(本日発見があった)のでとりま言語化しておきます。

1時間前のおいらの脳内を言語化しただけなので、ラベンダーや植物専門家以外には何を言ってるのかまったくわからないと思いますが、自分の理解の程度に簡単に解説します。(17時半から書き始めたヨ)


ラベンダーメイレット(L.angustifolia 'Maillette')をクセのある〜と解説しているのはこのヘリテージラベンダー園(アメリカ-コロラド州)。

Maillette
Violet blue delicate blossoms, silver foliage, small growth habit. The aroma is wonderful, but it is quite finicky about its habitat and has not thrived in our garden.
Plant height 12-16″, zone 5-9

英語検索でメイレットやらロイヤルパープルのベストな育て方を探っていた時期にHITしたページですね。


メイレットの出生的にも、南フランスの高山帯でオイル生産品種として大規模に育てられてるのですが、その単一性のせいで2014年ごろに害虫にこぞってやられる欧州ラベンダーショックが起きてます。
(南フランスの山あい1000m一帯では伝統的な品種と手法で栽培)

確か70年代に「次世代のオイル生用の栽培品種を!」とグロッソを作り出したピエール・グロッソさんが同じ農園でメイレットも作ったハズなんですが、同じように病害虫に強い品種であるわけではないんすかね。。。


さてさっそく、今日気づいたことをババーッと!

1.メイレットと早咲き系との見た目の違い

3上から

3横から

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(深海底にいるコレ⤴︎⤴︎を思い出す…)

黒土花壇に地植えしているメイレットです。(春に風に嬲られて枝の向きが偏ってる)
水やってるときにある成長の仕方の違いに気づいたんですよ。
こいつは早咲き品種ではないので大きさの違いが一目瞭然ですが、暑い晴れ間続きの6月末になってやっと花芽を伸ばし始めたところです。

いやー濃紫に慣れた身としては長かった!って感想を何度かnoteに書いてたので、育ちの違いによるギャップには気づけていたんだと思う。
ただそれが遅咲きなのか早咲きなのか?程度の違い程度でしか理解できてなかったんだとも思うけど、、、

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参考までに乗せるのが、早咲きに分類される北海道品種たち。
どんどん上へ上へと枝葉を伸ばしているのがわかると思う。早咲きたちの生育旺盛さといったら!
3号濃紫なんかは上を取るようにだんだんと株が横に膨らんでいく。

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図説するとこういうことなんだけど、
上のメイレット2枚と北海道品種とを比べると明らかに育ち方が違うのがわかると思う。
メイレットを一見すると、なんで外側から元気に育っていってるんだよ!と思うよね。光の正の好向性があるというか。。。

と、品種特性の違いをまず明確にしておいた。
そして次にメイレットの成長戦略へと切り込んでいこうと思う。

2.成長方向のベクトル

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別のメイレット株。当初の細い枝葉が風に嬲られて広がるベクトルが明らかに偏ってるんだけど…。
冠状といえばピッタリかもしれない。

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また別のメイレット株。これもやや風の影響を受けつつ、やはり冠状に広がってるのがわかる。早咲きのように直立はしない。

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ほとんどのメイレットが同じような樹体形成の形態をとるんだけど、例外もいる。

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春に無理やり枝を上に向くよう支えたり土を盛って矯正した株。

どうやらある程度時間が経って細枝が木質化すると樹体のベースが築かれるのがポイントらしい。木質化というのがキーになる。


そもそも論、ラベンダーはある程度成長が進んで根元が太くなると木質化する。

栽培開始の初年度にラベンダーの生態を紹介した懐かしい記事ですが、早咲き系である3号濃紫ではこの通り。
初年度では根元が、冬になると全体が木質化した枝となる。

しかし、メイレットは気が早いのか花芽をつける前に木質化が始まる。おぉ!これはすごい違い。
単に気が早いってもんじゃなく、細枝のうちから木質化しちゃってるんだから、戦略性が感じられる。

2.の図説

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苗で届いた段階ではどのラベンダーも差はまずないと思います。
挿し穂の状態を反映しており、ハウスで促成成長され露地栽培とは時期が合わない樹体の青々しさがあります。

それが植え替えた土壌に根っこが活着して根っこが伸び始めると、上体(葉茎)の伸長が始まりますよね。

のように、図解②までは基本どのラベンダーも同じ道を辿ります。
メイレット特有の生育差が出始めるのはここからです。

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図解②で青々と伸びてきた枝葉がそのまま真上へ向かうのかと思いきや、一転"暴れ"はじめるんですよ。
暴れるという直訳表現を使っていますが、湾曲しだすという意味ですね。
葉っぱも小さいし花芽も無いし細枝だし、決して質量的に重いワケではないんですよ。
まだ枝葉は伸び続けてるので、上に向かわずマメ科のように這って伸びていきます。このあたりからめちゃくちゃ心配になり始めました。

図説真ん中のように、上に伸びるというよりは伏した形に樹体が形づくられます。横に伸び始めるので光に対して進む性質とかけ離れるので、病気か成長不良かかなり心配になります。

で、枝葉はついに横に伏したままだいたい直径20cmほどまで成長するとそこから葉っぱも増えず2ヶ月ほど姿形が変わらない冬眠と捉えてもいいような状態に入ります。この際に伸びた枝の木質化(硬化)となります。
試しにめちゃくちゃ水を与えてましたが意地でも成長が変わることはなく、2ヶ月間の沈黙期間となりました。

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つい半月前ほど、気温が20℃台で晴れの日続きが1ヶ月ほど続くとついに新しい葉っぱを展開しはじめました。
トリガーは”気温”か”積算日照時間”かと思います。水をめちゃくちゃやっても変わらなかったので!

でここ1週間ほどで一気に花芽を伸ばしてきた!という段階に至ります。
なぜ株元ではなく枝先なのか?というと、植物の成長ホルモンは枝先に集中して自らを伸長させるので、先に伸びていた伏した枝が主茎ということになるんです。

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なので、放っておけば枝のところどころにある葉っぱから脇芽を伸ばして繁っていくので、最終的には立派なラベンダー株となるはずです!

なぜメイレットは枝を先に固めて自らの1年目の成長範囲を決定するようになったのかはフランスの生育地を見てないのでわかりませんが、ある意味選択的に獲得した生育特性のように思えますね。

まだ茎が固まらず曲がりやすい若い段階で、先に木質化するメリットといえば横風に対して強くなるという、なかなか独特な生育順序だといえます。

3.他の品種でも似た戦略をもつものがいる

ボゴング

似たような成長戦略?を取っているのがラバンジン ボゴングとか。
ボゴングは苗として成立して1年目に主茎の成長をし、2年目にやっと花芽を出します。
メイレットと同じといえないのは、圧雪を受けてこの形が作られた疑いがある点ですね。
株の真ん中がハゲてるのですが、これは樹体が重い雪で押しつぶされ枝葉が真横に寝かさったことによる要因もあるんですね。

圧雪ラバンジン

このラバンジンも中央部が圧雪により枝が無くなったので、結果的にこのような冠状になりました。本来だと中央部からも花芽が立ち上がっていたのかもしれない推測ができます。

対してメイレットは初年度の純粋な成長なのでどうやら生育特性によるものが大きい?と考えられます。

ロイヤル

ロイヤル1

対してこちらは同じコモン系統のロイヤルパープル
ロイヤルパープルも主茎がやたら暴れまわる性質が認められます。
で枝の途中途中にある脇芽が同時に上に伸びてきている。
(成長ホルモンは液質なので寝かされば、部位の偏りがなく横にも流れ出る=等しくなる)

その性質が生育上における獲得形質だとすると、花芽を伸ばす頂芽/脇芽形成点が横にたくさん広がることになりますよね。
根元への物理的負担が軽減されて風にも強くなるので、花穂をより高く大きく成長させるには都合いいわけです。→大きな品種となる。

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図にするとこんな感じ。
花芽の成長点が横に広がるので、その位置その位置で主茎と同じように花芽を立ち上げられますね。さすが重力を学んでる!


この形態だと、もしかしたら根元の太い木部を晒すことがなくなるので、ネズミ食害にも強くなるんじゃね?とか思ったりもする。

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このメイレットも花壇に植えた当初に風を受けて枝の向きと成長点の位置が大きく偏っちゃってますが、今までの図説の各ポイントをわかりやすく確認できますね。
地に伏した枝が先に大きく成長を開始して、本来であれば栄養の集中する株元に小さく芽吹きがみられるのがポイントです。

4.総括

オイル生産をする上で世界基準で最上級とされるメイレットの成長観察をする日本人の方ってまずいないハズなんですよ。
その育てにくさ上記特質さることながら、ラベンダーと一目でわかる花穂の部分しか写真に載せてなかったりするような状況です。

という中でじっくりメイレットの知見を積んで書き残してるのはおいらだけだと思うので、後々に参考にする方、頼りにしてくだせぇよ!笑

できたら投げ銭してって笑
さらなる研究ができるので!

というのが今日6/23時点でのメイレットの成長観察での気づきでした!

という感じになります。
いや〜またも文字数モリモリになってしまいましたね。
コンパクトにするつもりだったのに。

下には過去メイレットの成長度合いが確認できる各記事貼っておきます。

またなんかあったら書き足しまーす!

ではでは!

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リモートワークの日常

若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。