見出し画像

7/1の北海道ラベンダーたちをご紹介!

北海道のラベンダー香料生産の歴史のなかで特別に名前が付けられたラベンダー品種たちがいます。
それを僕は北海道伝統品種と呼んでいるのですが、それらは皆1937年以前はフランスのオートプロバンス州に生えていた野生のラベンダーたちでした。

それらが今日の北海道でそれぞれ個性的な姿を見せていておもしろいので、それらの今日現在のようすを撮って載せてみます。

開花はまだなのですが、つぼみの色合いが品種それぞれ個性的でおもしろい、見頃としては絶好のシーズンが到来していると思います!

●1号ようてい

つぼみの先端を見ると出かかった花びらが見える。開花直前。

1号ようていは1964年に4号オカムラサキとともに栽培奨励品種として名前がつけられたコモンラベンダー品種。
伝統品種たちの中でやや赤みを含む紫色をしています。花穂形状は穂状花序に近い形状をとるのが特徴です。

だいたい3号濃紫の次に開花期が来るようです。

●2号はなもいわ

つぼみの色が薄く白っぽく、先端が紫色に染まる
開花時期はやや遅めなものの3号濃紫に花の形状が近い

2号はなもいわは4つの伝統品種のなかでも最も後期の1967年に優良品種認定された栽培奨励品種。
最後の指定なのに2号なのは試験ナンバーが2-Xだったため。

伝統品種らの中で特に白っぽく薄色花の特徴を持つコモンラベンダー品種。
しかし香りは4品種のなかで最も優れていると評価を受ける。僕もそう思います。

●3号濃紫早咲

つぼみは紫色が濃くモコモコしている
7/1雨降り日続きの中、開花していた。
寄り添う開花しはじめた3号濃紫早咲ラベンダーたち

3号濃紫早咲は4つの伝統品種のなかで最も開花期が早い品種。
そしてつぼみ時点での色も伝統品種たちのなかで最も濃い紫色をしています。

品種名と来歴をみると非常にややこしいのですが、実はこの3号濃紫はオイル産業史のなかで優良品種認定を受けていないラベンダー品種。
というのも、3号濃紫早咲の正体は1号ようていや4号おかむらさきが栽培奨励品種となった同選抜試験において精油の品質試験で落選してしまった早咲き2-3という品種。

ラベンダーオイル生産の歴史が一旦幕を閉じた後、花の色が濃く園芸品種として見栄えが良かったので3号濃紫早咲という名前が民間公募で付けられた。
こんにちの北海道ではこの3号濃紫がとにかく多く植えられる園芸品種の位置付けとなっています。

●4号おかむらさき

伝統品種のなかで花穂が長い大柄品種の4号丘紫
4号丘紫は遅咲きタイプなのでまだ早熟の花穂をしている

4号おかむらさきは1964年に1号ようていとともに栽培奨励品種に指定された優良品種。
4つの伝統品種のなかで最も大柄となり、開花時期も8月が近くなった7月後半になります。
花茎も長くエレガント。

ラベンダーの歴史が一旦幕を閉じたあとも中富良野町のファーム富田さんがこの品種を特に精力的に栽培し続けました。
自家製香水の香料にも使ったことから1991年南フランスのオイル品評会にてその年の優勝を冠したそう!
世界が認める香りを持っている北海道ラベンダー品種です。

■発展品種たち

オカムラサキホワイト

4号おかむらさきの白花変種とされる「オカムラサキホワイト」
4号おかむらさきと同じく遅咲きタイプなので開花はまだのよう
寄り添うふたり

オカムラサキホワイトは伝統品種の4号丘紫の白花変種とされます。
なので学名表記するとL.angustifolia 'Okamurasaki var. Alba'となります。
開花期や株サイズなどおかむらさきからDNAを引き継いでいるので、栽培上のデータはおかむらさきに準じたものとなります。

ただ、花の白花変種や異色種は作る精油の組成が大きく違うとも研究データがあるので、オカムラサキホワイトも香り成分が他の品種に比べ大きく異なっている可能性があります。

現在栽培地が激減しており、本種が見られるところがかなり少なくなっています。
この品種の栽培普及に取り組みたいと考えています。

バイオレットメモリー

ウチのバイオレットメモリーは弱り気味なので花穂が小さい

バイオレットメモリーは4号おかむらさきの花色濃色変異種とされています。
曽田香料南沢試験地の中で発見され、試験区外によけておいたものが今日に受け継がれているようです。

1970年代に札幌南沢の曽田香料農場が閉鎖される際に小樽の農園さんに本種が預けられ、現在のグロワーさんがバイオレットメモリーと名付けて苗販売しているようです。

ナナ・ナリサワ

3号濃紫の枝変わり種とされるナナ・ナリサワ

このナナ・ナリサワは1990年代に3号濃紫ラベンダーの苗を生産する比布町の花苗農家さん(成沢農園)が偶然3号濃紫の下部の中に花穂が長いものを見つけ、枝分けして品種固定したそうです。
その際「花穂は長いが株サイズは小柄」という特徴から矮小を意味するラテン語のNanaを付けてナナ・ナリサワとなったようです。

遺伝系統はまさしく3号濃紫を引き継いでおり、花の色や開花期はほぼ同じく早咲きとなります。
長保品種で早咲き性をとるラベンダーはなかなか珍しいのではないでしょうか。

若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。