#名刺代わりの小説10選 と選びきれなかった本まで言及

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箱推しの作家①森見登美彦

森見登美彦さんの作品全体に言えることだが、文体に癖(古語っぽい)があり慣れるまではやや読みにくい。

初めてのもりみーには夜は短し歩けよ乙女を強くオススメする。黒髪の乙女と先輩を追ったキュートでポップな一年間。

筆者は京大農学部卒業で似たようなモチーフ(黒髪の乙女、歯科衛生士のお姉さん、厄介な友人、怪しい宗教サークル、天狗、達磨、...)がいくつもの作品で登場するが、このような学生時代を送っていたのだろうか?

冴えない理系大学生の部分を煮詰めたのが太陽の塔四畳半神話体系。主人公が不毛な時間を過ごす四畳半世界が無限の広がりを見せる入れ子構造の物語が面白い。

古都・京都の妖しい一面を描いたのが宵闇万華鏡きつねのはなし。京都とダークファンタジーが好きな人におすすめ。

最近の作品では夜行熱帯(直木賞候補になった)がある。中枢に残ってはいるのだけれど、どちらも舞台が京都を飛び出し日本へ、世界へと広がりを見せており進化を感じた。

一言感想を付すと、夜行はゾッとした。熱帯は壮大で読みごたえがある。(本当に一言)

有頂天家族のシリーズは残念ながらまだ読んだことがない。

箱推しの作家②村上春樹

海辺のカフカは上下巻の二冊構成。二つの異なるパートの物語が一章ごとに進行し、徐々にリンクする村上春樹の王道パターン(?)をとる。

単に15歳の家出少年田村カフカくんに語りかけるカラスと呼ばれる少年の言葉が好き。

もう一方のパートは序盤から不思議な世界観が全開で読み進めるのが楽しかったので、紹介はなしで。こちらの話の先が読みたくてもどかしくなった。

他の村上作品に比べ若く純粋な主人公で爽やか。

スプートニクの恋人は一冊完結ということもありファンタジー度合いも作品の癖もマイルドな印象を受けた。

感想は前回にも書いたので省略。

上述の二冊に加えノルウェイの森、1Q84、ねじまき鳥などの代表作も読んできたが、実は一番いいなと思ったのは世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド。主題がわかりやすくファンタジーのベクトル(パラレルワールドの関係性?)も他と違っていた(気がした)。

箱推しの作家③東川篤哉

密室に向かって撃て!は『謎解きはディナーの後で』の著者による長編推理小説シリーズ、「烏賊川市シリーズ」の第二作。

私はシリーズのうち最初に第3作完全犯罪に猫は何匹必要かをタイトル買いしたが問題なく楽しめたのでシリーズのどれから読んでもよいと思う。

また、本シリーズは玉木宏、剛力彩芽により「私の嫌いな探偵」としてドラマ化している。(深夜枠、面白かった)。

東川篤哉さんの小説は思わずクスッと笑えるユーモアミステリーでありながら、趣向を凝らした本格推理を堪能できる。

密室殺人・完全犯罪のプロ。

鯉ヶ窪学園(東京都国分寺市恋ヶ窪を擬えている)の高校生探偵シリーズ(殺意は必ず三度ある放課後はミステリーとともに など)も好き。

こちらの表紙は『神様のカルテ』(有名だが実は読んだことがない)も手がけたカスヤ ナガトさんのイラスト。可愛い。

国分寺市といえば早稲田実業の所在地。主人公らの属する探偵部のライバル、ミステリ研究会の「うるる」は性格が悪くやかましい子として描かれているが、双子の「さらら」は早実に通うおっとりキャラという描写も。

著者が国立市に住んでいたことから国立・国分寺エリアの作品になっている。他に南武線沿線を舞台にした探偵少女アリサなどのローカル本も出版している。

爽やかな物語

風が強く吹いている/三浦しをん
説明不要。たった10人で箱根駅伝を目指す物語。

当日の中ではキングパートが1番好き。

俺はなあ、ハイジ。これが夢であってほしいと思うんだ。二度と覚めたくないほどいい夢だから、ずっとたゆたっていたいと思ってるんだよ。

階段途中のビッグ・ノイズ/越谷オサム
著者は井上真央さん主演で映画化された陽だまりの彼女が有名かと。こちらも好き。

ビッグ・ノイズは廃部の危機に瀕した軽音楽部の高校生が全盛期時代の文化祭を夢見て奮闘する物語。

仲間もまともな練習場所もなく階段で一人静かにギターを鳴らしていた主人公を始め、ちょっと変わった部員たち、先生などみんなが愛おしい。

若い子向けかなぁと思いつつも、風が強く吹いている一瞬の風になれあたりが好きな人には割と馴染むと思う。

主人公の好きな曲はグリーンデイの「バスケットケース」

同じようなテイストの小説では今回10選には載せなかったが有川浩さんのキケンも好き。こちらは爆発が好きな理系大学生の物語。

その他の小説

リバース/湊かなえ
ドラマを先に見た。というかドラマが非常に好きだった。

藤原竜也が主演と言えば分かっていただけるはず。

湊かなえさんの本は他にNのためにしか読んだことがないが、書評にあった「イヤミス」(後味が嫌な感じのミステリー)という言葉が的を射た作品群の一つなのだろう。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか/フィリップ・K・ディック

第三次世界大戦後、放射能の吹き荒れる世界を描いたSF小説。

まず小鳥が死に、地球上から徐々に動物がいなくなった。

この世界の住人は本物の生きた動物を飼っていることが一種のステータスであり、逆に動物愛護の精神を持たないのは異常なことだ。

主人公は本物そっくりの電気羊しか持たないが、本物の動物を買うためのお金を手に入れるために逃亡アンドロイド狩りを始める。

荒れた世界を生きる人々の心を支える「マーサー教」の教えや人間そっくりのアンドロイドを見分けるための「フォークト・カンプフ試験」に筆者の人間観が現れている。

東京少年/村上桃子
結構昔のライトノベル。ネタバレから興味を持ち手に取った小説だが、割と面白く何度も読み返したなぁ、という程度。

ハリーポッター/J・K・ローリング
説明不要。

シリウス好きゆえお気に入りの作品はアズカバンと不死鳥で迷うタイプ。

私が小説を読む理由

エッセイやビジネス書を好む方も多い中私は読書といえど小説ばかり読んでいる。

私が小説を読む理由は単にSNS廃として過ごす無駄な時間を減らすため、だ。

頭を捻るのが得意ではないので、気づいたら物語の世界に没頭できる小説が一番向いているのだと思う。

また、小説は繋がる。ある小説の登場人物が読んでいた本や、影響を受けた本を辿ろうとすると次々に読みたい本が現れる。

他のジャンルの本を読む方はきっともっと立派な理由を持っているだろうと思うので解説noteを楽しみに待ちたい。

読書遍歴をざっと振り返る時間になったが中々楽しかった。

お読みいただきありがとうございました。

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