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言われてときめくスペイン語、"Señorita(セニョリータ)"が存続の危機らしい

こんにちは、しえです!いつもご覧下さりありがとうございます!

多くのスペインに興味のない方でも、知っているスペイン語はなんでしょう?固有名詞はなしで。サグラダ・ファミリアとかレアル・マドリードとかなしで。

きちんとした統計なんてありませんが、きっとこれじゃないかな。"Señorita"!セニョリータです。聞いたことありますでしょうか。

なぜか歌詞などに時々登場するセニョリータ。響きがかわいいですよね。「お嬢さん」という意味のスペイン語です。

そのセニョリータが将来スペイン語から消えてしまうかもしれないんだとか。これは大事件です。今回はセニョリータが消えてしまうかもしれない未来について。ぜひ、最後まで!


スペイン語は感情表現がとても豊か

神様出てきそうなカテドラル(大聖堂)

スペイン人たちと会話をしていると、名前以外の言葉で呼びかけられることが多々あります。セニョリータもそのひとつ。主に年齢が上の方から、若い女性に向かって使われます。

スペイン語にはセニョリータ以外にも呼びかけの言葉が山のようにあり、相手の性別や年齢層、自分との関係性などによって使い分けられています。会話の途中で使われる心を込めた呼びかけもあれば、「さん」「ちゃん」「様」「氏」などと訳されることもあります。

恋人に使うもの、友人に使うもの、他人に使うものなどさまざまで語彙も多く、とても感情表情が豊か。また、日本語と同じくらい細部にこだわる言葉なんじゃないかと思っています。おもしろいのでちょっと紹介させてください。

恋人への呼びかけ

amor,amor,amorですよ、この国

例えば彼氏、彼女から電話が来た時に「もしもし、どこにいるの?私の愛しい人」なんて日本語では言わないでしょ。これね、スペイン人たちは口癖のように使います。

恋人に対しては

amor(アモール/ 愛)
mi amor(ミ アモール/ 私の愛しい人)
mi chico/chica(ミ チコ/チカ/ 私の男の子/女の子)
cariño(カリーニョ/ 愛情)
Mi corazon(ミ コラソン/ 心臓、心)

など甘い言葉のオンパレード。そこら辺で盗み聞きをしていればすぐ耳に入ります。

男性だけが女性に向けて使うReina(レイナ/ 王女様)、Linda(リンダ/美しい人)なんてものも。多分もっとあると思うけれど、言われたことないからこれ以上は知りません。はい、次。

友人や家族への呼びかけ

友人はとっても大切にするスペイン人たち

友人や家族への呼びかけも山のようにあります。親しい間柄の友人、家族に親愛の気持ちを込めて呼びかけられる言葉はとってもかわいい。

mi hijo/a(ミ イホ/イハ/ 私の息子/娘)
mi niño/niña(ミ ニーニョ/ニーニャ/同じく私の子供) 
hermano/hermana(兄弟/姉妹)
Cielo(シエロ/素敵な人)
Caramelo(カラメロ/魅力的な人)
Bebé(べべ/ 赤ちゃん)

などなど。

自分の子供や赤ちゃんに向かって使われることももちろんありますが、友人に対しても自分の息子や娘、という表現が使われます。

Cieloの本来の意味は天国、Carameloもキャンディ。あなたは私にとっての天国、甘く幸せなキャンディのよう、自分の子供のよう、そのくらい愛情を持っているよという比喩表現というやつですね。

おばさま同士もhija呼びでかわいい

これを、スペイン人たちは通常の会話と混ぜて話します。

「ちょっと話したいことがあるの」
「どうしたの、mi niña」

のように意味のあるような無いような、ものすごく絶妙なところで差し込んできます。比喩表現であり愛情表現の一種と考えて間違いないでしょう。

最高位はDon(ドン)/Doña(ドーニャ)

ドン・キホーテのドンです

家族でも恋人でも友人でもない、他人に対する敬意を払った呼びかけの最高位はDon(ドン)とDoña(ドーニャ)です。ドンは男性に、ドーニャは女性に使われます。

過去の偉人や尊敬を集める人に使用されるのがドンなので、普段あまり耳にすることはありません。が、ネットの書き込みであればそこそこ見かけます。

例えば、レアル・ソシエダの試合の中でミケル・オヤルサバル選手がものすごく活躍して勝ったとしましょう。2ゴール1アシストくらい。

そうすると、現地ファンのXではその活躍を讃えて「Don Mikel Oyarzabal」との書き込みがちらほら見られます。「Don Takefusa Kubo」とかね。名前と苗字にドンを付けるだけで、最上級の敬意を表現できる、ということです。

一般的に使われるフォーマルなもの

きちんとしたホテルで聞く呼び方

初対面の相手や、きちんとしたレストランやホテルなどでお客様相手に使われる呼びかけは

Señor(セニョール)
Señora(セニョーラ)
Señorita(セニョリータ)

の3つです。

セニョールは成人男性に、セニョーラは成人女性に、セニョリータは成人であっても年齢の若い女性に向かって使われます。日本語に訳すなら「ご主人」「奥さん」「お嬢さん」ですね!

ちなみにSeñorito(セニョリート)という若い男性に使う単語もあります。スペインでは裕福なお坊ちゃんという意味を持ちますが、他のスペイン語圏ではドラ息子のような少し悪い意味を含むためセニョリータほどは使用されません。

セニョリータはテンション上がるのに・・

スペイン人は若々しい

正式にはセニョーラは既婚女性に、セニョリータは未婚の女性に使われるそう。中には結婚指輪をしていれば若くてもセニョーラと呼ぶ、という意見もありましたが通常そこまで気にされていないと思います。

女性で年齢が若く見えればセニョリータ、妙齢であればセニョーラと呼びかけられることが多いです。現地の新聞によると大体10代半ばから30歳くらいが主にセニョリータなんだそうですが、個人の主観によるところが大きい。年齢なんて見た目で分かりませんからね。

スペイン人から見るとアジア人は若く見えるのでしょう、現地に行くと今でも時々セニョリータ呼びをされます。アラフォーなのに。

これが実際に言われてみるとものすごく嬉しい。なんとセニョリータ!ありがとうグラシアスありがとう、という感じ。セニョーラの年齢層のくせに、セニョーラはちょっとテンション下がる。

では、どうしてこのセニョリータが将来スペイン語から消滅するかもと言われているのか?そこには時代の流れが反映されています。

セニョリータは時代にそぐわないらしい

ちゃんと世界の流れに沿うスペイン

私が密かに喜んでいる呼びかけ、セニョリータ。このかわいい呼びかけが将来スペイン語から消えてしまうと言われている理由は主に以下のとおりです。

女性を年齢で分けるのはふさわしくない

セニョリータは男尊女卑という意見も

まず女性を年齢で分けるのがふさわしくない、という意見です。当然と言えば当然のことですね。

私のように人種が異なるがゆえ若く見られて喜んでいる分にはいいですが、セニョリータの年齢なのにセニョーラと呼ばれるのは結構傷付くのでしょう。

スペインでは30代40代はまだまだ若者という認識の人が多いので、セニョーラと呼ばれる年齢じゃないわよ!と思う方が多いのだと思います。

結婚しないことを選ぶ女性が増えている

若々しくいたいのは全女性の願い

スペインも日本と同じく年々婚姻率が下がっている国です。

2019年の調査結果では30歳までに結婚をしている割合は20%にも満たないらしく、30歳を過ぎたらセニョーラなんて考え方ができなくなっているのですね。スペインの平均的な初婚年齢は男性で35,6歳、女性で33,4歳となっています。

セニョーラとセニョリータの違いはもともと結婚をしているかどうかのため、一度も結婚をしていないのだからセニョーラではないと考える女性が増えているようです。

街で60歳くらいの女性にセニョーラと声をかけたら、「セニョーラじゃなくてセニョリータよ」と言われたというエピソードも。若々しくて何より。やはり、女性を年齢で分ける時代は終了していく運命のようです。

全員をセニョリータにするのはダメ?

どうすればいいの?教えて、ヘミングウェイ

ここまでセニョーラ・セニョリータ問題を調べてみて、私は思いました。

セニョリータというかわいい呼称がなくなってしまうのは、外国人の私からするとなんだかさみしい。だけど、時代の流れに沿わないのも分かる。じゃあ、女性全員をセニョリータと呼べば解決しません?

そうすれば女性は気持ちよく生活できるし、誰も迷わなくてすむ。セニョリータのかわいい響きもなくならない。でもそうすると今度は私はセニョリータじゃないわよ勢が出てくるかも。うーん。セニョーラを残してもセニョーラと呼ぶな勢が出てくるよね。

なくすには惜しいセニョリータ。いつまでこの言葉がスペイン語に存在してくれるのか気になるところです。

今度スペインでセニョーラと言われたら「セニョリータです」と言ってみようと思います。あ、これだわ解決策。自分で選べばいいよね。セニョリータ気分いいよ、ほんとに。


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