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映画評 猿の惑星/キングダム🇺🇸
名作SF映画『猿の惑星』をリブートした『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』『猿の惑星:新世紀(ライジング)』『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』に続くシリーズ第4弾。『メイズ・ランナー』シリーズを手がけたウェス・ボール監督によって新たに産声をあげた。
本作は『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』の続編にあたるため、事前にリブートシリーズを予習しておくと物語に没入しやすくなる。シーザーとは誰な
映画評 青春18×2 君へと続く道🇯🇵🇹🇼
ジミー・ライの紀行エッセイ『青春18×2 日本漫車流浪記』を『新聞記者』『余命10年』の藤井道人監督・脚本で映画化。既視感満載の王道ストーリーではあるが、台湾の景色をはじめ、本作で映し出される美しい景観と、主演を務めたシュー・グァンハンと清原果耶の演技とスター性が光る内容であった。
本作はシュー・グァンハンと清原果耶の恋愛映画だ。仕事が立ち行かなくなったジミー(シュー・グァンハン)が、日本を旅行
映画評 悪は存在しない🇯🇵
ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を獲得した『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の濱口竜介監督による最新作。両者の立場からなる対立と相互理解、自然との共存共栄など、現代的とも言える易しいテーマの映画ではない。自然を舞台としたからこそ浮かび上がる悪の存在を目の当たりにした。
森の木々や枝を見上げるように長々と映し出されるファーストショットから巧(大美賀均)が湧水を汲み、娘の花(西川玲)と森の中や凍った
映画評 異人たち🇬🇧
山田太一原作の小説『異人たちとの夏』を『さざなみ』『荒野にて』のアンドリュー・ヘイ監督によってロンドンを舞台に改変し再映画化。監督の性的嗜好を全面的に反映させた結果、原作または大林宣彦監督版が持ち合わせていた面白さの本質からかけ離れた挙句、非常に説教くさい内容に改変された珍作だ。
原作小説及び松竹制作の大林宣彦監督による『異人たちとの夏』から大きく改変された変更点は、主人公がゲイとして描かれてい
映画評 ソウルフル・ワールド🇺🇸
『インサイド・ヘッド2』の公開に先立ち、アカデミー賞2部門に輝いた本作が劇場初上映。ジャズミュージシャン志望のジョーと人間として生まれることを拒むソウル”22番”の冒険を描くストーリーは、人生について深く哲学された内容であった。
本作で度々登場する「煌めき」がキーワードとなっており、「生きる意味」として用いられる。ジョーはプロのジャズミュージシャンになり演奏すること。対照的に22番はやりたいこと
映画評 パスト ライブス/再会🇺🇸
第96回アカデミー賞にて作品賞と脚本賞にノミネート、第81回ゴールデングローブ賞作品賞含む5部門ノミネートされるなど、賞レースで注目の的となった本作は、運命に惑わされる男女をロマンティックに描いた暖かくも切ない恋愛映画であった。
ノラとヘソンの関係性及び2人が紡ぐ人生を”運命”以外に括ることはできない。12歳で離れ離れになり、24歳でオンラインを通じて再開するもすれ違い、36歳でNYで直接再開す
映画評 オッペンハイマー🇺🇸
原子爆弾を発明したアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を『ダークナイト』『TENET テネット』のクリストファー・ノーラン監督で映画化。第96回アカデミー賞で作品賞を含む計7部門受賞した本作は、クリストファー・ノーラン監督の集大成とも言える作品であった。
第2次世界大戦中、物理学者のロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計
映画評 私ときどきレッサーパンダ🇺🇸
2022年、パンデミックによって劇場公開されず、ディズニープラスにて配信スルーされていた本作が、『インサイド・ヘッド 2』公開に先立ち、2週間限定で劇場初上映。思春期ならではの悩みを描けてる一方で、ラスト主人公の選択に疑問が残る内容であった。
伝統を重んじる家庭に生まれ、両親を敬い、親の期待に応えようと頑張るティーンエイジャーの少女メイ。本当は流行りの音楽やアイドルが大好きで、恋をしたり、友達と
映画評 デューン 砂の惑星 PART2🇺🇸
第94回アカデミー賞で6部門に輝いた『DUNEデューン 砂の惑星』の続編。『メッセージ』『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーブ監督が、前作に引き続きメガホンを取った本作は、駆け足で展開されるストーリーに、DUNEの世界観に没入しきれない物足りなさが際立った。
アトレイデス家とハルコネコン家による、制するものが全宇宙を制する砂の惑星”デューン”を巡る両家の戦い。ハルコンネン家の陰謀によ
映画評 DOGMAN ドッグマン🇫🇷
『グラン・ブルー』『レオン』のリュック・ベッソン監督による、幼い頃に暴力的な父により犬小屋に監禁され、犬との特別な絆を築いた少年のその後を描くバイオレンスアクションは、良い所もあるだけに、ダメな所も目立つ、惜しい作品であった。
ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性と、荷台に乗せられた十数匹の犬たち。「ドッグマン」と呼ばれる男ダニエル(ケイレブ・ランドリー・ジョーン