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#029 学び合いに関する研修会に参加して

今回は教育に関する投稿をさせて頂きます。

将来、私は数学の教員になることを志しています。
教師になろうと思ったきっかけですが、題名にもある学び合いの経験から、学校生活や授業が楽しいと感じ、それを今度は教師になって子どもたちに体験してもらいたいと思いました。

先日初めて、学び合いを提唱されている佐藤学先生のお話をお聞きできる機会がありました。

教育関係の勉強をされた経験のある方は、学び合いといわれてピンとくるかもしれませんが、それ以外の方は分かりづらいと思います。佐藤学先生に関する記事のリンクを貼らせて頂くので、ぜひそちらに目を通してみてください。

現在教育学部の4年生ですが、あと2年教職大学院で研究をします。
予定している研究の内容が、まさしく学び合いのことについてでしたので、進学する前に1度、佐藤先生のお話をお聞きしたいと思っていました。

本や映像でしか見たことがなかった先生を、目の前で見れたことでもう感動しましたが、先生の最新の考えをお聞きすることができたり、参加された現職の先生方とのディスカッション等もあり、とても濃密な時間を過ごすことができました。

記録としても残すために、今回の研修会で扱った授業やその授業のようすをみて感じたことを記していきたいと思います。

子どもと先生のすれ違い

今回の研修会は、12月に小学校で行われた授業について、録画したものを視聴し、その授業を見て感じたことをディスカッションしたのちに、佐藤先生にお話をいただく形で進められました。

視聴させて頂いた授業は、小学1年生の算数「よみとる力をのばそう」というものでした。足し算と引き算を学習した後の発展的な内容であり、既習事項を生かして買い物の場面の問題を解決できるようになることが目標の授業でした。

学習課題は、
①「○○さんはドーナツを12こかいます。どのようなくみあわせでかえますか」
②「16えんもっています。ぜんぶつかってなにがかえますか」
でした。
学習課題が2つあるのは学び合いの特徴で、①がほとんどの子が解ける問題、②ができる子も悩むような問題となっています。

子どもたちには、値段や○個入り(ドーナツ)と書かれた駄菓子の絵が描いてあるマグネットが配布され、思うがままにマグネットを操作し、式を考えていきます。事前に配布された指導案を見ていても、活動が多く楽しそうな授業が展開されるだろうなと思いました。

授業が始まってすぐは、子どもたちは活発にマグネットを操作し、ペアで意見を交換しながら、賑やかで楽しそうに活動していました。しかし、授業が後半にさしかかった頃、前半ほどの活発さはなく授業全体が間延びしたような雰囲気になりました。

ここで、学習課題が何だったかもう一度見てみます。
①「○○さんはドーナツを12こかいます。どのようなくみあわせでかえますか」
②「16えんもっています。ぜんぶつかってなにがかえますか」

2つの学習課題は、この2つの目標を達成できるものになっているでしょうか。

この授業の目標は、
・既習事項を生かすこと
・買い物の場面の問題を解決できること
でした。

1つ目の課題に関しては、問題はないように思います。12個欲しいけど、2個入りや3個入りのドーナツしか売っておらず、どのような組み合わせで買えば12個になるのか考えることは、買い物の場面はよくあることです。
欲を言えば、「くみあわせ」とするのではなく、「どのように」とすることで、子どもたちの思考をより巡らせることができるでしょう。

2つ目の課題に関しては、「ぜんぶつかって」という言葉が、強く制限をする言葉になっているように感じます。

2つ目の課題は多少難しくなっているため、1つ目の課題よりも解決に時間がかかることは容易に想定できます。また多くの人は、解決に時間がかかる理由を、計算がうまくできないからと考えると思います。

しかし実際は、授業の録画で子どもたち同士のやり取りを見ていると、計算がうまくできないから解決に戸惑っているのではなく、買いたいものと計算が合わないから戸惑っていたのです。

16円全部使うことを課題で要求している理由としては、値段の異なるものをどのように組み合わせれば、持ち金ぴったりになるかを考えてほしいということだと思います。

しかし「ぴったり」ということを要求すると、数合わせのために児童がほしいとは思わないものを買うしかなくなるため、小学一年生には少し酷でしょう。また、ほしくないものをわざわざ買う場面はほとんどないため、おつりが出てもよいということにしても問題はないでしょう。

子どもがなぜ戸惑っているのか、先生は気づかず授業を進めてしまいました。11円までつくることができ、あと5円足りないとなり、欲しくもないメンコを買うことを渋々受け入れる子どもがたくさんいました。

ここに子どもと先生のすれ違いがありました。

子どもを内側から理解すること

この授業が他の授業と異なる点は、学び合いであるということです。
授業というと、先生が子どもに教えるというイメージを持たれる方が多いと思いますが、この授業のやり方は先生からの発話を極力減らし、子どもたち同士が議論を行う中で学びを生み出すという方法です。

佐藤先生は今回の研修会で、「子どもを内側から理解すること」「子どもから見えてる世界を理解すること」を特に仰っていました。

子どもたち同士の議論がほとんどを占める学び合いでは、先生が勉強を教える技術よりも、子どもたちがしたいことを理解し、積極的に活動できる環境を整えることが大事になるのだと思います。

教科書の内容を吟味せず扱ったり、教師が身につけてほしいということをそのまま押し付けるのではなく、子どもたちが求めている授業ができるようにしたいと思いました。