【詩】A song for two boys
わたしは泣いたことがない
呟く彼女
泣き虫だった少年は
泣き虫だったのに
自分のことを
言い当てられた気がした
確かに抽斗を開けると
いちども火を着けたことのない
ロウソクが一本あった
その白さ
的に当たった矢羽根がゆれる
(彼女のその後はまた別の物語)
濃い眉毛
短いまつ毛
きみを挿入している時に
左目尻へと触れてみる
すきだな、この黶
への字に曲がった口が呟く
「キライなんだ、泣き黒子」
堅い毛髪を両の手のひらでつつみ
ぼくはもっときみへと降りていく
「泣き虫だったから