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【詩】あしたの夜もここにきて

小さなけもの達は 
こおりの夜 
さがしものをする
とうのむかしに
やんでしまった曲

星をすかした枝々は
凍ての夜
うごきだそうとする
なくした楽器に
ふれていた指づかい

こんなにも こんなにも
あふれだす 憎しみは
透明で
純粋で

北風の夜は 解析度があざやか
すれちがう人々は すれちがうこころ
こんなにも こんなにも
透明に純粋に 夜をおおう
貴方はなにに つかれていますか

なくしたんだっけ?
あのプリズム ぼくのたからもの
かざした指のあいだから 虹がうまれ
きみが追いかけた ぼくのたからもの
どうして きみの家にあったのかな

ぼくがやったんだよ
あの縦笛 なくしたらこまるもの
木のねもとの洞に かくしてみたら
リスみたい なくしたらこまるけど
なくしてもいいものだよね?

星あかり 月あかり 人あかり
しんだ太陽の 遺言
それとも いたずら
あふれる透明を なでている

ぼくにちかづく おおきな渦を
名もしらぬ星の下で 視ていよう
ぼくをのみこむ とまらない渦を
おおきな森を背に 聴いていよう
けもの達はこんやも さがしものをする
ねえ、あの渦はだれの渦だろうね



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