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地方創生Coach Note【復興へ向けての振り返り⑩「まとめます」】

前回はこちら。ブレイクスルーとは【誰かの「正しい答え」に従うのでなく、また一人一人のバラバラな「私の答え」に任せるのではない、私たちの「意志(方向性)」を生みだされること】と定義し、その為に必要な「傾聴」と「シナリオ」に関して触れてきました。

そして先日。聞いた話ではありますが、ある「場」でファシリテーターがいるのに学校教室のような椅子の配置になっていたと。で、参加者から「これじゃダメ」と声があがり、円系に変えたことで結果、ブレイクスルーの体感が起こった・と。
 
これはまさに⑥で触れた通りで、視点が人の心理に与える影響。たかが配置、されど配置を端的に示していると思います。

そしておそらく本人たちは、ファシリではなくモデレーターをやろうとしていたのではないかと思います。ゆえに参加者の視点に立った準備を怠った。

このようにファシリテーターを司会進行の別称、会場の整理係程度に認識している人も少なくない・のは現状でもあることも触れた通りです。

しかし、座席の変更を許容したことは、ファシリテーターとしての在り方として相応しかったと思います。対話を求められても拒絶して、自分の進行にしがみつく。こんな自称プロもちょこちょこいますが、これなどはまさにファシリではない態度、在り方でこれもまた触れてきた通りです。
 
というわけで今回。ここまで触れてきたファシリテーションの序段に関してまとめつつ、一区切り。あとは皆様の実践に期待・としてみたく思います。

☆私たちは、必ず一歩を踏み出せる

もし、神と呼べる存在が身近にあるのだとすればそれは「可能性」という人の力。これは、ここまで note でも何度か触れてきた僕の信念や価値観に根差しているものの一つです。

アダム・カヘンらの変容型ファシリテーションにおいてもその前提として「グループは公平な貢献とつながりを否定しない限り、前に進む道を見出すことが出来る」としています。
 
ですので、復興における外部支援者としてまず大事なことは、人の力、人の可能性を適切に(盲目的ではない)信じていることです。あなたはコーチやカウンセラーではないかもしれませんが、目の前の人を信じるところからすべてが始まります。
 
その人の中にある、小さな明日への一歩を踏み出していく心の欠片をそっと応援してあげてください。過剰な勇気づけやアプローチ、エゴなパフォーマンスはむしろ害になることも忘れずに。
 
人は自分以外の誰かの為にはより力を発揮することが多いですし、無償無条件で応援してくれるたった一人の存在が、その人を前進させる力になります。

よく観察し、小さなことから、出来ることをコツコツと共に積み上げていく。そのプロセスを共に体験し、相互のつながりを確認していきましょう。「Sympathy」ではなく「Empathy」で接する。そのこともまた忘れずに。

☆「孤立」を防ぐステージへ

この春休み。そして5月に来るゴールデンウィーク。
この期間でのボランティア受入れとそのディレクションによる生産性の最大化は、今後の能登半島全体の未来を左右する。そんな重要な時期が近づいてきています。そして、そこで直面するテーマは

「孤立回避」
 
です。日本の避難所後期からの仮設住宅という仕組みは「孤立」を生み出しやすいシステムになっていて、かつ改善されていません。ですので、つまるところ自殺者を増加させやすい環境でもある・ということです。

人は自分という存在が社会、世の中に必要がない、居場所がないと感じるといとも容易に自らの命を絶ちます。
 
人は「つながり」の生き物なんです。
 
僕自身が仮設住宅の支援で実施した一例をあげますと、ニーズ調査を住民に預けていったケースがあります。
 
自分達の明日がちょっと良くなるために何があったらいいだろう、どんな人に来てもらったらいいだろう(対話機会の創出)。あるいは仮説住宅の中で我慢していることや変わってほしいこと(避けたい未来)を

「毎週、定期的に来るから教えて」(貢献と約束。再会という死を遠ざけるアンカー)
 
とリーダーさんや組長さんにお願いしていきました。そのうえであがってきたレポートやお話を伺いながら、個別訪問をしてさらに掘り下げて、その真意を探索して、ヒト・モノ・コトをつなげていった(つながりの強化)わけです。

支援という言葉の受け取り方もあって、どうしても行政や支援者サイドが上下関係で助けるというイメージにもなりやすいのですが、こうした行動が自殺者や以前にも触れた「依存者」を増やしてしまうことはもう認知しておくべき事柄です。

むしろ、上記のような対話自立によって、仮設住宅の人々が役場や議員さんに「リーダーとしてひとことモノ申す」と言えるような状況である方が、間違いなく健全だと言えるでしょう。
 
僕自身は、こうした関係性の中で「日常に彩り」というテーマでも動いていました。アーティストの方々と即興で皆で出来る作品作りをつないだり、仮説エリアでの部活的活動を増やしたボランティア女性のサポート等を継続支援をしたり。これまでに触れてきた「個々の実感」へのアプローチをしていたわけです。

そしておそらくは同様に、今回も能登の方々が生きていく力。活動していく力をいかに支えていくかと言う現場力が問われると思います(また、当時は行政に提出する書類がかけずに困っている。書類提出を諦めてしまい、受け取れるお金を放棄せざるえなかった方々等もいて、こうした支援に関する簡略化やサポートも重要になってくると思います)。現場に入る方には、ぜひ自身にとってもよい時間、よいつながりの機会になりますように祈っています。

☆PS

今回もまた中長期にわたる復興の道のりになっていくでしょう。

今は出来ない状況にある方々も、自分にできることがある機会、タイミングがありましたら、ぜひこうした支援の環に多くの人々が参加してもらえればと思っています。その一歩は、みなさんにとっても、人生を変える一歩になると思います。
 
僕自身も今月あたりからちょこちょこと向かう予定です。
現地、あるいはどこかでお会いできればと思います。では!


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