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#028「老化が早い」日本企業と老いても元気なアメリカ企業

2018年度に、日本で老舗企業の倒産が過去最多を更新したというニュースがありました。社齢100年を超える老舗企業の倒産などした件数が、過去最多の465件だったことが分かっています。

老舗企業が事業の継続を断念した理由は多様ですが、今回は稼ぐ力にフォーカスして整理します。結論として、日本企業は老化が早く、社齢を重ねると稼ぐ力が衰えることが分かっています。

老舗企業の倒産件数はリーマンショック超え

老舗企業(社齢100年以上)の倒産件数の推移

上記は、老舗企業の倒産などの件数の推移を示したものです。ここでは、社齢100年以上の企業を老舗企業と定義しています。

2018年度には、2000年の以降で過去最多となる465社が事業継続を断念しました。これは、リーマンショックや東日本大震災の翌年をも上回る数値です。

なぜ老舗企業の倒産等が増えているのでしょうか。社齢と稼ぐ力の関係に一つヒントがありそうです。

日本企業は老化が早い

日米企業の加齢とROAの関係

ここに、企業の加齢とROA(総資本利益率)の関係を示すデータがあります。

総資産利益率とは、企業が資産をどれだけ効率的に使って稼いでいるかを示す指標です。ヒトコトで言えば「企業の稼ぐ力」を知る指標です。

データから分かるのは、「日本企業は老化が早い」という事実です。

アメリカ企業が設立から稼ぐ力を上げ、たとえ40代以降になっても活力をキープしているのと対照的に、日本企業は10代にピークを迎え、それ以降は徐々に稼ぐ力を失っていっています。

なぜ日本企業は老化が早いのか?

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なぜ日本企業は10代でピークを迎え、稼ぐ力が衰えていってしまうのでしょうか。「野生化するイノベーション」の著者である清水洋氏は、2つの理由をあげています。

1つ目は、経営者へのプレッシャーの低さです。

日本企業にはこれまで、金融機関を筆頭に安定的な株主が存在していました。ですから、収益性が低くとも合併や買収をされるかもしれないというプレッシャーが少なかったのです。

ただ、近年では、コーポレートガバナンス改革を旗印に、政策保有株式の削減が進んでいます。現在では、外国人投資家の保有比率が3割まで高まっています。(下記リンク参照)

安定株主は減少していくことは間違いありませんから、今後は企業に対する株主からのプレッシャーは高まっていくでしょう。

2つ目の理由は、経営資源の流動性の低さです。

とくに日本は人材の流動性が低いとされます。たとえ事業の収益性が低下し、事業ポートフォリオの見直しが必要になったとしても、容易に手続きを進められない事情があります。

対してアメリカ企業では、人材のレイオフや整理解雇をしやすい環境が整えられているので、よりドラスティックに事業を転換できます。その結果、社齢を重ねても稼ぐ力を維持できている、というロジックです。

これらの理由が、日本企業の老化が早い理由と考えられます。

今回は以上です。

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