見出し画像

#011 任天堂がニューニンテンドーワールドを作る理由

2020年の夏ごろに、ユニバーサルスタジオジャパンに「スーパーニンテンドーワールド」がオープンする予定です。これは、任天堂にとって初めてのテーマパーク関連事業への進出になります。

その背景には、「天国か地獄か」とも言われるゲーム業界の不安定な収益構造がありました。任天堂はビジネスリスクを低減するため、「任天堂IPに触れる人口の拡大」というIP活用の経営戦略を掲げています。

今回は、任天堂がテーマパーク事業に乗り出した理由を掘り下げます。

USJの建設費ランキング

画像1

何よりも驚きなのは、スーパーニンテンドーワールドの建設費の高さです。これまでUSJの最高額だったハリーポッターエリアの450億円を大きく上回る600億円の建設費が投じられます。

裏を返せば、それだけ任天堂のIPに価値がある、ということです。アメリカのビジネス誌「TIME」によれば、世界で最も影響力のあるゲームキャラクターランキング1位は「ピーチ姫」でした。

任天堂の業績は不安定

画像2

娯楽産業は「天国か地獄しかない」といわれるほど、業績の浮き沈みが激しい業界です。任天堂の中興の祖、山内氏は次のように語ります。

「娯楽産業とは浮沈の激しい産業である。僕たちのビジネスというのは、勝ったら天に昇るけれども、負けたら地に沈む」
-任天堂・山内溥

実際に、任天堂もヒットに恵まれなかった2012〜2014に営業赤字に転落しています。業績変動リスクに対応するため、任天堂が無借金経営を続けていることは以前のnoteでも触れました。

スイッチ一本足打法のリスク

画像3

直近の任天堂のIP関連事業の売上高は全体の4%に過ぎません。売上の86%をスイッチが生み出す「スイッチ一本足打法」になっています。

ゲームハードへの依存度を下げ、ビジネスリスクを減らすことを目的に、任天堂はIP関連事業を強化しているのです。

2022年には、映画「スーパーマリオブラザーズ」の公開も予定されています。

IPに強みを持つバンダイナムコ

画像4

IPビジネスに強みを持つ企業の代表例がバンダイナムコホールディングスです。

同社はIP軸戦略を掲げており、仮面ライダーやガンダムからアンパンマンまで、非常に幅広いIPを保有しています。

バンダイナムコの業績は安定

画像5

上記はバンダイナムコの直近10年間の営業利益の推移です。業績が非常に安定していることがわかります。

任天堂も、スーパーニンテンドーワールドを筆頭にIPビジネスを強化することで、業績を安定させることを狙っていることがわかります。

今回は以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?