【書評】ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り
ツイッター創業物語には、これまで表に出てこなかったような同社のドロドロの内情が書かれています。それを端的に示すのが、創業から4年で3人がCEOを務めたというシンプルな事実です。
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Twitterの内情
本書を読むまで、私はTwitterの創業者の名前すら知りませんでした。Facebookのマーク・ザッカーバーグやマイクロソフトのビルゲイツに比べると比べると知名度は見劣りします。
Twitterには4人の共同創業者がいます。この構造により、同社では繰り返し権力闘争が繰り広げられてきました。
現在の共同創業者兼CEOを務めるジャック・ドーシーも、かつてCEOを解任された過去を持ちます。
現在、ジャック・ドーシーはTwitter社の2%の株式しか保有していません。ですから、2020年3月にアクティビストから社外取締役の選任と自己株式取得を要求された際に、それを受け入れざるを得ませんでした。
アクティビストに「敗北」したわけです。
なぜアクティビストに敗北したのか?Facebookなどのように種類株を活用しなかったのか?と疑問に感じていましたが、その背景にはこうした事情があったのですね。
ジャック・ドーシーがCEOになるまで
ジャック・ドーシーは、オデオというスタートアップにエンジニアとして入社します。その後、同社のサイドプロジェクトとして始まったTwitterの開発で頭角を現し、Twitterに欠かせない存在になっていきます。
権力闘争で共同創設者の一人であるノア・グラスが追放された混乱のさなか、ジャックはCEOに昇格します。ジャックがCEOになることについては、経営幹部の中からも異論が出ていました。
ゴールドマンは、ジャックをCEOにしないようにとエブを説得しようとした。「会社を経営する能力があるとは思えない」エブはその意見に賛成したが、ジャックは鍛えられれば変わるだろうと考えていた。
ジャックの解任から復権まで
TwitterのCEOに就任したジャック・ドーシーですが、すぐにその経営能力に疑問が噴出することになります。趣味に気を散らしていたり、マネジメント手法にやる気がなさすぎると見られていたのです。
極めつけは、会計知識が極端に不足していたことでした。
ビジャンとフレッドは、会社の財務面でもジャックが無能だったことを知った。ジャックはずっと自分のノートパソコンで経費を管理し、間違った計算をしていた。
それを見つけたエブは、友人で経験豊富な起業家のブライアン・メイソンに、ジャックと会って、会社の帳簿の管理を教えてやってほしいと頼んだ。
だが、ジャックと会っているあいだずっと、ブライアンはホワイトボードとマーカーを使って、会計の基本を説明するはめになった。
CEOを解任されたジャックは復讐を誓います。
失意のジャックは、スティーブ・ジョブズの真似を始めます。ジョブズと同じように毎日同じ服を着たり、ジョブズが好きな音楽を聴いたり、ジョブズの言葉を真似たりします。
スティーブ・ジョブズ2.0として、メディアを巧みに使いながら、ジャックは自身のプレゼンスを高めていきました。その結果、Twitterのバイスプレジデントが秘密裏に相談にくるようになります。
最終的に、ジャックは取締役会すらも味方につけ当時のCEOを解任することに成功します。このようにドロドロの権力闘争を乗り越えて、ジャックはTwitterのカリスマになったわけです。
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