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余白。

あの時さって、話をした。シガー・ロスが来日すると聞いてから、シガー・ロスのCDを初めて手にした夜の話をしたし、同級生に勧められて視聴したアーティストに馴染めなくて寂しかった話もした。音楽に疎い方だから、この話にあまり続きはないのだけど、2つとも場所に強く結びついた記憶で、夜のTSUTAYA。最近、学生の時に通った場所が壊されて新しくなっていくのを思い浮かべて、TSUTAYAだっていつか、と思ったら、少しだけ寂しくなって。いや、とはいえ、まだ大丈夫だろうと、恐る恐る調べたら、閉

    • 夜の散歩。

      映画を観た。抑制的な話し方が心地よい、時間が僕までも、旅に連れて行ってくれるかのように、ゆっくりと、静かに、僕の中に浸って入り込む。 人物と言葉の熱量が等価になって発せられる会話は、心地よく身を任せられる気がした。 ここ最近は、大きな熱量から零れ落ちたような映画を観て、その非日常に魅せられるような時間を過ごしていたのだけれど、昨日は久しぶりに、映画の中に夢をみた。その体験は、終わってもなお、心地よくうっとりとしていて、僕を安心させた。 旅に出たい。夜に包まれて、遠い街の時間

      • できないことを。

        車を運転できないことを、少しだけ恥じている。免許はあれど、教習場以外の車を運転したことがない。運転できたら爽快だろうなと思うことも多々あれど、時々運転席に座らせてもらっては、僕には無理だと妙に納得して落ち着かせている。 車が昔から好きで、カタログが愛読書だった。あの時は商用車も含めて、大方覚えていた。車の名前も、その排気量も、その価格も、覚えていたから、あの時の僕の視界は殆どが車の情報で占められていた。仕様、って文字が読めなくて、様がつくなんて偉そうな車だな(事実、偉そうな

        • 光だ。

          泥のように、と書き出して、違うなと思っていくつか文字を消した。ホラー映画の中に出てくる(とは言ってもホラー映画など、ほとんど観たことないのだけれど)ホワイトキューブの眩い光に照らされて、突然目の前で捲し立てられては置いていかれるような季節を過ごした。冬が好きなはずなのに、今年に至ってはそんな僅かな楽しみも、クリスマスを過ぎた年末にならないと訪れなかった。時間がするりと逃げていく。 今年。 初日の出を、生まれて初めて見た。もしかしたら初詣の境内で年越しを迎えた高校生の時に、

        余白。

          冬が好きだ。

          定期的に環境に過敏になる時があって、11月はまさにそれにどっぷり浸かった1ヶ月だった。未だに引きずっているけれど、押し倒されるようなこれまでよ1ヶ月よりかは少し良い気がする。同じような人がいるのかしらと、最近ちょっとだけ寂しくなる。 冬が好きだと、大学に入った時に書いた僕の文字を見て、めちゃくちゃ気に入ってくれた同期がいた。4年後に僕のカムアウトをするりと聞いてくれて、卒業旅行も一緒に行った。 どうしてる?

          冬が好きだ。

          距離。

          誰かのことを思い遣ること、僕は多分めちゃくちゃ不得意なんだと思う。家族の中で、僕はひとり浮かんでいる気がして、距離を置きたくなる。だけれど実際は家族みんな、そんな心地なのかもなとも思う。ひとり、誰とも相容れないような心地を抱きながら、家族という名前に背を繋がれている。 どちらかと言うと、母は競争心のある方だったと思う。父方の両親から、どのようなことを言われたのか、幼かった僕には分からなかったけれど、母は対抗するために僕ら兄弟の教育に力をかけた。その教育が僕らの身を助けたかど

          紅葉の街。

          しばらくはふかふかした毎日だった。 文化の日って何?って話を聞きながら、フライドチキンを食べた。夜遅くなって僕のお腹が空いたから、ずっと取っておいた冷凍のたこ焼きを食べながら、…何話したかな。遅くに眠って、いつもより少し遅めに起きて、列車とバスに揺られて、冷えた空気の中、紅葉の街に着いた。坂を息を切らして上って、水にまつわる展示を眺めた。水って何?って思いながら、僕の身体を構成する水以外のものに思いを馳せた。鉄を見る時、自分の中に鉄を見出すのだろうか。世界と同じだから、僕は世

          紅葉の街。

          天気の良い日。

          少し遠くから来る友達に、車に乗せてもらった。透明な建物が見たくて葛西臨海公園まで連れて行ってくれたのに、修理中で外には幕が貼られていた。天気の良い海辺は陽射しが少し強くて、芝生には木製の椅子が整然と並べられていた。工事中かぁ、と呟きながら海辺を眺めると、銀色タキシードの男性が見える。結婚式かぁと呟きながら陽射しに眉間が険しくなる。 1階のカフェは開いていたのでアイスティーを飲んで一休みした。2年ぶりに会うのに、こんなことで良いのだろうか。 お昼に予定があったので、そのあとわざ

          天気の良い日。

          ぼんやり。

          急に書かなくなるからいけない。花粉症が辛い。 終わりよければ、ということにして、今週はまあまあだったと位置付けておきたい。辛かった。 足の甲を眺めながら、顔と足ってイメージが繋がらないことが多いなとふと思った。顔はさらりとしているのに足は少し勇ましかったり、想像を軽く裏切ってくる。親指よりも人差し指が長い足が好きだなと思うけれど、それは僕のないものねだり、なのかもしれない。実際、そもそも足の甲を眺める機会なんてそうそうあるものでもないし、さりげなく秘密にされている部分なん

          ぼんやり。

          滲む。

          朝から頭が鈍くぐったりしていた。思い出したくないほどにコントロールが出来なかった。 完全栄養食を昼食にして、コンビニで小さな歯磨き粉を買った。 帰りは雨。いつも通りひとつ手前の駅から歩いて帰った。靴に水が滲んだけれど、明日の靴よりも今は歩くことの方が大切な気がした。 少し眠たい。 ベットに入ると、寝苦しさがあってパーカーを脱いだ。

          鈍角。

          前日の夜は疲れてしまって、家に閉じこもろうかと思っていたけれど、朝起きたら思いの外元気だったので、出かけることにした。 乗りたかったバスにはもう少しのところで間に合わず、しばらく信号待ちでゆっくりと進むバスと並走することになった。 地下鉄に乗って新宿。ネットで特急券を急いで買って、駅中のジューススタンドでシャインマスカットと桃のジュースを買った。 行きの列車で昨日の日記を書いた。ジュースは搾りたて感があって美味しかったのだけれど、マスカットの香りよりもブドウの渋さが際立って、

          陽だまり。

          行こうかなと迷っていた九州行きを、前日の夜に決心した。急いで航空券の予約を済ませて、明日は6時前には起きなくては、と思ってベッドに横たわった。起きるのだと思い込んで、横たわった。今日は目がまだ冴えている。歩いて帰って、シャワーを浴びて、すこし火照った身体でそう思った。そう思い込んだ。明日は早く起きなくてはな。そうして、朝。目を覚ました。枕元の時計を手に取る。きっかり7時。保安検査場締め切りは後数分。ああ、やってもーた、と呟いた。ああ、やってもーた。まあるい朝の始まりに包められ

          陽だまり。

          水。

          昨日はいろんな感情がまるで湿った空気のように漂ってきて、次第に身体が重くなっていくような1日だった。お昼は自席で完全栄養食を食べた。どこかミネラルの匂いがする。お昼ご飯は安定させた方が良いのかもしれない。 夜も完全栄養食を食べた。アイスも食べた。帰り道は少し雨の様子だったけれど、どうにか濡れずに帰ることができた。 楽しかったことはなんだろう。スペースの話が楽しかった。僕は1度もお会いしたことないのに。 夜は少し目が冴えた。 なのに、気を失うように眠ってしまう。

          散歩。

          今日はひどく疲れたな。果物を買って帰ろうかとぐるりと巡って、手に取らずにサラダを買った。家にはまだ柿があるし、涼しくなったからか、疲ていたのか、ヨーグルトを眺めて唐揚げを買った。いつもこの季節はどうにも力が入らない。 目的のない散歩がしたい。お腹が空いたら喫茶店に入って、疲れたら街のホテルで眠りたい。夜を越えたい。遠くに行きたい。 列車を乗り換えた。同じ駅かと疑うほどに長いトンネルを抜けて乗り換えた。まるで巡礼者のように、皆が同じ方向に直向きに歩いていく。僕も同じように歩

          散歩。

          光。

          仕事が遅くなるとぽっかりした心地で帰りの電車に乗ってる。最終電車はガランと空いていて、駅のホームもほとんど人がいないものだから、進行方向を向けばガラスの外に風景が拡がって、まるでパノラマ写真を眺めているかのよう。 日記を続けることに漠然とした憧れを持っていて、それは丁寧な生活に憧れを持つのと同じ感情なのかもしれないけれど、手書きならきっともっと続かないのだろうなとも思うから、丁寧ではないなと思い返す。 雨が上がって夜の街がきれいな光を纏ってる。 最終電車は一つ遠くの駅が最

          灯り。

          いつもより少し早くに出て、遠くまで仕事で出かける。薄暗く寒い1日を思い描いていたのに、思いの外陽射しが強い。仕事のことを書くことは難しいな。なんだろう。堪えるような時間だった。 打ち合わせを終えてからサテライトで作業をしたので、早めに切り上げて、バスで帰る。夜の繁華街を抜けて、坂を下って上がって、急に灯りも乏しい通りに入ったらすぐに薄暗い停車場に着く。そこが僕の最寄り。寒さを感じない帰路だったのに、部屋に着いてひと息つくと足先から冷えてきた。お茶を淹れて、今はお布団をリビング