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J3 第20節 レビュー【鹿児島ユナイテッドFC vs FC岐阜】計画通りから殴り合いまで

2021.9.25 J3 第20節
鹿児島ユナイテッドFC vs FC岐阜

こんにちは。
今回もご覧いただきありがとうございます。

今回のお相手は岐阜。
姉妹県ダービーとなりました。

岐阜の後半戦3試合を見ると、1勝2敗。
それも0-4、3-0、0-3と、なかなかダイナミズムに溢れるスコアとなっています。

実際にこの3試合は、「これぞ安間体制!」といったような振り切った挙動が見られました。

が、今節に限っては少し手を加えて、自分たちのペースに持ち込めるよう工夫がされていたと思います。

両チームそれぞれの挙動を振り返りながら、見ていこうと思います。

ご笑覧ください。

0.スターティングメンバ―

TACTICALista_2021H岐阜戦スタメン

まずは鹿児島。
前節からは変更ありませんでしたね。

上野監督は競争は生まれていたが、変えなかった、という旨のコメントをしていました。なので、コンディションだったり、勢い・流れを引き継ぎたいという部分での選出だったかもしれません。

ー前節からスタメンを変えなかった理由
この前の鳥取戦に出場した選手だけでなく、みんなが1週間いい準備をしてくれました。うれしい悩みでしたが、同じという結果になりました。しかし、リザーブの選手も選ばれなかった選手も、みんないい準備をしてくれています。明日もエリートリーグがあるので切磋琢磨して欲しいです。

今振り返ると、先週はちょっと悪いことしたなぁと思っているので、今節はコメント引用させていただきました。有難うございます、上野監督。

続いて、岐阜。
こちらは3番竹田→5番パウロン、28番三ツ田→4番甲斐、23番大西→10川西の変更。

前節・前々節は、川西も甲斐もベンチ外でした。理由は分からないです。
ちょっとエゴサしてみると、岐阜サポさんも疑問視していたので、外からは分からない事情だったのかもしれません。とにかく嫌な選手が帰ってきました。

また、フォーメーションは3-4-2-1と捉えるのが理解しやすいと思います。3-3-2-2と表記する媒体もありますが、僕の解釈では3-4-2-1。まぁ結局は、電話番号に過ぎないですけどね。

フォーメーションは前節から一貫していますが、シャドーだった42番柏木がDHに、DHだった8番中島がシャドーに位置を変えていました。

柏木はシャドーの守備タスクはしっかりこなすイメージもあり、ビルドアップの出口・リンクマンとしても効いていたので意外でしたが、ゲームを見ると、岐阜の課題解決案としての采配が感じさせられました。

次項で見ていきます。

1.岐阜のボール保持

岐阜の後半戦の試合を見ると、ボール保持で個人の質を活かしたシーン以外に、効果的な前進はあまり出来ていない印象がありました。

今節は、質の高いレジスタタイプの42番柏木・14番本田がDHとして並ぶことで、ビルドアップを改善する狙いがあったのではないかと思います。

TACTICALista_2021H岐阜戦岐阜ビルド

岐阜のビルドアップでは、DHの一人がすんなり最終ラインの落ちることが多く見られました。上図では、14番本田が落ちたところです。

この時、最前線では1トップ2シャドー+両WBが5レーンを埋めて、鹿児島DFライン+DHをピン留めしているので、言うなれば岐阜の陣形は5+5。中盤が空洞化したような形でビルドアップを試みます。

このことで、鹿児島の前プレを分断。
最前線の選手のプレスに後方の選手を追走させない+個の質で捌けるDHがいることで、敵陣まで楽に運べるメリットを享受出来ます。

この仕組み、ミシャ時代の浦和も一時期やっていたんですよね。柏木が上図と同じ役割を担っていました。

尤も、その時の浦和は両WBがドリブルで蹂躙でき、最前線中央も興梠・武藤・李が洗練されたコンビネーションで崩せることで成り立っていました。
が、今回の岐阜は連携がそれほどでもなく、単調気味に終わっていたと思います。まあ、課題解決はそう簡単じゃないですね。

またメリットばかりではなく、中途半端な形でロストした時には、最終ラインに圧倒的な質が無い限りは、ネガトラ耐性が弱く、諸刃の剣でもあります。あの頃の長谷川ガンバに、パトリックに、してやられていたアレ。

今節の鹿児島も、トランジションからチャンスを作れていたのは、そういった部分や、岐阜の守備の考え方が影響していました。

2.岐阜のボール非保持

3-4-2-1の非保持の場合、前プレをするならそのままの陣形・押し込まれたら素直に5-4-1に移行するのがセオリーです。

今回の岐阜は、前プレではセオリー通り3-4-3のまま五角形を押し上げてきました。
安間さんのチームなので、アグレッシブ路線なのは周知の事実ですが、少し強度は足りず、岩手戦などで感じたプレス回避の課題は感じさせなかったと思います。

一方で、ミドルプレスでは4-4-2が主でした。右シャドーの8番中島・右WBの11番レレウが1列ずつ降りる形です。

鹿児島はSHが大外で張るので、素直に5-4-1で並んでも良いんじゃないかと思うんですが、恐らくその場合、2ndラインに川西・本田・柏木が並ぶことになり、守備強度が足りなくなるので強度を担保したかったのだと推測しています。3人ともボール保持で強みを発揮するタイプですからね。

そして、陣形としては4-4-2ですが、そこは安間体制。
ブロックを組むというより、アグレッシブなプレスは継続。
前線の前プレに準じて空く、2nd-3rdライン間のスペースは3CBが躊躇なく前進して埋め、潰しに掛かります。

左右HVが迎撃に出るのは珍しくも無いですが、中央CBまでもが躊躇いもなく出てくることは中々無いと思います。

岐阜が特に後半戦にダイナミックなスコアを繰り返しているのは、狂気の沙汰とも言えるこのアグレッシブさも一因だと思います。しかし、同系統でも秋田や岩手ほどの法則性は無く、近くの誰かが頑張って埋める!というカオスを感じます。

しかし、嫌いでも無いんです。哲学も振り切れると心が震える。
さらに言えば、去年の岩手にも同じような感想を持っていたので、今後岐阜が洗練されていく可能性はあるとは思っています。選手の質も高いですしね。

とはいえ、今節を見ると鹿児島はその不安要素を的確に突けていました。
次項で先制シーンを例に見ていきます。

3.計画通りの先制点

先制点は藤原の斜め楔のパスから始まりました。
この時、岐阜はサイドに密集を作って嵌め込む思惑があるので、相手の人数はいました。その密集の一つ先にボールを付け、岐阜が囲い込みたいスペースを裏返す素晴らしいパスでした。

TACTICALista_2021H岐阜戦先制点

そのパスにより岐阜前プレ隊を飛ばされ、晒された岐阜DFラインは前述の通り、ボールを受けた秋山・秋山からパスを受けた中原へそれぞれ5番パウロン・4番甲斐が迎撃に掛かります。

秋山はそれを見てすぐさま、パウロンが空けたスペースに走りこんだ山本にパスを供給し、得点となりました。

岐阜DFが前に出てくることは当然スカウティングしていたでしょうし、理論的には当然なんですが、当たり前のことを当たり前に出来る選手たち、凄いですよね。

特に今節は、目の前の敵をいなすことはピカイチの秋山の技術や、引き付けたスペースを使い、DFの背後に入る能力に長ける山本の起用がドハマりしていました。山本のドライブ気味のシュートも見事です。

また、
・山本が落ちてCBを引き付けてレイオフ→スペースに走りこむSHに供給
・ビルドアップ局面で、SBがWBを引き付けてSHにロングボール
・DHとトップ下の列下ろしにより、岐阜の選手を前に引き出して前線へロングボール
・インナーに入ったSHが空いたスペースを活用する
などの場面が多く見られており、引き出して空いたスペースを使う意識はかなり徹底されていました。

そのため、細かく繋ぐだけでなく、縦に速い崩しが多い印象もあったのではないかと思います。その是非は考え方にもよりますが、それが効果的ならばそれで良いのではないかと思っています。少なくとも、上野色はそういった部分に出てきていますね。

4.試合終盤、殴り合い。

試合は進んで、試合終盤。

ビハインドの岐阜WBは、攻撃参加を優先し、守備時に最終ラインまで戻れなくなってきます。

その結果、鹿児島はWB裏を使ってカウンターし放題、岐阜も前線に人数を掛けているので、そこに届かせるため加速傾向が強くなりました。

安間岐阜としては、オープンな展開なら分があると踏んだでしょうか。お互い殴り合うような展開になりました。

しかし実際には、岐阜のプレスも弱まっており、ブロックを構えられる場面もありました。その局面でも鹿児島は、引き続き速い展開を継続し、相手のペースに乗っかるような挙動をすることも。

そのため攻撃が単調になってきた時間帯でもあるので、局面を見定めながら無難に試合を締めくくるプレー選択も洗練したいと感じる場面でした。

5.あとがき

ヒヤッとする場面もありましたが、虎の子の一点を守り切り、ウノゼロで勝利。

ボール保持を見ると、これまでの試合で取り組んできた立ち位置に選手の技術が掛け合わさって、岐阜の弱点を突けていたのではないでしょうか。

一方で、カオスかつオープンな展開を断絶出来ない局面もあり、チーム内の意思統一も含めアップデートしなければならない部分も見られました。

ボール保持を中心に、積み重ねの結果が出てきているところなので、もうしばらく見てみると改善もされてくるかもしれませんね。

とにかく、ホームで久しぶりの勝利・連勝とし、昇格戦線に踏み止まりました。

次節もホームでボトムハーフのYS横浜。
しっかり勝って昇格圏との差を詰めたいですね。

それでは、また来週よろしくお願いします。

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