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東一西
2017年6月1日 23:56
自作小説の看板娘、茜(あかね)の浮世絵風イラストです。江戸時代をモチーフとした、異次元の世界・瀬戸(せと)を舞台に活躍する同心です。クセの強い岡っ引き達と一緒に事件を解決するドタバタ捕り物時代劇です。ご興味がありましたらご一読ください。第一話 女同心と忍者同心の出会い 第二話 陥れられた少年第三話 人斬り・烏天狗の犯罪
2017年5月31日 19:45
それから暫くのちに茜も帰ってきて、一通り八重から事情を聞いた。「それにしても・・・虎吉くんの強さにも驚いたけど・・・あんたがまさか噂の忍者同心だったなんてねえ!」八重はまじまじと皐の顔を見つめた。こうして見てみれば、ただのだらしのないヘラヘラした男に見える。「ふふふ、よかったらお近づきの印にちゅっちゅでも如何ですか?」と皐は口をすぼめた。」「あんたはそれしか無いのか!」と茜は皐のほ
2017年5月30日 21:11
その頃、虎吉は震えだした八重の身を案じ、「大丈夫か?一体どうしたんだ?」と聞いた。「ねえ、なんで欣二さんは・・・あの時、与六さんが酩酊してたってことが分かったんだろう?それに、与六さんが後ろから脇差しで刺されたって事も・・・あたかも自分があの場にいたかのようにしゃべって・・・」八重は欣二には聞こえない声で虎吉に思ってることを打ち明けたが、その言葉を聞いた後、「なるほどな、あいつの言
2017年5月30日 01:20
黒田達の手下達がせわしなく烏天狗の捜索に当たっているが、どうやらまだ烏天狗は捕らえられていないようだ。茜は絶対に自分が捕まえてやるという意気込みで夜の街を捜索した。一緒にいる所を見られたらまずいので皐は茜と少し離れて屋根の上を伝いながら捜索している。同時にもしも烏天狗に出くわした時でも茜の警備に当たれるように常に茜の姿が見える位置にいる。屋根を走る皐自身が黒い忍者装束なので、たまに黒田の手下達
2017年5月28日 18:06
「烏天狗・・・」茜は驚愕した。烏天狗は今、この瀬戸の街を恐怖に陥れている殺人鬼である。神出鬼没で無差別に人を斬り、その人数は百人とも千人とも言われている。斬られた人間の体には鴉の黒い羽が、必ずと言っていいほど散りばめられ、また目撃された情報によると、黒い着物に烏天狗のお面をつけているという。茜はようやく黒田が暗い顔をしている訳を知った。「黒田さん!」「ああ、烏天狗が今この街にい
2017年5月27日 20:35
ここは江戸・・・どこか良く似た街、瀬戸(せと)天下を分ける戦争が終わり世が統一されてしばらく経つも、まだまだ世の中は物騒で、同心達は治安の維持に苦心していた。日が暮れた瀬戸の街で雅な羽織を着た女同心・茜(あかね)は窃盗犯を追っていた。「もう逃げられないわよ!観念なさい!」商店が並ぶ表通りを走りながら茜は叫ぶ。「ぐ! ちくしょう!」とつぎはぎだらけの着物を着た小汚い男がしぶと
2017年5月17日 09:08
殺人・隠蔽の罪で女中・お菊と、共謀した罪で喜七・呉八の三人を連行したあと、虎吉を連れて茜と皐は再び中村屋に戻ってきた。事件が解決されて店の者たちはほっとした様子を見せていたが、同時に番頭・平助を失った悲しみ、同僚三人が共謀して殺人を犯していたことに対する驚きもあった。中村屋の玄関で主人・惣衛門と顔を合わせるや、虎吉は平身低頭し、惣衛門に謝った。「旦那様・・・すみませんでした・・・騙して
2017年5月15日 21:36
日が暮れてきた。茜と別れた皐は忍装束に身を包み、中村屋の裏口の方へ回った。中村屋の屋敷は皐月の背丈よりも少し高い塀に囲まれているが、この程度の壁は皐にとっては何の意味もなさない。あっという間に傍の木に登り、そこからひょいと塀の上に飛び移った。「さてと、喜七さんと呉八さんの部屋は・・・と。」中村屋の庭はそれほど広くないがよく手入れをされている。皐は庭の中心あたりにある井戸のそばで女達
2017年5月14日 21:28
「はあ・・・はあ・・・くそっ・・・なんでこんな事に・・・」虎吉はいつも山菜を摘みに来ている裏山まで全足力で逃げてきた。木々が青々と茂り、良質な山菜が取れるこの山は、虎吉にとっては忙しい日々にも落ち着ける、お気に入りの場所でもある。虎吉はいつも休憩に使っている切り株の上に腰かけた。するとその時突然、「さあて何でしょうね?」と、人気のない山で、突然の人声が、しかもかなり近くで聞こえた。
2017年5月12日 00:43
二階の現場に案内された二人は、現場検証を始めた。「側頭部を殴打されていますね。かなり強く殴られたようです。」と皐が店の串団子を口に頬張りながら言った。「何かわかる?」と茜は尋ねた。「えっ?何かって?」とモグモグしながら皐は聞き返すと、「ほら、前回の時も犯人が左利きだの、なんなのとわかったじゃない?今回はどうなの?」と茜は皐の分析に期待した。「あれ?茜さん、最初から僕に頼りきりじ
2017年5月9日 20:12
ここは江戸・・・とどこかよく似た世界、瀬戸(せと)の街。瀬戸の街でも最も賑わいのあるこの通りを大柳(おおやなぎ)通りという。その通りの中で、決して大きくはないが、その美味しさで人気を博す餅屋がある。そんな評判の人気店で事件は発生してしまう。「あの・・・これ・・・」頭にハチマキをつけた体格の良い青年が、綺麗な着物にたすき掛けをした少女に声をかける。青年の手には布に包まったアツアツ
2017年5月8日 22:04
2017年5月2日 00:33
「はあっ!はあっ!」っと息も絶え絶えに誰もいない夜の街を甚兵衛は走る。「もしもーし!もう諦めてくれませんか~?」と皐の声が聞こえてきた。甚兵衛が振り返ると屋根の上を軽やかに伝って追ってくる皐の姿が目に入った。「くそっ!化け物が!はっ!」甚兵衛が前を向きなおると更に彼にとって都合が悪いものが現れた。女同心・茜だ。茜の方も、誰もいない町の中を前からいきなり甚兵衛が走ってきたので
2017年5月2日 00:22
日が暮れて茜は己の無力さに落胆した。皐が去ってから引き続き3人の大工に話を聞き、それからさらに被害者の友人たちにも話を伺いに出向いたが、結局有力な手掛かりを得られなかった。「やっぱり皐のいうように大工の甚兵衛が怪しいのかな・・・?」茜は考えた。やはり自分の追及の仕方が甘かったのだろうか?このまま何も手柄がない状態で同心屋敷に報告に行くのも気が引ける。また所詮は女だからだの、新人だからだ