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【AIと戦略】 破壊的な匂いを感知すべし:イノベーターのジレンマを乗り越えよう 『予測マシンの世紀 第四部』#15

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
第4部 戦略
 第十五章 経営層にとってのAI
 第十六章 AIがあなたのビジネスを変容させるとき
 第十七章 あなたの学習戦略
第5部 社会(AIと人類の未来) 

いよいよ第四部、戦略です。どう戦略に組み込むか、一番大事な部分です。先日の記事は以下。

■あなたの学習戦略
昨日は、AIファーストの意味を見てきました。何かをやるということは、何かをやらない、ということでした。

AIファーストの戦略を採用することは、お客様の満足度やオペレーションのパフォーマンスといった短期的な要因を犠牲にしてでも、予測品質を優先し、機械学習プロセスをサポートすることを約束することだ。

さらに議論を進めます。この部のタイトルは、「A Whiff of Disruption(破壊の香り)」

データを集めることは、予測品質がまだ最適なレベルに達していないAIを導入することを意味する。その学習を優先するのか、それともパフォーマンスを犠牲にしても他をかばうのか戦略上のジレンマがある。

出てきました、ジレンマ。通常であれば、今作っているものを優先してしまいそうです。
しかし、なぜグーグルやマイクロソフトなどのハイテク企業はAIファーストを進めているのでしょうか?
それは他の企業も追随できるものなのでしょうか?
それとも、それらの企業には何か特別なものがあるのでしょうか?

これらの企業の特徴は、大量のデジタルデータを収集・生成し、不確実性のある環境で事業を展開していることだ。そのため、予測マシンは、彼らのビジネスにおける製品全体で広く使用されるツールとなる可能性が高いのだ。社内では、より優れた、より安価な予測を行うツールが求められている。
これに加えて、供給側の利点もある。これらの企業は、機械学習とそのアプリケーションの開発に使える技術者をすでに抱えている。

不確実性のある環境で事業を展開、というのはポイントです。そのために、AIツールがクリティカルになりえるので、AIファーストにならざるを得ない。使わなくてもよい環境であれば、導入を検討しないですから。第15章のハイブリッド・コーンの例えで言えば、アイオワ州にある農家のようなものです。

AI主導のテクノロジーには、もう一つの重要な特徴があります。既存の企業はなぜAI導入が遅れるのでしょうか?

AIは学習には時間がかかり、(特に消費者にとっては)性能が劣ることが多いことから、クレイトン・クリステンセンが「破壊的技術」と呼んだ特徴を共有しており、既存の企業の中には、このような技術をすぐに採用することが難しいところもある。

AIを導入できない企業にはイノベーションのジレンマがあると。以下の本を是非読みましょう。

本では例が出てきます。

既存の製品の新しいAIバージョンを考えてみる。製品を開発するには、ユーザーが必要だ。AIが学習する必要があるため、AI製品の最初のユーザーは、劣悪な顧客体験をすることになる。企業は強固な顧客基盤を持っているため、それらの顧客に製品を使ってもらい、学習データを提供することができるかもしれない。しかし、それらの顧客は既存の製品に満足しており、一時的に劣るAI製品への切り替えを許容しないかもしれない。

これは典型的な「イノベーターのジレンマ」です。既存企業は、既存の顧客関係を破壊したくないため、長期的には良いことをやらないことが多いです。

イノベーターのジレンマが生じるのは、イノベーションが登場した当初は、その業界の既存企業の顧客にサービスを提供するには十分ではないかもしれないが、新しいスタートアップにとっては、ニッチな分野で製品を作るのに十分な顧客を提供するには十分であるかもしれないからである。時間が経つにつれ、新興企業は経験を積んでいく。最終的に、その新興企業は、大きなライバルの顧客を奪うような強力な製品を作るのに十分な学習をする。その時点では、大企業はあまりにも遅れをとっており、最終的にはスタートアップが支配することになる。AIには学習が必要ですが、新興企業は既存のライバル企業よりもこの学習への投資を惜しまない。

これ、恐ろしいですよね。わかっちゃいるけど今の関係が、ということかも。しかし希望もあります。このジレンマの度合いが小さくなる場合もあるからです。

イノベーターのジレンマは、対象となる企業が厳しい競争に直面している場合、特に既存の顧客層を満足させなければならないという制約のない新規参入企業との競争の場合には、ジレンマの度合いは小さくなる。このような状況では、競争の脅威は、何もしないでいることのコストが高すぎることを意味する。このような競争は、たとえ既存の企業であっても、破壊的技術をいち早く採用する方向に作用する。
言い換えれば、AIのように長期的な潜在的影響が極めて大きいと思われる技術については、既存企業であっても、破壊的なにおいがすることで早期に採用される可能性があるということだ。

本で何度も出てきますが、AIは今後影響が大きいので、すぐに取り入れる必要があります。この辺りのジレンマを詳細に書いた本が以下です。ご参考に。

もちろん、予測マシンの予測が確実に正確になるまでには、膨大なデータと時間が必要になります。また、予測マシンがすぐに使えるようになるのは、ほとんどありません。AIを搭載したソフトウェアを販売している企業は、学習のための大変な作業をすでに実施しているかもしれません。しかし、です。

自分のビジネスの中核となる目的のためにAIを管理しようと思ったら、既製のソリューションはあり得ない。ユーザーマニュアルというよりも、トレーニングマニュアルが必要になるだろう。このトレーニングには、AIがデータを収集して改善するための何らかの方法が必要だ。

AIファーストでいく覚悟が必要となります。いよいよ本で挙げられている具体的なラーニングパス、やりながら学習する、を見ていきます。また明日。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/




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