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【AIと企業戦略】ダブルのダブルハーベストループの回し方 『ダブルハーベスト』CHAPTER5#4

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

いよいよAIの実装に向けて動いていきましょう。最適な本、『ダブルハーベスト 勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』を見ていきます。

是非ご購入ください!!

目次は以下です。

【Prologue】勝敗を分ける「何重にも稼ぐ仕組み」──ハーベストループとは何か?
【Chapter 1】AIと人とのコラボレーション──ヒューマン・イン・ザ・ループ
【Chapter 2】AIで何を実現するかを見極める──戦略デザイン構築のための基盤づくり
【Chapter 3】戦略基盤を競争優位に変換する──戦略デザインとしてのAI
【Chapter 4】データを収穫するループをつくる──ハーベストループでAIを育てる
【Chapter 5】多重ループを回して圧勝する──ダブルハーベストこそ最強の戦略
【Chapter 6】ハーベストストーリーを実装する──AIプロジェクトマネジメントの考え方
【Epilogue】地球をやさしく包む「最後のループ」──SDGsとハーベストループ

CHAPTER5!
昨日の記事は以下です。

■【Chapter 5】多重ループを回して圧勝する──ダブルハーベストこそ最強の戦略
モービルアイのダブルハーベストループ、すごかったですね!
事故予測AIによる危機回避、路上画像データ蓄積のよる画像処理AI強化、路上画像データと位置情報の取得、リアルタイムに地理情報と紐づけ、UX爆発的に向上。

それでは次のケーススタディです。フェイブです。マレーシア、シンガポールで人気のペイメントアプリです。

・【ケース③】フェイブのダブルハーベストループ
フェイブが面白いのが、ループを自前で回すのではなく、他業種とアライアンスを結ぶことによってループを実現している点です。

①最終価値(AIを見極めるメリット)を見極める
②戦略へのアップグレード
③ループ構造をつくって競争優位を持続する
④ダブルループ構造をつくって他社を圧倒する

ではみていきます。

①最終価値(AIを見極めるメリット)を見極める
これはわかりやすいです。フェイブはQR決済サービスです。クレジットカードが普及していない地域でも簡単に使えます。誰がいつどこで何を買ったかという購買データがたまります。

個人の嗜好予測AI(どのAIを使うか) → お得意情報などのレコメンド → 最終価値:店舗売上UPを支援(直接的な便益)

最終価値は、店舗売上UPです。パーソナライズされた顧客データがたまるので、レコメンデーションをタイミングよく送ることができ、店舗売上に貢献できるわけです。お店で買う人が増えればフェイブも手数料が増えて、フェイブと店舗はWinWinです。

②戦略へのアップグレード
では①を戦略にアップデートしましょう。

自分の好みを反映して、適切なタイミングで最適なクーポンをくれるサービスがあったら、人はそのサービスへの依存度を高めていく。ユーザーの満足度は上がり、利用者も増えるだろう。優れたレコメンデーションや顧客エンゲージメントは、競争優位を築く基本戦略の一つである。

これもわかりやすいですね。

個人の嗜好予測AI(どのAIを使うか) → お得意情報などのレコメンド → 最終価値:店舗売上UPを支援(直接的な便益) → UX向上:満足度の高い購買体験(競争優位を築く戦略)

いよいよループです。

③ループ構造をつくって競争優位を持続する
個人の購買データをAIに与え続けていれば、より細かい好みがわかるようになって、レコメンデーションの的中率が上がります。また、これを位置情報と組み合わせれば、どんな好みのユーザーがどのお店に集まっているかも見えます。使う人が増えれば増えるほど、様々な集団の中の好みがわかってきます。するとさらに細かいパーソナライズ化が進みます。ピンポイントでほしいものをその集団に紹介できます。

フェイブを経由する取引量が増えれば増えるほど、大量のデータを食べることでAIが強化されるハーベストループが回る。その結果、ユーザー満足度は上がり、また使ってくれるようになるし、利用者が増えることも期待できる。

データがたまりAIが強化されるハーベストループの完成です。

個人モデル強化 → 購買データ&位置情報

ではもう一つのループは?皆様、わかりますか?

④ダブルループ構造をつくって他社を圧倒する
決済はお金の出入り口の貴重な情報です。

誰がいつどこで何をいくら買ったか、という購買データのうち、お店に関する部分に着目すると、どのお店がいま人気なのか、売上はいくらで伸び率はどれくらいなのか、リピート率がどれくらいで、新規顧客は何割なのかが手に取るようにわかる。すると、その店の実力を点数化して、店舗ごとの格付けや信用スコアをつくれるようになるわけだ。

信用スコアビジネスに参入できるわけですね。このデータは日々の取引実績に基づいているので、随時更新されます。いわゆる四半期決算などよりはるかに正確に決算を見れます。真の実力がわかるわけです。

こうした信用情報は、通常なら外部からは窺い知れない数字なので、きわめて価値が高いはずだ。しかし、金融機関や信用調査会社以外の一般事業会社が、信用情報を直接お金に換えるにはひと工夫いる。フェイブの場合は銀行と手を組むことにした。

ここで、他業種との連携です。フェイブにはどのショップが調子がいいという情報があります。勢いがあると、二号店を出したいなどの資金需要があります。フェイブが銀行にそのショップを紹介して、融資をすすめるのです。

これは、AI導入のあらたな最終価値です。

ビジネス信頼性予測AI → 融資可能性を銀行へ推薦 → 最終価値:銀行融資UPを支援(最終的な便益)

長くなったのでここまで。フェイブはダブルハーベストループが二個回っているのです。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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