おばあちゃん、おばあちゃん。

大分県の国東半島には神仏習合の原点ともいえる山岳宗教がある。
日本人なら馴染みのある、山を御神体とした考え方でもある。

国東半島の地は数年前からアートプロジェクトを毎年開催している。
これまでにオノ・ヨーコさんをはじめ、チームラボギャラリーなど様々な作品が見ることができる。

その中でもぼくが大分に帰省したときに必ず向かう場所がある。

『アナザータイムX X』 アントニー・ゴームニー氏作品

鉄製の人物像で標高約680mほどの山頂の峯道になる。

写真は早朝の風景。実家を出たときは天気だったのに、この山だけ雨が降っていました。

なぜこの場所に来るのか?
それはこの作品のコンセプトと山岳信仰の思想が見事にマッチングして、ぼくを魅了するから。

アニミズムの対象であるこの山は古来より魂が宿り、そして戻るとされています。
そしてこの作品の面白いところは、鉄製で少しずつ風化して行くということ。
それはぼくらが生きている間ではなくて、数百年あるいは数千年の単位でこの作品はこの地と一体化すること。


古来より信仰の対象のこの山で、もしも現人類が滅び新人類が誕生したとき、この人物像は、新たな信仰の対象になるのかもしれない。そんなことを思いながら数年に一度見にくるこの像は毎回表情を変えていく。(facebookで遡ると前回は2015年の夏に来ていた)

親から子へ、子から孫へ。時代は流れる中で、数世代以上先の未来にこの像はどのような位置付けで作品としてだけでなく、信仰の対象として見られているのだろうか?

おばあちゃん、おばあちゃんと、兄の子どもたちが母親を呼ぶ声に、アナザータイムX Xという未知の時間はぼくがいま生きているという流れを感じさせてくれる。


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