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久々にイギリス映画「帰らない日曜日」

ちょっとマイナー系の(?)映画も久々に見たいと思っていたら、近場でやっていることが判明した本作。全国でも数か所しか封切られていないようなんでラッキーでしたね。

原作は「わたしを離さないで」のカズオ・イシグロが絶賛したとのことで、みなさんの感想を読んでいると「わかりづらい」「説明不足」との声も多かったですが、私には充分伝わりましたよ。

いいところの坊ちゃんと、その坊ちゃんの家族と懇意にしている家庭のメイドさんとのラブストーリーです。結局その坊ちゃんは、同じ身分のお嬢さんとの懇談が決まって、お祝いパーティーに行くのを遅らせて、ヒロイン・ジェーンとの逢瀬を楽しむ…という話なのですが…

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そこから先が…なるほどねぇ…という感じで、唸っちゃいましたね。なかなかない話なんで、ネタバレになっちゃうのであまり書けませんけど、ヒロイン・ジェーンの心の動き、そして恋人だった坊ちゃん(ポール)はどんな思いで彼女のもとを去ったのか…と考えますとね。

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ジェーンの仕えるご主人がコリン・ファースなんですけど、またコリンがいいんですよ。二人の関係を薄々感づいていて、でも責めたり詮索したりはせず、愁いを持ちつつも優しい表情がね。コリンかっこいいっすよね、大好きです。(ちなみにコリンの主演では「シングルマン」って映画が一押しなので、よかったら見てみてください。)

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結構人間関係がややこしいので、そこでわけわかめになっちゃう方が多いと思うんですよね。3つの家族が出てくるんですけど、1家族以外はみんな息子がいたんだけど、ほとんど戦死をしているという、その悲しみがそれぞれの親に重くのしかかっている…イギリスの美しい田園風景をバックに、時系列は結構前後しますが、丁寧に描かれていきます。

ラストあたりに出てくるシーンで、ジェーンにニヴン夫人(コリンの奥様役)が「あなたは生まれながらにすべてを失っているのだから、もう失うものは何もないわ。それはあなたの強みね」と語り掛けるところがあり、ジェーンは孤児院育ちなんですけど、なるほどな~という感じでした。

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ちなみに原題「Morthering Sunday」とは、イギリスでは3月の日曜日に「母の日」が設定されていて、その日だけはメイドも親元に帰ることが許されるんですって。だけどジェーンには母親はいないので、帰る家もないっていう意味合いなんですよね…

日本でも第二次世界大戦中、娘ばかりの家庭は、兵隊を出せないので肩身の狭い思いをしたって話を聞きますが、息子がいたらいたで戦死して当然みたいな辛い状況が待っているわけでね。戦争ってホントに…。今も世界のどこかで常に起こっているわけじゃないですか、どうして争わなくちゃいけないんですかね…誰かにとっての大事な人が、かけがえのない命を落としてしまうのに。

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ちなみに、私が小学生~中学生で愛読していた「赤毛のアン」シリーズですが、長いシリーズで、読んでいくとアンが5人の子の母親になって、やはり戦争で息子が出征するんです。

「アンの娘・リラ」という話でアンの末娘が主役で描かれますが、彼女と兄弟の中でも特に仲が良い兄がウォルターなんです。

心優しい彼は、残念ながら戦死するのですが、彼の言葉で印象に残っているのが「僕は自分が死ぬのは怖くない、だけど人を殺すのが怖いんだ」幼心にグッとくる言葉でした。 すんません脱線しましたね💦



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