本:イノベーションスキルセット
個人サマリ(読み終わった日 2020/08/12)
イノベーションを生むための個々の手法論ではなく、イノベーションを生みやすい人材像=BTC型人材と、それにいたる道筋を解説。
イノベーションを生むためには、Bビジネス・Tテクノロジー・Cクリエイティブの領域を超えていく必要があり、その越境人材をBTC型人材と呼ぶ。
さらにそのBTC領域を超えていくための言語として「デザイン」が存在。
さらにデザインには2つの「デザイン」があり、それををいかに理解し組み合わせるかということも重要なポイントでした。
ビジネスモデルの変動と必然
・イノベーションの歴史的背景
第一次産業革命 機械(生産機器・蒸気機関車・自動車 ハードの時代)
第二次産業革命 電力・電子(エレクトロニクス・メカトロニクス)
第三次産業革命 ソフトウェア
∟第三世代 microsoft apple
∟第四世代 GAFA
∟第五世代 ハードとソフトの融合 (代表:スマートフォン)
第四次産業革命 コネクテッド
ハード・エレクトロ・ソフト・ネットワークに
データとAIが加わる複合領域。このように、
データによるハードとソフトの結合を第六世代と仮に呼ぶ。
・4Pから5Pの時代へ
従来のプロダクト・プライス・プレイス・プロモーションに加え、
顧客体験「Customer Experience*」を加えたもの。
このような5Pが揃う「喜ばれるプロダクト」を作るには、
ビジネス、テクノロジー、デザインという領域のインテグレーション
(統合化)が必要。
*プロダクト使用時の体験だけでなく、使用前後も含めた体験のこと。
・BTCトライアングルとはなにか
組織においてビジネス・テクノロジー・クリエイティブの三つの領域が
統合された状況を、BTCトライアングルと呼ぶ。
組織的にイノベーションを起こすには、この、「BTC型組織をつくる」
ことが、第一としている。
イノベーションを起こす人材とは
・増えすぎたオペレーション人材
高度経済成長以降、ルールを守り・仕組みにのっとり・効率よくこなす
いわゆる「オペレーション人材」が増えすぎてしまった。
枠を超え・新しい価値を想像し・チャレンジする「イノベーション人材」
が今の日本には圧倒的に足りていない。
理想は、1割のイノベーション人材:8割のオペレーション人材
さらに1割の古い仕組みを解体する引き算する人材によって、
組織の新陳代謝が進むのである。
イノベーションとは
「越境的新結合による価値創造とその社会浸透」
イノベーターとは
「アイデアがあり、それを具現化して、
なおかつ社会浸透まで実行してしまう人材のこと」
価値創造とは
異種交配による新結合により生み出される。普段出会うことのない
要素が、独特の形で出会い、結合することで価値化されたもの。
・なぜイノベーションにデザイン視点が必要なのか
デザインには、方法論として「ユーザー視点」と「美意識」に立脚した
アプローチを持っており、B型・T型のような「ロジカル思考」
と行ったり来たりすることにより、価値創造がおこりやすくなる。
・イノベーターが備えるべき2つの要素
要素1
「ビジネス」「テクノロジー」「デザイン」複数の領域を
越境しながら、それを行き来することで新しいアイデアや
価値を創出する、アイデアの具現化に貢献できる人材。
要素2
社会浸透の初期段階まで導けるスキル。
社会浸透には、「使いやすさ」「かっこよさ」といったデザインの
スキルも大きく関わり、導入後もユーザー視点から改善を行うことで
早期のマーケットフィットに貢献していく。
※それを一人の人間がカバーするのではなく、BTCトライアングル型の
チームで構成できれば良い。
越境型人材育成におけるTakuramuのルール
時間配分を、50%を不得意領域へアサインし成長を促し、50%得意領域へアサインし貢献を実感させる。
それらを組織全体で実施することで、組織内OJTによる知識・スキルを連鎖させるナレッジチェーンを生む。
イノベーションを加速させるBTC型人材
・BTCを構成する3つのデザイン
■Classical Design
外見を美しく、使いやすく整えるプロダクトの魅力を作り上げる。
従来の「デザイナー」の職能。
■Business Design
BとCの統合。「課題解決のデザイン」を目的とし、
左脳的思考と右脳的思考を使って、1段高い次元での止揚を目指す、
ビジネスとクリエイティブの橋渡しとなるデザイン。
■Design Engineering
TとCの統合を目的とした、テクノロジー視点とユーザー視点を
行ったりきたりしながら、プロトタイプし「課題解決のデザイン」を
得意とする。
コンセプト・意匠のデザインと、設計実装のエンジニアリングを
統合すること。
・BTCとデザイン思考
デザイン思考とは、「ユーザーのリアルな課題・感情・体験といった
人間中心の視点を、ビジネスやテクノロジーの現場に取り込むための
体系的な手法」のこと。
「観察」「課題定義」「仮説構築」「プロトタイプ作成」「検証」を
繰り返しながら、仮説制度を上げていくアプローチを取る。
デザイン思考も万能ではなく、ブランドやスタイルをつくる
手法ではないことに注意。つまり、コアアイデアやビジョン・なぜそれを
やるべきかなどは、個人の体験や思想によるものが大きく、
得意とはしない。またデザインだからといって、美しさ・センス・
スタイルのようなものを提供するものではない。
・デザインにおけるI派とWe派
I派…物理世界のデザイン=建築・プロダクト・グラフィック
→クラシカルデザイン
→ブランドやスタイルをつくるデザイン
→ブランドを構築するためのデザイン
→作家性を感じる高度に洗練された「モノ」
We派…デジタル世界のデザイン=UIデザイン・UXデザイン
→デザインエンジニアリング・ビジネスデザイン
→課題解決のためのデザイン
→イノベーションのためのデザイン
→ユーザーに寄り添って緻密に設計された「コト」
この2つを相互理解・協力関係をもって、どう包摂していくのかが
BTC型人材におけるチャレンジ。
ではBTC型の人材にどうしたらなれるか
・ビジネスが入り口の場合
ビジネス→デザイン→テクノロジーの順
ビジネスにおいては、比較的デザインに近い領域を扱う、
マーケ・商品企画をへて、デザインに理解の深いビジネスパーソンに。
デザインにおいては「サービスデザイン」を身に着け、
そしてテクノロジーのリテラシーを取得する。
※あくまでスキルではなくリテラシーで良いとしており、
BTCが組織で展開できればよいのであるという考え方。
・センスの話
クラシカルデザインにおいて必要とされるセンスはなんなのか。
水野学氏の言葉をかりるならば「センスはジャッジの連続から
生まれる」ものである。日々ジャッジを繰り返していけば、
センスは磨かれるはず。
センスを磨く、ふせんトレーニング
① 赤・青・黄の3種類の付箋を準備
②雑誌や写真集を買っておく
③自分がいいと思うものに青、駄目なものを赤、
よくわからないものを黄色と付箋をはっていく
数冊繰り返すこと、意識できていなかった自分の好き嫌いが可視化されるので、さらに言語化に取り組んで見る。黄色の付箋が多いのは、つまりジャッジができていない=センスが無いということ。
目についたものに赤・青・黄の判断ができるようになったら、今度はそれをどのように変更すれば自分にとって青になるのかを考えて、仮説を頭の中につくる癖をつける。
・デザインに向かうときの発想の基礎
n=1
一人を深堀りし、情報・コンテクスト・ストーリーを掘り起こし、
解像度の高いものにしていき、仮説ドリブンに普遍性をもつのか
検証していく。
タス・ヒク・ミガク
足りないものを足し、不要のなものを引き、残すものは1ミリでも
良くしていく。日本企業ではこのヒクが圧倒的に足りない。
・モノとモノサシ
複眼思考によって多面的に捉えるために、対象に対していくつかの
モノサシを考え、左右にずらしたり、振り切って発想することで、
普段思いつかないことを生み出す。
・デザインフィクション
目の前にない課題を擬似的に発生させ、それを解くための
プロダクトを検討する発想手法
実際のプロジェクト例から学ぶポイント
・成功するプロジェクトの4つの共通点
1、ユーザーについての高解像度の理解を獲得すると
同時にアイデアも出す
2、単発のアイデアではなく、群のアイデアとして捉える
3、プロトタイプを通じて仮説・検証・アラ取りを行う
4、二種類のデザインを知り、活用方法を意識する
そしてこのプロジェクトをファシリテートするのがBTC型リーダーである。
面白そうな参考図書
本著に触れられていた、参考図書です。
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