K. Shota

20年3月までJICA海外協力隊(モザンビーク)に滞在。いまはごちめし/さきめしを運営…

K. Shota

20年3月までJICA海外協力隊(モザンビーク)に滞在。いまはごちめし/さきめしを運営するGigi株式会社で事業推進に従事。

最近の記事

"残飯屋"というフードファイター

ずっと積読のままだった『日本の下層社会』は大学時代に何かの授業で引用されていたはず。最近ようやく読破して明治、大正期の仕事に俄然興味を持った。たくさんの職業が紹介されていた中で目に留まったのがこの残飯屋だ。 残飯屋とは何か日清戦争期(1894年 明治27年)ごろより始まり、日露戦争期(1904年 明治37年)にかけて最も繁盛したとされる。貧民街の住民に対して、安価で仕入れた軍隊や病院、学校で残された食事を売りさばく商いだ。当時残飯屋があったエリアは下記の「☆」マークで位置さ

    • 12,000km先の海辺でひと仕事

      日本から直線距離で12,000km先。南半球にあるその国は「モザンビーク」。アフリカ南部に位置する南北1700kmもの長い海外線を持つ国だ。 2019年12月にモザンビークに到着してつかの間、急きょコロナウイルス感染拡大の影響で全世界の青年海外協力隊員の帰国が決まった。私の場合は3月19日に帰国が決まり、翌日にはドーハ経由で日本に帰ってきた。 置いてきた荷物は半分以上。気づけば時はあっという間に滞在期間以上の月日が経っていた。忘れないうちにとりとめのない一日を書き残してお

      • 世界の飲食🍽応援事例📣

        美味しい食べ物を食べに行きたいけど、自粛期間で行きづらい僕たち。客足が遠のく飲食店の私たち。いまコロナ禍の渦中にいるすべての人たち参考になれば...。かなり恣意的な事例選定なのでご容赦を。読切りです。 No.01 アメリカ発 オンライン呑み会で地元の飲食店を救う⁈VIRTUAL CHEERS.ORG は5月4日から始まったキャンペーン。発起人はアメリカ東海岸、ニューヨーク州のブルックリンに拠点がある独立系広告代理店。専用サイトからZOOM用の壁紙をダウンロードできる仕組み。

        • 読後録#10 『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」: 宗教対立の潮目を変えた大航海』

          大航海時代前夜、ユーラシア大陸の東端に位置する、大西洋に面したポルトガルには、崇高な宗教心と野望を引っ提げて、大海原に出ていった荒れくれ者たちがいた...。 と書けば、何とロマンあふれる本だろうと思うことなかれ、これは史実に基づく一大ドキュメンタリーである。ポルトガルが何故大海に出向いたか、当時の地政学的な捉え方は...など全461ページにわたる大作です(しかも1ページ2段組構成)。読むのを躊躇する分厚さだが、意外にストーリーがテンポよく、ポルトガルが東回り航路(喜望峰ルート

        "残飯屋"というフードファイター

          読後録#9 『世界史とつなげて学べ 超日本史ー日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史』

          この本はおすすめです。一般常識とされる歴史の出来事の見方が覆されます。島国の日本は驚くほど世界とつながり続けていたことがよーく分かります。日本創世の伝説の裏側に始まり、明治維新を迎えるまでそれぞれのトピック・章立てがおもしろい。 装丁も目を引きます。表紙は青地のデザインに「超」の文字がどっしり乗っかります。ページをめくると、重要な古文書や引用などが出典とともに明示されており、より興味を持てば出典元を調べることが容易です。著者自身も日本史専攻だったところ塾にて世界史を教えてい

          読後録#9 『世界史とつなげて学べ 超日本史ー日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史』

          読後録#8 『戦国僧侶列伝』

          ひたすら戦国時代~江戸時代初期の僧侶の生い立ちを数ページでまとめ、総勢35名のお坊さんが掲載されています。明日に命があるかわからない乱世の中で、武将をはじめ時の権力者は心の平安を求めるだけではなく、僧侶に期待されていたスキルや役割は多岐にわたっていた...。 推し僧侶が見つかる・・・?! 織田信長が天下布武を掲げた時期から、豊臣秀吉が太閤に上りつめたころ、そして徳川家康による江戸時代の開府までそれはそれは、多くの僧侶がおりました。ここまで数奇な運命をたどった僧侶、超優秀な

          読後録#8 『戦国僧侶列伝』

          マーケティングカンファレンス2018備忘録「マーケティングと知識経営」

          2018年10月14日(日)早稲田大学早稲田キャンパス8号館で終日実施されたこのカンファレンスの基調講演を飾ったのは、Harvard Business School教授の竹内弘高先生と一橋大学名誉教授で御年83歳の野中郁次郎先生によるそれぞれのご発表だった。いずれもとてもとても心動かす、知識のシャワーを浴びた気分になった。その中でも幾つかアンテナに響いたものをまとめたい。 【コンパ経営】京セラでは本社内に大広間があるようで、定期的に社員が集い「徹底的に経営課題をはじめとして

          マーケティングカンファレンス2018備忘録「マーケティングと知識経営」

          読後録#4 『アイデアの発見 杉山恒太郎が目撃した、世界を変えた広告50選』

          このイベントに参加してから、読もう読もうと思ってからようやく読み通せた。 平成世代の私にとっては、「あーあのCMか」という事例もそこまでないので、目の前にPC or スマホを置いてyoutubeで検索しながら読むのがおススメ。 伝説的な広告ブティックやエージェンシーも知ることができ、制作物の背後にどんな経緯やストーリがあるのか。時代をつくった広告だけに奥行きも広い。 本の詳細はこちら

          読後録#4 『アイデアの発見 杉山恒太郎が目撃した、世界を変えた広告50選』

          読後録#5 『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』

          歴史好きな人は、この本を入り口に読みたい歴史本が広まるはず。かなり濃厚なブックセレクトもあり、読むのは勇気がいるものもあるので、なんとなく世界観が分かるのも有難い。 ノンフィクション作家の高野秀行氏と歴史家の清水克行氏の対談で本が仕上がっているので、スラスラ読めるし、何より着眼点が面白い。 歴史がパンクな学問に思えるそんな一冊な気がします。本はこちら

          読後録#5 『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』

          読後録#6『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに⁈』

          Yes, We Can でお馴染みのオバマ大統領在任中に、大統領やその上級スタッフのスピーチライター特別アシスタントになった筆者の顛末記。 オバマ大統領のスピーチにおけるジョーク部分を特に担当するようになった彼の悲喜こもごもが綴られている。所々にホワイトハウスで働く人らの様子や制度が記されており、メディアには映らない世界が垣間見れるのも面白い。 本はこちら。

          読後録#6『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに⁈』

          読後録#7 『消された信仰 「最後のかくれキリシタン」ー 長崎・生月島の人々』

          スコセッシのハリウッド映画『沈黙-silence』を見て、遠藤周作の原著も読んで以降、長崎で継承された潜伏キリシタンには興味を持ってきた。 カバーデザインにもなっている生月島に残る「洗礼者ヨハネ」の聖画。非常に和とキリスト要素が交差するデザインである。本屋でも目立つこの装丁がきっかけで本を読み進めた。 生月島は長崎空港から2時間半はかかる辺鄙な場所だ。この地域はキリシタンを見せしめとして処刑した殉教の地でもある。この生月島は世界遺産の構成要素からは外れている。何故か。ぜひ

          読後録#7 『消された信仰 「最後のかくれキリシタン」ー 長崎・生月島の人々』

          読後録#3 『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと 』

          ボルネオ半島にいる狩猟採集民「プナン」にフィールドワークで迫った著者が書き下ろした。「人間としてそんなの当たり前」と思っているその価値観、あの考え方が本当に当たり前なのか。再考を促してくれるそんな本。

          読後録#3 『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと 』

          読後録#2 『江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA 』

          タイトルとカバーデザインで買ってしまった。装幀とトビラのページの和風感にうってかわって、読み進めるとDNA分析の内容。ここまで進歩しているのかと思わせる解説と著者が発掘プロジェクトに携わるなかで感じた所感がちりばめられている。 歴史学・考古学とDNA分析。文系と理系の学問を”発掘された人骨は宣教師シドッチのものなのか”という問い・テーマがつなぐ。行政による発掘調査の成果をきちんとした広報で市民に伝えることができていない状況も垣間見えた。 『江戸の骨は語る――甦った宣教師シ

          読後録#2 『江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA 』

          読後録#1 『海賊の日本史』

          日本に海賊はいた(らしい)。古文書を丁寧に紐解くと、船で移動中に海賊に遭遇した...といった記述が残されている。各時代には瀬戸内海や熊野・伊豆といった各所でそれぞれのスタイルで生きていた海賊がいたようだ。 「海賊」という一つのテーマをもとに、歴史を振り返ると、従来の見方に奥行きと広がりを与えてくれるそんな本。周囲は海で囲まれて、6千を超える島々で構成されるこの日本だから生まれた、”職業”であり、”文化”であり、”生き方”なのかもしれない。詳しくは本著で。 『海賊の日本史』

          読後録#1 『海賊の日本史』