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マーケティングカンファレンス2018備忘録「マーケティングと知識経営」

2018年10月14日(日)早稲田大学早稲田キャンパス8号館で終日実施されたこのカンファレンスの基調講演を飾ったのは、Harvard Business School教授の竹内弘高先生と一橋大学名誉教授で御年83歳の野中郁次郎先生によるそれぞれのご発表だった。いずれもとてもとても心動かす、知識のシャワーを浴びた気分になった。その中でも幾つかアンテナに響いたものをまとめたい。

【コンパ経営】

京セラでは本社内に大広間があるようで、定期的に社員が集い「徹底的に経営課題をはじめとして幅広い議題をもとに議論を行う」場があるそうだ。なんと大広間は「畳敷き」・「手酌はNG」・「鍋をはじめとして皆で食を囲む」など独特のプロトコルの中で、社員は任意ではなく【必須】参加している。このプロセスで生まれる価値は、「me thinking」から「we thinking」に変遷していく。「チャラチャラしたブレインストーミングではない」という野中先生のご発言には、真剣勝負でありながら、畳空間という共振的な場で熱気が場の構成に影響を与えることを深く感じた。

【真剣知的バトルを対面ですると、本質が見える】

共感を組織内で醸成できるのか。そのためには、2人称で徹底的な相互主観を醸成する必要があるというのが野中先生。1人称と3人称をブリッチングするのが2人称での議論である。真っ当な知的バトルを対面で。これがコンセプトのようだ。この話を聞いて思い出すのは、『Powers of two 二人で一人の天才』。創造性を生み出す最も基本的な構成単位であるということで、二人が出会い、どのような創造過程を歩むのか。歴史上で知られた人のストーリーがたくさん含まれている。まさか野中先生の講演でこの本を思い出すとは思わなかった。『知識創造企業』とともに読み直さなければ。

「経験知」は死に物狂いで

例えば蚊に刺されているその瞬間を身体が知覚していても、身体が反応するのはコンマ5秒遅れてしまい、蚊に逃げられてしまう、そんな経験はあるだろう。「行動より身体は先に気づいている」この感覚を練っていくと、剣道で剣先を交わした瞬間にその人の力量を瞬時に近くしてしまう...などsenseやLifeを身につけるためには死に物狂いで稽古しなければいけない。情報がたくさんある昨今、その中からコンセプトを生み出すには、「経験の質」がないと新しい意味や価値を見出せないという野中先生のコメントにはしびれた。

Market=Σ Humans

野中先生の講演に続けて行われたのが、竹内先生の講演だ。イノベーションにおけるマーケティングの役割に「人間探究」を挙げておられた。「Σ Humans」の構成には、暗黙知・五感・人間らしさ・生き方などが含まれる。マーケティングは、Market-drivenではなく、Market-drivingであるという指摘にも、我々人間が主体的に価値を生み出す、そんな示唆があったように思われる。

長寿とマーケティング 日本ならではの価値は?

国際比較のなかで、日本は○○の観点で他国より低い・競争力が低下している等々の論調と一方で、Japan as No.1をひきずるが如く、日本称賛(いまのマスメディア番組がこちら傾向か...?)があるが、「長寿」という観点で見るとどうであるか。下記の分析をみてほしい。

日本は肥満や乳児死亡率などなど様々な社会課題の要因となる指標に対して低い発生を示すとともに健康寿命が長い。これは他国に比べても一目瞭然だ。日本は継続的なイノベーションを生み続ける仕組みがある背景には、健康寿命・長寿も関連性があるのかもしれない。私自身、竹内先生の発表を咀嚼できていないので、もう少し内容理解が必要だ。