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「うわさのくすり」奇妙で不思議な5分ショートショート短編 vol.1 (4/7)

捜索隊はおそるおそる、はしごをおりて行った。

はしごをおりはじめてから、ずいぶんとたったが、まだ底はみえない。もう地下五階分くらいは、おりたのではなかろうか。

足を踏みはずしたらと思うとぞっとする。また、こうしている間に、犯人に穴がふさがれ、出れなくなってしまう可能性もある。

穴の深さを不気味に感じはじめた頃、やっと足が地面に触れた。すると、まわりの壁が光りだした。

そこはキューブ型の小部屋だった。

殺菌作用でもありそうな青白い光が、四方の壁から捜索隊を照らしている。奥の壁には、ぶあつい金属製のドアが設置されている。

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ドアは、厳重にロックされていた。特殊な工具などを使い、なんとかドアをこじ開ける。

すると、またぶあついドアが。それを開けると、またドアが。マトリョーシカのように、何重にもドアが設置されている。

同じ作業をいくどもくりかえし、ついに、最後のドアが開いた。

中は研究所のような部屋だった。あたりには、試験管やらなにやらが、ちらばっている。中央には、大きな装置がある。そしてその装置の下で何かが、動いた。

捜索隊が、警戒しながら近づく。

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こうして男は、この取調室へつれてこられた。

「あの錠剤は、人体には無害です。でも、たしかになんの効果もありません」
男は素直に認めた。

「感染がふせげるといううわさをながしたのは、私です。でも、どうしてもすぐに、多くの資金が必要だったのです」

そこまで語ると、男はため息をついた。

「では、新たな病気というも、お前がながしたうそなのだな」

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刑事は手のひらでバンッと机を叩き、男にむかってどなった。

「そうであれば、よかったのですが……」

男は悲しそうにうつむいたものの、急に、ストンと無表情になった。そして、刑事の目をぎょろっとみつめ、つづけてこうたずねた。

「刑事さん。ジャングルの奥地に伝わる赤鬼のうわさをご存知ですか」

そして男は、こんな話を語りはじめた──。

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「うわさのくすり」 (5/7)につづく

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