見出し画像

会議で「発言が出てこないな」と思ったら見直したい、2つの準備

「自由に発言してください」と言えば言うほど「シーン」としてしまう。そんな会議に参加した経験はありませんか?

実は、みんなが自由に発言できる会議を作るためには、2つの事前準備があります。

それは、「丁寧な情報共有」と「答えやすい質問」です。

今日は、私がファシリテーターとして大事にしている、2つの「事前準備」について書いてみたいと思います。

「自由に」発言してもらうのは難しい

先日、ある大学でファシリテーションに関する講義を行いました。

その授業は3年生が多かったので、日頃からゼミやサークルで会議の司会役を務める学生が多かったらしく、反応が良かったです。

特に、ある学生の方が、「自由に発言してもらっても、なぜアイデアが広がらないのか、よくわかりました」と言っていたのが印象的でした。

聞けば、ゼミの話し合いで、「自由に話してください」と言っているのに、シーンとしてしまって、結局はいつも決まった数人しか話さない、そんな状況が続いて悩んでいたそうです。

「自由に意見を出して」と言っているのに、なぜか意見が出てこない。

そんな状況になったことがある人は、ビジネスの世界でも少なく無いかもしれません。

では、どうすれば、自由に意見を出しやすい環境を作ることができるのか。

それには、「会議の4つのステップ」が参考になります。

理論と感情の共有

会議の基本的な進め方として、次の4つの段階があると言われています。
それが、「共有」「拡散」「収束」「統一」です。

自由に意見を出すステップは「拡散」にあたりますが、良い拡散ができない背景には、2つの問題点が考えられます。

問題点の1つ目は、「拡散」の前のステップである「共有」がうまくいっていないことです。

「共有」のステップは、主に2つの視点で行います。

1つ目の視点が、論理面の共有です。

  • 今日の会議の目的は何か。

  • どのような進め方で行われるのか。

  • 時間配分はどれくらいなのか。

  • 最終的にどのようなアウトプットを目指しているのか。

といった、頭で納得できる状態を作るのが、「共有」ステップの目的です。


2つ目の視点が、感情面の共有です。

  • 今日の参加者はどんな人なのか。

  • 参加者のモチベーションは高いのか。

  • この会議はチームや個人にどんなメリットがあるのか。

といった、気持ちよく会議に参加したくなる状態を作るのが、「共有」のもう一つの目的です。

もし、「拡散」がうまくいっていないとしたならば、この「共有」ステップがうまくいっていない可能性があります。

参加者が、論理的に会議の内容を理解できていない場合、「自由に意見を出してください」と言われても、「そもそも目的が良くわからないから、自由に話せと言われても・・」と、素直に出てこない可能性があります。

あるいは、感情的な共有がうまくできておらず、参加者同士がよそよそしい状況だと、「他の参加者に変な人だと思われた嫌だから、とりあえず黙っておこう」となってしまうかもしれません。

ここを見直すことで、自由に意見を話しやすい雰囲気を作ることができます。

答えやすい質問から始める

良い拡散ができなかった理由の2つ目は、質問が抽象的すぎたことです。

実は、人は、ある程度の前提条件があった方が考えやすく、自由に考えるのが一番難しいと言われています。

では、どのようにすれば、考えやすい前提条件を作ることができるのでしょうか。

例えば、大学の図書館が、電子書籍や若者の本離れなどで、利用者数が減って困っていたとします。

そこで、学生を5〜6人集めて、「大学図書館の利用者をどうすれば増やせるのか、自由に考えてください!」と急にお願いしても、なかなか自由に発言するのは難しそうです。

もし、私がファシリテーションを行うのであれば

  • 普段、大学図書館を利用しますか?

  • 利用する場合は、どんな時に、どんな目的で使いますか?

  • インターネットで調べる時と図書館で調べる時の違いは?

  • 大学図書館の、自分なりの使い方とは?

など、話しやすい質問を使いながら、まずは大学図書館の利点・欠点について話してもらいます。

ちなみに、池上彰さんによると、大学図書館で就職先に関連する分野の新聞や雑誌を読んでおくのがおすすめだそうです。

そうすることで、仕事への理解や問題意識が深まり、入社後に会議にも参加しやすくなるとのこと。

ということは、大学図書館には、「仕事への意識を高める」という利点がありそうです。

例えば、このような議論が出たのであれば、

「『仕事の意識を高める』という大学図書館の利点をもとに、もっと利用者が増えるアイデアを自由に考えてください」

と問いかけることができます。

こちらのほうが、「なんでもいいから自由に考えて」と言われるよりも、かなり考えやすそうです。

前回のnoteでも書きましたが、難しい課題や、抽象的すぎる質問は、自分なりに答えやすい問いに変えていく必要があります。

自分でもすぐに答えられない難しい質問を、他の人にそのままぶつけてしまうのでは、ファシリテーションとは言えません。

相手が答えやすい質問に置き換えていくことは、ファシリテーターが「拡散」のステップで行う大事な作業の1つだと思います。

ここを工夫することで、発言の数も増えてくると思います。

2つの準備が自由度を高める

ここまでをまとめます。

「共有」を論理的・感情的の両側面で丁寧に行うこと。

「拡散」では答えやすい問いを作ること。

この2つの事前準備を行うことで、参加者が自由に発言しやすくなる確率はとても高まります。

自由に発言するのが、実は一番むずかしい。

だからこそ、丁寧な準備が、ファシリテーターには求められるのです。

学生生活や、ビジネスの現場で活用していただけたらと思います。


記事が面白いと思ったら、「スキ」(❤️)をお願いします!ログインしていなくても「スキ」を押すことができます。