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なぜ、コンビニで売っているものは答えられるのに、「売っていないもの」は答えにくいのか

人には、簡単に答えられる質問と、答えにくい質問があります。

就活や仕事で「答えにくい質問」に出会った時は、真正面からぶつかるだけでなく、自分なりに質問を再定義する力が必要です。

では、どうすれば答えにくい質問を、答えやすい質問に再定義できるのか。

今日は、就活や仕事で成果を出すための「課題の再定義」について書いてみたいと思います。

大きな質問を、答えやすい質問に変える

先日、会社の後輩が実施したある研修にサポート役で参加したのですが、その中でこんな練習問題がありました。

1分間で、コンビニに売っているものを、紙に書き出してください

すると、参加者はわりとスラスラ書き出します。

「コーヒー」「おにぎり」「サンドイッチ」と、どんどん出てきます。

続いての質問は、次のようなものでした。

では、コンビニに売っていないものを、紙に書き出してください

すると、先ほどの問いに比べると、意外と書きにくそうです。

少し考えた上で、「車」「ダイヤモンド」「愛」など、色々な答えが出ていました。

2つの質問が終わった後に、どちらの方が書きにくかったかと聞くと、やはり後者の「売っていないもの」という答えでした。

では、なぜ、「コンビニで売っていないもの」は書きにくいのでしょうか。

それは、質問が漠然としていて大きすぎるからです。

コンビニで売っているものは、比較的答えやすいと思います。

実際に頭の中で、過去コンビニに行った時のことを思い出しながら、

「入り口の所に、コーヒーマシンがあったな」

「その隣にはおにぎりやサンドイッチがおいてあったな」

など、スラスラと答えることができます。

人は、自分の体験を思い出すことは、それほど難しくはありません。

一方で、「コンビニで売っていないもの」は、誰の体験にもありません

質問が広すぎて、うまく答えられないのです。


そんな時、こんな風に質問を変えてみると、どうでしょうか。

「コンビニで売れないぐらい大きいものは?」

「コンビニで売れないぐらい高いものは?」

「コンビニで売れないぐらい抽象的なものは?」

このように、大きな質問を自分なりに再定義できると、かなり答えやすくなります。

「車」「ダイヤモンド」「愛」といった答えが、スラスラでてくるかもしれません。

このように、大きすぎて答えにくい質問に出会った時、そのまま考え続けるのか、それとも違う質問に再定義できるか、それが成果の差に繋がるのです。

「ガクチカ」を再定義する

与えられた課題を再定義する能力は、難しい課題を解決するために必要な能力です。

例えば、最近、就職活動では「ガクチカ」という言葉が定着しています。

これは、エントリーシートや面接で定番の質問、「学生時代に力を入れたこと」の略です。

この「ガクチカ」も、答えにくい質問の一つだな、と思います。

ある時、OB訪問にきた学生から、「ガクチカは、大学時代のエピソードじゃないとだめなんですか? 高校時代のことを書きたいのですが・・」と質問を受けました。

「課題の再定義」をしながら、この質問に答えてみたいと思います。

そもそも、面接官はなぜ、学生の「学生時代に力を入れたこと」を聞くのでしょうか。

私も面接官の経験がありますが、実際のところ、面接官は、学生時代のエピソードがどうしても聞きたいわけではありません。

短時間で相手の学生さんの特徴や可能性を知りたい、というのが本音です。

しかし、「あなたの特徴や可能性を教えてください」と直接的に質問しても、なかなかうまく答えらる人はいません。

また、「私はコミュニケーション能力が高い人間です」とだけ答えられても、実際にそうなのかは分かりません。

だから、具体的なエピソードを聞いて、そこからどんな特徴や可能性がありそうか、面接官側が推察しているのです。

なので、そのエピソードが学生時代に発生したかどうかよりも、自分の特徴や可能性が短時間で面接官に伝わるエピソードであることが一番大事なのです。

ゆえに、それが高校時代のエピソードであれば、それでも構わない、というのが私の答えです。

このように、表面上の質問にとらわれるのではなく、その先にある相手の意図から考えることが、課題の再定義では重要です。

社会には答えにくい課題ばかり

与えられた課題の本当の目的を考えて、自分なりに質問を再定義する力。

これは、就活生だけでなく、社会人にとって必須の能力だと思います。

例えば、上司から「来期はこの商品のブランド力を高めて欲しい」と言われた時に、「ブランド力を高める」という言葉の意味が、「知名度を高める」ことなのか、「競合との差別化を強める」ことなのか、本当の目的がわからないと、仕事を進めることができません

「ブランド力ってどういう意味ですか? もうすこし教えてください」と上司に質問したり、「うちの商品のブランド力って今、どうなっているんだろう」と自分で調べたりしながら、課題を再定義していく必要があります。

仕事をしていると、たくさんの課題に出会いますが、どの課題も、残念ながら、受験勉強のように解きやすい問題になっていることは、あまりありません。

むしろ、解きにくいからこそ課題として存在しており、解きにくい課題の解決ほど、価値が高いのかもしれません、

そんな時、難しい課題を正面からがむしゃらに解こうとせず、ちょっと立ち止まって考えることが大事です。

自分が解こうとしている課題は、実際のところ何なのか。

課題を再定義する大切さを、コンビニの話を聞きながら、改めて感じました。


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