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変えていくものと変わらないもの

1)時代を超えて変わらない価値あるもの


教育においては、どんなに社会が変化しようとも、「時代を超えて変わらない価値のあるもの」(不易)がある。

「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」より

これは、26年前の文部科学省(当時は文部省)の中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の一節です。

21世紀が幕を開け、これまで誰も経験したことのない速さで社会が変化する時代を迎えています。インターネットの普及は人々の交流の仕方や働き方までも変え、過去から考えると社会の仕組みが変わるほどの大きな変革を遂げています。
その中で新型コロナウイルスの世界的大流行が起き、人々の生活は「新しい生活様式」といわれる生き方に加速度的に変容し、学校での学びの形も様変わりしてきています。

しかし、社会がどんなに変わっても「時代を超えて変わらない価値のあるもの」を次の世代に伝えていく必要があります。上記の答申は、次のように続けられています。

豊かな人間性、正義感や公正さを重んじる心、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心、人権を尊重する心、自然を愛する心など、こうしたものを子供たちに培うことは、いつの時代、どこの国の教育においても大切にされなければならないことである。

「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」より


2)GIGAスクール構想


学校教育の変容の大きなものに、文部科学省が推進するGIGAスクール構想があります。

全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと学校の高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み。「GIGA」「Global and Innovation Gateway forAll(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)」を意味すること

GIGAスクール構想とは
文部科学省 GIGAスクール構想の実現より

当初、2019年度から5年間かけて環境を整える予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、リモート授業オンライン学習の必要性が高まり、スケジュールが早まりました。

文部科学省は、学習の指導方針となる「学習指導要領」を社会の変化にあわせて10年に1度改定しています。
GIGAスクール構想は2020年度から始まる改定に合わせたもので、今後、デジタル教科書や生徒が個別に苦手分野を集中学習できるAI(人工知能)ドリルの導入が推進されるとも言われ、教育の形はどんどん変革を続けています。


3)不易流行

「奥の細道」で有名な松尾芭蕉が俳句の理念として残した不易流行(ふえきりゅうこう)という言葉があります。

変わることのないものと、変化し続けるもの。伝統的な本質を踏まえながら、時代の変化に応じて新しいものを取り入れていくこと

不易流行の意味

芭蕉は、「変わらないものを理解しないで基礎は成立しないが、変わるものを理解しないときには進展がない」と言っています。

「不易」「流行」

どちらか一方に片寄るのではなく、相反する2つを十字に組見合わせることで「確固たる基礎の上に新たなものが生まれる」と芭蕉は考えていました。

教育においても「時代を超えて変わらない価値のあるもの」(不易)を大切にしつつ「時代の変化とともに変えていく必要があるもの」(流行)を柔軟に取り入れていくことで、次世代を担う子供達にとって大切な新しい学びの形が見えてくるに違いありません。

自己実現を探求しながら、将来必要な資質や能力を身に付けていくという視点からも「不易流行」の考え方は必要不可欠だと思います。


まとめ


刻々と変化する社会でたくましく生きていくためには、成長期における主体的学びと対話的学びによる深い学びが重要であることは誰の目にも明らかです。

価値観
までも目まぐるしく変化していく時代だからこそ、遥か昔から代々受け継がれてきた感謝、正義、親切、博愛、公正、公平、謙虚、誠実といわれる不変の美しい生き方が際立ってくると思います。
大切な次世代を担う子供たちのために、私たち大人の責任として「変わらない大切な価値あるもの」をしっかりと伝えていく必要があるのではないでしょうか。


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