会計基準は法律ではない__11_

「消費税」の計算方法③『課税売上高5億円』『課税売上割合95%』について(続)

消費税の計算方法についてです。

“「消費税」の計算方法②『課税売上高5億円』『課税売上割合95%』について”というノートの続きになります。

ここでは、以下の4つのうち③と④の具体的な計算方法をみていきたいと思います。


①その課税期間の※基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税の義務が免除される。
(ただし、※特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、当課税期間から課税事業者となる。)
(法人の場合、基準期間のない事業年度であっても、その事業年度開始日における資本金の額又は出資の金額が、1000万円以上である場合は、納税義務は免除されない。)

※基準期間=前々事業年度のこと。つまり2年前の事業年度のこと。
※特定期間=1年前の前半6ヶ月。

②その課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は簡易課税制度の適用を受けることができる。

③当課税期間課税売上高5億円以下かつ課税売上割合95%以上の事業者は仕入税額控除について全額控除

④当課税期間課税売上高5億円超え又は課税売上割合95%未満の事業者は仕入税額控除の計算方法について一括比例配分方式又は個別対応方式を有利選択


③についてですが、
当課税期間課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の事業者は仕入税額控除について全額控除できます。

具体的に細かくみると、まず一つ一つの取引についてそれぞれ以下の通り消費税区分を分けます。


-売上げに係る消費税-
★(1)課税売上
☆(2)非課税売上
 (3)対象外

-仕入に係る消費税-
★(4)課税仕入
 (5)非課税仕入
 (6)対象外


このうち、(1)と(4)だけを集計すると③の計算方法での消費税計算は完了します。

つまり、③の計算方法では以下の算式で納付すべき消費税が算出されることになります。


(1)課税売上 - (4)課税仕入 = 納付すべき消費税


次に④のうち一括比例配分方式について。

この一括比例配分方式の計算方法になると、以下のような計算式になります。


(1)課税売上 - (4)課税仕入 × 課税売上割合 = 納付すべき消費税


このうち課税売上割合については、前回のノートに記したように以下の算式で計算します。


課税売上割合 = 

課税売上 / 課税売上+非課税売上


最後に④のうち個別対応方式について。

この個別対応方式の計算方法ですが、まず、上記(1)~(6)の区分だけでは不十分で、
(4)課税仕入について以下のように更に細かく区分する必要があります。


【1】(4)は、(1)のみに対応 

= 課売のみ対応課税仕入れ

【2】(4)は、(2)のみに対応 

= 非売のみ対応課税仕入れ

3】(4)は、(1)と(2)どちらも対応 

= 共通対応課税仕入れ


この【1】~【3】について、それぞれどの程度売上げの消費税から控除できるようになるか以下のように控除できる割合が変わってきます。


【1】課売のみ対応課税仕入れ 

⇒ 全額控除できる

【2】非売のみ対応課税仕入れ 

⇒ 全額控除できない

【3】共通対応課税仕入れ 

⇒ 課税売上割合分の控除ができる


つまり④の個別対応方式での計算式は以下のようになります。


(1)課税売上 

-(マイナス) 

(4)【1】課売のみ対応課税仕入れ

-(マイナス)         

(4)【3】共通対応課税仕入れ × 課税売上割合

= 納付すべき消費税


以上で、基本的な消費税の計算方法について終了です。

ちなみに④のうち一括比例配分方式と個別対応方式について補足です。


・「個別対応方式」と「一括比例配分方式」は事業者の任意で選択できます。(届出などは不要)

・「一括比例配分方式」を選択した場合は、2年間は継続する必要があります。


個別と一括は任意で適用できますので、どちらが納めるべき消費税が少なくなるか有利判定を行う必要があります。

僕の会社では個別の方が納めるべき消費税が少なくなるので、個別対応方式を適用しています。(よって日頃からの消費税課否判定が大事になってくる。。)

今後、平成31年10月に軽減税率、平成35年10月にインボイス制度など導入される予定ですが、上記までお伝えした①~④の基本的な計算方法は今のところ変わらないと思います。

次回以降のノートで、軽減税率やインボイス制度など触れたいと思います。

(消費税の課否判定については細かすぎる論点だし、とりあえず保留にしとこ。。)

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