会計基準は法律ではない__8_

「消費税」の計算方法①『簡易課税制度』について

事業者の規模によって消費税の計算方法が変わると、「消費税の課否判定は?①」というタイトルのノートでお伝えしました。

ここで、それぞれ事業者の規模によって
どのような計算方法になるか見ていきたいと思います。

事業者の規模によって以下のように計算方法は変わるという事でしたが、


①その課税期間の※基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税の義務が免除される。
(ただし、※特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、当課税期間から課税事業者となる。)
(法人の場合、基準期間のない事業年度であっても、その事業年度開始日における資本金の額又は出資の金額が、1000万円以上である場合は、納税義務は免除されない。)

※基準期間=前々事業年度のこと。つまり2年前の事業年度のこと。
※特定期間=1年前の前半6ヶ月。

②その課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は簡易課税制度の適用を受けることができる。

③当課税期間課税売上高5億円以下かつ課税売上割合95%以上の事業者は仕入税額控除について全額控除

④当課税期間課税売上高5億円超え又は課税売上割合95%未満の事業者は仕入税額控除の計算方法について一括比例配分方式又は個別対応方式を有利選択

具体的に②より計算方法をみていきます。
(①は、納税義務が免除されるためそもそも計算しない。)

②の計算方法は以下の通りです。


預かった消費税(売上げに係る消費税) 

-(マイナス) 

預かった消費税(売上げに係る消費税) 

× みなし仕入率

=納付すべき消費税


この計算式をよくみて下さい。
計算が簡単じゃないですか?

何が簡単か。そう、仕入れに係る消費税を集計する必要がないところです。

売上げに係る消費税だけ集計して、納付すべき消費税の計算ができるので、
原則的な以下の計算に比べて事務負担を軽減することができます。


預かった消費税(売上げに係る消費税)

 -(マイナス)

他の事業者に支払った消費税(仕入れに係る消費税)

= 納付すべき消費税


また、簡易課税制度のうち「みなし仕入率」という言葉がありますが、
これは以下のように仕入率が事業区分ごとに決まっています。


・第1種(卸売業)

⇒ 90%

・第2種(小売業)

⇒ 80%

・第3種(農業、林業、漁業、建設業、製造業など)

⇒ 70%

・第4種(第1種から第3種、第5種、第6種以外。飲食サービスなど)

⇒ 60%

・第5種(運輸通信業、金融業、保険業、サービス業など)

⇒ 50%

・第6種(不動産業)

⇒ 40%


以上を踏まえて、
例えば、飲食サービス業で税抜き売上高が2,000万円とすると
売上げに係る消費税(2,000万円×8%)-
売上げに係る消費税×60%(2,000万円×8%×60%)
=160万円-96万円=64万円

といった具合に、簡単に納付すべき消費税の金額を計算する事ができます。
(実際には、地方消費税など区分して計算するといった必要があるので多少金額が異なる可能性あります。)

注意点として、②の計算方法を適用するための要件等は以下の通りです。


・基準期間(2期前の事業年度)における課税される売上高(税抜き)が5,000万円以下であること
・原則として、適用しようとする課税期間開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署長に提出していること

上記条件を満たせば、簡易課税制度が選択できます。

・なお、「消費税簡易課税制度選択届出書」は提出すると2期(2年間)は強制適用となります。


少々長くなりましたので、
③~④の計算についてはまた改めます。


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