- 運営しているクリエイター
記事一覧
『いなくなっていない父』金川晋吾
失踪癖のある父親を被写体にした写真集『father』の作者・金川晋吾による、『father』ができる過程とその後をつづった本。
『father』はパラパラとめくったことがある程度だけれど、「失踪癖のある父親をずっと写真に撮っているひと」ということで、金川晋吾という名前はずっと気になっていた。
他の本を探しているときに偶然本屋で見かけ、衝動買い。
読み始めたら、おもしろくてびっくりした。
パラパ
『複雑性トラウマ・愛着・解離がわかる本』抜き書き
『複雑性トラウマ・愛着・解離がわかる本』
アナベル・ゴンザレス 著 大河原美以 監訳 日本評論社
図書館で借りて読み、「これは手元に置いておきたい!」と思い、結局購入した本。去年の10月にノートに手書きで抜き書きしたものを、さらにこちらに転記(何をしているんだろう…)。
ここのところ、気持ちが落ち込んでいる。
もともと気持ちの浮き沈みは激しいほうだが、その分浮上も早く、眠れないことはほと
『なぜ、親は「正しさ」を押しつけてしまうのか?』抜き書き
雑誌『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』128号巻頭特集の熊谷晋一郎と山田真の対談より。
(熊谷晋一郎)母はいま72歳で、私がインタビューしたときは67歳だったと思うのですが、最近、年老いてくれてほんとうによかったと思うことがあります。若いころは、涙して愚痴をいったり、こどもに詫びたりすることはなかったのですが、ようやくここ10年ぐらい、そういうことが起きるようになりました。自分のことで精一杯
花丘ちぐさ『その生きづらさ、発達性トラウマ? ポリヴェーガル理論で考える解放のヒント』抜き書き
不適切養育は、「虐待」とは少し違います。虐待といえば、身体に傷がつくような暴力が行われる身体的虐待、暴言などを繰り返す心理的虐待、ご飯を食べさせないなどのネグレクトや、あるいは性的な加害行為をする性的虐待などがあります。
私のところにいらっしゃる、生きづらさを感じているクライアントの多くは、「虐待は受けていない」と言います。身体に傷がつくような殴られ方をしたこともないし、食事はちゃんと出しても
読書記録『お母さんの当事者研究』
『お母さんの当事者研究 本心を聞く・語るレッスン』熊谷晋一郎・当事者(お母さんたち)著(ちいさい・おおきい・よわい・つよい127)
ソフトカバーの単行本のような体裁だけど、『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』という子育て系雑誌の第127号。毎号ワンテーマの大特集があって、この号の「お母さんの当事者研究」という特集も128ページが割かれている。
公募で募ったという6人の参加者が、熊谷晋一郎をフ
津村記久子『くよくよマネジメント』抜き書き
心と体は、まったく性質の違うものですが、心についても、ときどきは体と同じように扱ったほうがよいのではないかと、最近よく感じています。つまり、わたしに関して言えば、心配する癖を自然な状態として放っておくことは、心を自傷しているのと同じだ、と解釈するような具合です。だから、立ち上がるたびに、自分の腿にぶつかり続けるデスクの位置を変えるように、指先をいじくるのをやめて絆創膏を貼るように、心配することか
もっとみるブレイディみかこ『子どもたちの階級闘争』抜き書き① 階級について
わたしの同僚もやはり下層英語を喋る娘だった。ミドルクラスの家庭の子どもたちが多く通う保育園なので、本人はできるだけゆっくり喋るようにしたり、難しげな単語を使うように努力していたが、医師や弁護士といった高学歴のお母さんたちからは緩やかに、だが完全に無視されていた。夕方、お迎えに来たお母さんたちに「○○ちゃん、今日はランチを全部食べましたよ」みたいなことを話しかけても、お母さんたちは微笑して彼女を一
もっとみるブレイディみかこ『子どもたちの階級闘争』抜き書き② 子どもたち、保育士たち
アートテーブルの向こう側には他の子どもたちにまとわりつかれながらヴィッキーが立っていた。立とうとしたのにまた蹴りを入れられて床に転んだケリーは、丸く目を見開いて無言で姉の顔を見ていた。ケリーは姉が助けにきてくれるのを待っていた。が、ヴィッキーは部屋の反対側からわたしのほうをじっとみている。
それも見覚えのある場面だった。わたしも自分の息子が託児所で別の子どもに暴力を振るわれたとき、何もできずに
ブレイディみかこ『子どもたちの階級闘争』抜き書き③ 英国のことなど
この冬、日本に滞在したときにジャーナリストの猪熊弘子さんから世田谷区の保育園を5カ所案内していただいた。それでわたしが驚いたのが保育士の配置基準だった。日本の保育園は、0歳児で保育士1対子ども3、1歳児、2歳児で1対6、3歳児で1対20、4歳児、5歳児は1対30と定められているそうだが、これは英国で保育士として働くわたしにはかなり衝撃的な数字だった。英国の配置基準は、0歳児と1歳児で1対3、2歳
もっとみる