精進料理レシピ

北鎌倉にあるたからの庭で、毎月第二水曜に開催されている懐石料理人・入江亮子先生の料理教…

精進料理レシピ

北鎌倉にあるたからの庭で、毎月第二水曜に開催されている懐石料理人・入江亮子先生の料理教室『旬を楽しむ精進料理』。 禅寺の敷地内にある立地から、精進料理に特化した5品を教えている。 このレシピ集は、過去のメニューデータからの抜粋。

最近の記事

「 卯月の精進料理」 2024年4月

四月は新年度、新入学とあらたまる月ですが、おかげさまでこの精進料理教室も12年目に突入しました。 会場のたからの庭では、桜が、ハナニラが、紫はななが一斉に咲いていて、シャガまで咲き始め、紫陽花や茶の木の新芽も初々しく春たけなわです。 私は一度教えた献立をリピすることはほとんどないのですが、今月は自分が食べたくなり、9年前に教えた長岡の郷土料理「醤油おこわ」をやりました。長岡には日本酒を勉強しに造りの時期にかなり通ったので、その時、現地の方に山菜の処理の仕方やこの醤油おこわ

    • 「 弥生の精進料理」 2024年3月

      啓蟄を過ぎると、ぐっと春めいて、一斉に新芽が芽吹いてきますね。山菜の苦みはデトックスに良いと今では知られていますが、季節のものを食べればおのずと体に良いという自然の摂理をしみじみ感じます。 さて、今月のご飯は、菜花のほろ苦さと梅干しの酸っぱさを利用してのさっぱりした炊き込みご飯、「梅と菜花ご飯」にしてみました。梅干しは塩分濃度が低いものは7%くらいから、しょっぱいものだと18%くらいあったりしますので、薄いものなら塩を少々、辛いものなら個数を3個から2個に減らすなどして調整

      • 「 如月の精進料理」 2024年2月

        2月の精進料理教室の日はバレンタインデーでしたが、日本の暦では“魚上氷(うおこおりをいづる)”時期で、寒さも少し和らいで、水面に張った氷が割れて氷下の魚が跳ね上がるころです。会場のたからの庭では、白梅、紅梅が例年より少し早く咲き始め、よい香りで迎えてくれました。 丁度山梨にワインの取材に行ってきたので、汁は具沢山のほうとうを作ってみました。ほうとうは、当て字ですと“宝刀”。諸説ありますが、信玄公が自らの刀で食材を切ったことから名づけられたといわれています。甲斐の鬼は割とマメ

        • 「 睦月の精進料理」 2024年1月

          今年は元日から能登地方に大きな地震があり、心痛めた方も多かったかと思います。私も仕事でご縁のある蔵元さんや塗師さんの安否がなかなかつまめず心配でした。 精進料理教室では各地の郷土料理をご紹介しているので、今月は石川県の郷土料理をいくつか入れました。少しでも現地の味わいとともに皆様の記憶に残れば…という思いです。 また、15日が小正月なので、1月のご飯は小豆粥にすることが多いですが、今年も邪気を払う小豆をたっぷり入れた「小豆粥」からスタートしました。 汁代わりは、石川県の特産

        「 卯月の精進料理」 2024年4月

          「 師走の精進料理」 2023年12月

          コロナ明けの今年は、なんだか一気に解き放たれた1年だった気がいたします。海外への往来も1年前ならワクチンを打った上に現地でPCR検査を受けて陰性でないと帰国できませんでしたが、もうすっかり昔のことのようですね。 さて、今月はお芋さんを中心に、ぐっと冬食材で〆ました。調味も味噌を使ったものが多いです。 ごはんは大きなむかごを炊き込みました。日本料理ですと、ゆでこぼしてから使いますが、せっかくの風味がなくなってしまうので、洗ってそのまま炊き込みました。 汁がわりは、風呂吹き大根

          「 師走の精進料理」 2023年12月

          「 霜月の精進料理」 2023年11月

          いよいよ霜月。まさにこのころ、霜が降りて早朝サクサクと踏んで登校した日々を懐かしく思いだしますが、ずいぶんとこの十数年で温暖化が進み、最近は20度を超す日も多く、紅葉も12月にはいらないとみられなくなってきましたね。 とはいえ、酉の市が始まるともう今年も残りわずかとせわしなくなってきますし、じんわり、秋から冬へと食材が移行していくのもいとおしく、今月は名残の秋食材をいっぱい使った献立にしてみました。味付けもちょっと濃いめで醤油や味噌を多めに使用しています。 ご飯は、もち米

          「 霜月の精進料理」 2023年11月

          「 神無月の精進料理」 2023年10月

          すっかり秋めいて、いちょうの木にオレンジ色のぎんなんが、たわわに実る季節となりました。たからの庭では金木犀が、例年よりだいぶ開花が遅かったですが、今年もいっぱいに良い香りを放っています。この花をシロップ漬けにして餡に練りこんだ空羽さんの練り切りは食べるのがもったいないほど美しく、おいしいんですよ。 さて、今月は… ご飯は、もち麦、キヌアなどの十数種の雑穀と、甘いあけぼの大豆を炊き込んだご飯にしました。汁は、きのこに葉物野菜で夏の名残を感じるスープに。メインの味噌煮は、ぐっ

          「 神無月の精進料理」 2023年10月

          「長月の精進料理」 2023年9月

          暑さ寒さも彼岸まで…とはよく言ったもので、猛暑の今年もちゃんとここのところは朝夕はひんやりとしてきました。 9月は夏の疲れがどっと出るときです。なんとなくけだるい毎日かと思います。 そんな時には和のハーブや刺激の多少あるもの、そうして冷たいものではなく、体に優しい温かいものを取るようにして、夏の疲れを早く癒しましょう。 ご飯は大量の大葉に困ったときに良く作っている大葉の醤油即席漬けを載せました。 汁は焼いたバターナッツ南瓜とグルタミン酸たっぷりなプチトマトを具にしました。

          「長月の精進料理」 2023年9月

          「文月の精進料理」 2023年7月

          槿やカンゾウ、藪茗荷が、こんにちは!と元気に迎えてくれる文月のたからの庭。年々異常気象は過酷さを増し、本当に蒸し暑い毎日で、たからの庭までの坂道で滝のような汗をかいていらっしゃる生徒さんも大変です。 食欲不振になりがちの毎日ですが、お寿司や野菜たっぷりの料理で、栄養補給していただけるような献立にしました。 ご飯は、新潟の郷土料理「笹寿司」にしました。笹には抗菌効果もあるので、この時期ありがたく、包まず笹に載せて重ねていくだけというのもひと手間助かります。 汁も新潟の郷土

          「文月の精進料理」 2023年7月

          「水無月の精進料理」 2023年6月

          梅雨に入り、うっとうしい毎日が続いていますね。 食欲も落ちるこの時期、青梅や新生姜、赤茄子、大葉など、図らずも酸や清涼感でさっぱりといただける食材が登場してきます。しみじみ旬というのはよくできているなぁと思う次第。 ということで、ご飯はさっぱりと新生姜と梅干を炊き込んだものにしました。新生姜は最初から入れずに炊きあがる直前に入れてください。 御汁は酸が利いた赤味噌を使い、旬の順才とオクラでぬめぬめたっぷりの食物繊維を取っていただきました。 メインは滝川豆腐。いかにも涼し

          「水無月の精進料理」 2023年6月

          「皐月の精進料理」 2023年5月

          5月といえば、夏も近づく八十八夜…今年は5月2日でしたが、いよいよ田植えなどが始まります。そもそも皐月は、早苗月から皐月になったといわれていますよね。年々異常気象で心配ですが、無事に育ちますようにと祈っております。 たからの庭では、緑が一杯!シャガも今ごろ満開なのですが、今年はだいぶ開花が早くてもう名残でした。 食材では、山菜も終盤。夏前のさわやかな新緑を意識した献立にしてみました。まずこの時期は外でのお食事が気持ちよくて…。森林浴で料理もおいしく感じます。 ご飯は、ポ

          「皐月の精進料理」 2023年5月

          「卯月の精進料理」 2023年4月

          満開のシャガや諸葛菜に迎えられながら、春爛漫のたからの庭で今月も楽しくおいしく開催できました。蚊もまだいない貴重な時期ですので、毎年この時期は外でお食事をいただくのが定例となっています。うららかな景色のおかげで、おいしさも倍増という感じです。 今月は、島根出張の翌日が精進料理教室でしたので、買ってきたばかりの隠岐若布を炙って混ぜ込んだ海の香りいっぱいのごはんや、ミキサーがあればあっという間に作れる筍のすり流し、新じゃがにたからの庭で自生している山椒の木の芽をいっぱい刻んで入

          「卯月の精進料理」 2023年4月

          「弥生の精進料理」 2023年3月

          急に春がやってきた感がある今日この頃。たからの庭の紅梅白梅も満開で、湾曲した石の階段を登りきると、それはもう良い香りがいっぱいで、思わず深呼吸してしまいました。 今月は、春の日本料理によく登場する手綱寿司を中心に献立を組みました。精進では卵焼きやお魚は出せませんので、卵焼きのところは湯葉で、サーモンや海老を使うところは金時人参で…など工夫して作りました。ちょっとそれだけでは足らないかなと思いましたので、朧昆布や菜花の手毬寿司も添えました。 お寿司造りが大変だったので、汁は

          「弥生の精進料理」 2023年3月

          「如月の精進料理」 2023年2月

          節分は、立春だけでなく、立冬、立秋、立夏と各季節の前日のことをいったのですが、新年(春)を迎える、季節の大晦日である2月の節分だけが残りました。 豆まきは、なかなか都会ではやりにくいでしょうが、年の数だけ食べたりはしますよね。今月は、大豆の甘さが際立つ「豆ごはん」、節分に年越し蕎麦のようにいただく「穂長汁」、寒さでおいしくなった人参で作る「人参豆腐」、今年のカリキュラムで力を入れている乾物を使った料理の一つ「芋がらのお揚げ煮」、サラダ代わりの「金柑と春菊、マッシュルーム和え

          「如月の精進料理」 2023年2月

          「睦月の精進料理」 2023年1月

          今年もスタートしました、旬を楽しむ精進料理。 1月は和風月名では“睦月”といいますが、遠く離れた家族が睦まじく集う月。また、これから1年友人、知人、会社の同僚とも、睦まじく過ごせるようにと祈る月。そんな思いを献立に託してみました。根菜類も一番おいしい季節ですのでたっぷり使っています。 1.百合根ごはん、2.牛蒡のすり流し、3.蕪の印籠煮、4.押大豆と春菊・赤蕪天ぷら、5.里芋の梅サラダ 1.百合根ごはん 材料:米600CC、昆布出汁690CC、酒大1,淡口大1,塩小1/

          「睦月の精進料理」 2023年1月

          「文月の精進料理」 2017年7月

          梅雨も明けきらぬうちから毎日うだる暑さで、7月ってこんなに暑かったかなーとアスファルトの照り返しに、室外機の熱風に、ばて気味で浄智寺の脇道を汗だくだくで上がって、やっとたからの庭に到着すれば、木陰は涼しく、よい風が吹く昭和な夏が待っていて、ほっといたします。どれだけ木々や土が、暑さから守ってくれていたのかとしみじみですね。 さて、夏のスタミナ食といえば鰻の蒲焼きですが、精進料理でも蒲焼き、ちゃんとございます。もちろん鰻ではなくて、豆腐をベースにしたものですが、本物と見まごう

          「文月の精進料理」 2017年7月