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「 睦月の精進料理」 2024年1月

今年は元日から能登地方に大きな地震があり、心痛めた方も多かったかと思います。私も仕事でご縁のある蔵元さんや塗師さんの安否がなかなかつまめず心配でした。
精進料理教室では各地の郷土料理をご紹介しているので、今月は石川県の郷土料理をいくつか入れました。少しでも現地の味わいとともに皆様の記憶に残れば…という思いです。

また、15日が小正月なので、1月のご飯は小豆粥にすることが多いですが、今年も邪気を払う小豆をたっぷり入れた「小豆粥」からスタートしました。
汁代わりは、石川県の特産物でもある蓮根をたっぷり使った「蓮蒸し」に。もちっとしたなかなか贅沢な椀ものです。本来は蟹や海老を入れてますが、代わりに人参で赤身を足しました。
今月は揚げ物がなかったので、旬の里芋を揚げて、柚子味噌を添えました。なんということのない、レシピもたった2行ですが、教室では細かな注意点を日本料理の観点からひも解いていきます。練り味噌は量が少ないので、纏めて作ってしまったので、材料しか載せていませんが、もしこの量をお造りになるなら、全部の材料をよく混ぜて500wで10~20秒レンチンすればできます。本来は300gくらいまとめて鍋で作って冷蔵庫で保存しておくと便利です。
「べろべろ」は“えびす”とも言います。富山では“べっこう”と呼ばれます。北陸地方でよく食べられる行事食で、おせちにも入ることが多いです。寒天の出汁に溶いた卵を落として固めたもので、精進では卵が使えませんので、干し湯葉で代用しました。
「あいまぜ」も石川の郷土料理。似た料理は各地にありますが、打ち豆が入るところが特徴でしょうか。煮膾と思っていただくとよいかと思います。

今年も簡単で、日本料理の五味五法五色を生かした精進料理をお伝えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

1.小豆粥、2.蓮蒸し、3.里芋の揚げ田楽、4.精進べろべろ、5.あいまぜ

睦月の精進料理 2024

1.小豆粥

小豆粥

材料:米300CC、水1400CC、小豆の茹で汁1/2C、小豆大3、餅4つ、塩小1/2

1) 水洗いした小豆をひたひたの水で茹で、茹で汁が赤くなってきたら、捨てる(渋切)。再度ひたひたの水で火にかけ、沸騰したらごく弱火にしてフタをして30分くらいかためにゆでる。

小豆粥①

2) 餅は、8等分のさいの目切りにしておく。
3) といでザルにあげた米と水、小豆のゆで汁を鍋に入れ、火にかける。途中アクをすくいながら40分、上澄みがひたひた程度になるまで煮、塩を加える。

小豆粥②
小豆粥③

4) 最後にゆでた小豆と餅を加え、餅が柔らかくなったら出来上がり。

小豆粥④


2.蓮蒸し

蓮蒸し

材料:蓮根500g、塩少々、干し椎茸2枚、人参10g(煮汁:出汁大1,淡口・みりん少々)、片栗粉大1/2
ゆり根(酒少々)数枚、銀杏各1個、本山葵適宜
かけ地:出汁300CC,濃口大1/2、淡口・みりん各大1,塩少々、水溶き片栗粉(片栗粉小さじ2,水大1)

1)干し椎茸は水で一晩戻し、千切りしておく。
2)人参は5mm四方に切り、1)とともに八方地でレンチンしておく。
3)ゆり根は、よく洗い傷などを取ってから酒少々を加えた水からゆでて半透明になったら火を止め、そのまま置く。

蓮蒸し①

4)銀杏は殻を割り、水からゆでて皮をむいておく。
5)蓮根は皮ごとおろしてざるに入れて自然に落ちた水分は使わず、片栗粉を加え1)~4)を混ぜてまるめて、7.8分蒸す。

蓮蒸し②
蓮蒸し③
蓮蒸し④

6)かけ地を造る。鍋に出汁を温め、調味し、とろみをつけて、器に置いた蓮蒸しにかけ、天に山葵を添える。

蓮蒸し⑤


3.里芋の揚げ田楽

里芋の揚げ田楽

材料:里芋各1/2個、片栗粉適宜、揚げ油適宜、柚子少々、練り味噌50g(白味噌、砂糖大1/2、酒大1)

1)里芋は良く洗い、蒸してから皮をむき、1/2に切る。

里芋の揚げ田楽①
里芋の揚げ田楽②

2)1)に片栗粉を薄くまぶし、揚げて練り味噌を載せ、あられ柚子をかける。

里芋の揚げ田楽③
里芋の揚げ田楽④


4.精進べろべろ

精進べろべろ

材料:粉寒天4g、昆布出汁500CC,干し湯葉1・1/2枚、濃口大1,淡口大1・1/2、砂糖大2、塩少々、生姜汁小1

1)干し湯葉はぬるま湯でもどし、千切っておく。

精進べろべろ①

2)昆布出汁に粉寒天をよく溶かし、火にかけて沸騰したら弱火にして2〜3分は煮て、調味し、火を止めて、生姜汁を加えて型に流し入れ、粗熱が取れたあたりで1)を散らして冷やし固める。

精進べろべろ②
精進べろべろ③


5.あいまぜ

あいまぜ

材料:大根300g、昆布出汁100CC、人参40g、油揚げ1枚、うち豆大2、牛蒡40g、
淡口大1・1/2,醤油大1、砂糖大2,みりん・酒各大1、酢大1・1/2

1)うち豆はお湯200CCで戻しておく。

あいまぜ①

2)大根、人参、油あげ、牛蒡は3cmの千切にして、牛蒡だけ水にさらしておく。

あいまぜ②

3)鍋にうち豆と戻した汁、2)も加え、15分程度煮て調味し、最後に酢を加え火を止める。

あいまぜ③
あいまぜ④

1月のデザート
創作和菓子・空羽kuu 「昇り龍」

空羽「昇り龍」

レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 1月の献立より)


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