一級建築士試験会場に棲む魔物
難関資格試験は人生勉強だ
私は一級建築士を取得するのに5年かかった。
2年独学し、独学では無理だと判断し、資格学校に3年通い、やっとの事で合格した。
資格学校に通い始めた1年目に、一次試験(筆記試験)に合格し、その年は二次試験(設計製図試験)不合格。2年目も二次試験不合格。そして、3年目に合格した。
一級建築士試験は一次試験に合格するとその年を含め、3年間一次試験が免除になる。その3年間を使い切り、一級建築士試験を存分に堪能した。一級建築士試験の酸いも甘いも嚙み分けた。
そのおかげで、今は、某資格学院の一級建築士設計製図試験の講師をしている。
今、振り返って思うのは、一級建築士に限らず、難関資格試験はまさに「人生勉強」であるという事だ。
資格を取得すると覚悟を決め、大金を払って資格学校に通い、膨大な時間と労力をかけて勉強し、試験に臨み、合格を勝ち取る。
その過程では勉強時間を生み出すために、様々な事を諦めなければならなくなる。
休みの日に遊んでいたら合格出来ない。お酒を飲んでいたら合格出来ない。恋愛をしている暇もない。
周りを説得する技術も必要になる。
妻を説得して、大金を出してもらわなければならない。勉強時間を捻出するために、職場の上司に理解してもらわなくてはならない。仕事を効率よく正確にこなし、帰宅時間を早めなくてはならない。
そして、最後の難関は設計製図試験である。
設計製図試験の会場には魔物が棲む。その魔物に味方をしてもらえた者が合格を勝ち取る事が出来る。
大げさな表現だが、設計製図試験に悩んでいる方には痛いほど分かると思う。本当に魔物が棲んでいるのだ。
魔物に睨まれると普段絶対にしないミスをおかす。設計製図試験は厳しい減点方式。一つのミスが命取りだ。
魔物に味方をしてもらうには、徹底的に勉強し準備をした上で、自分を信じ、生きて来た中で最も集中し、最後まで諦めずに戦うしかない。決してごまかしは効かない。
一級建築士に合格する資格がある者かどうかを試験会場に棲む魔物が見ているのだ。
精神論になってしまったが、最後の最後に必要となるのは、やはりぶれない心であると思う。
一級建築士は短期間で取得するに越したことはない。しかし、短期間で取得出来る人ばかりでもない。
それに一級建築士試験は年々難易度が上がっているようだ。人生勉強だと悠長にかまえて合格出来るほど、生易しいものではない事は重々承知だ。
しかし、その努力は必ず自分の人間的なレベルを上げてくれる。そう考えて臨めば、毎日の勉強がちょっとだけ楽しくなるのではないかと思う。
建築士試験に挑戦している方。どうか諦めずに頑張って頂きたい。
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